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白い闇

〈十一月十一日〉 〈十一月十二日〉 〈十一月十三日〉 〈十一月十四日〉     ・     ・     ・ 〈十二月二十四日〉 〈十二月二十五日〉      ○ 患者が持ってきた新品同様の日記帳を見て、私は首を捻った。メンタルクリニックに勤めてもう四年になるが、なかなか奇特な相談だ。だってこれの何が問題なのか分からない。  だが患者は生気のない顔に焦りを滲ませ、 「これ、昨日までの弟の日記です。先生、弟はどうしたら治りますか」  先生も難しい顔で顎を撫でていた。事情を飲み込めていないのはどうやら私だけらしい。 「……とりあえず経過を見ましょう。今の時点で打てる手はありません」  不安な顔をした患者が口を開く前に、「次は一週間後に来てください」先生は私に扉を開けるよう言った。患者は逡巡したが諦めたように立ち上がり、足音を鳴らして出て行った。私が扉を閉めるのを待ってから、先生は深い溜め息をついた。 「キツいな……」  私は患者が忘れていった日記帳を再度見返した。見れば見るほど分からない。 「先生、これの何が問題なんですか?」  先生は困った顔のまま、 「それは彼の弟さんの日記なんだ。弟さんは明るく社交的で、友達も多いらしい。学生時代には生徒会長も務めていたとか。でも最近様子がおかしかったそうで、試しに日記をつけさせたんだって。大学時代に心理学をかじっていたらしくてね。治療法としては正しいよ。さて、それを見てどう思う?」 「どうって……」  変哲のない日記帳だ。あらかじめ日付が書き込んであって、その下に余白がある。横書きのものだ。それに何も書かれていないということは――「弟さんはもの
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波に抱かれて

 潮風が攫ってきた海の臭いに男は顔を顰めた。  男にとって地元はもっとも忌むべき場所だった。どこまで行っても海しかなく、それに囲われた町には磯の臭いが常に、背後霊のごとく纏わり付いている。防波堤にぶつかった波のはぜる音、餌にありついたカモメの嬌声、漁港を去って行く船の雄叫び。幽霊はときにそんな幻聴も聞かせてくる。町には幽霊の見えない年寄りばかり溢れていた。若者はそんな先代に唾を吐きかけながら高台に建てられた古い学校に通い、同じような年寄りになるまでの余暇を食い潰した。  この町の若者は二分される。反骨精神から端を発した未来展望を肥大化させては潰される者と、早々にこの町に順応し地元愛を叫びながら歳だけを無為に重ねていく者。  男は前者だった。今でも男の中心には感傷が膝を立てて座り、思い出がふてぶてしい顔で横になっている。上京して手に入れた慎ましい自信は、今日も間借りした一隅で肩を縮めている。  埠頭へ向かって歩いていると、恐らく後者であろう学生服の集団とすれ違った。中心人物の青年が無理やり尖らせた視線を突き刺し、男のこの町の出にしては生白い肌を見ると鼻を鳴らした。 「オカマやろう」  ぼそっとやや舌っ足らずな声だった。  彼らは無条件に大人を嫌っている。男はそれを知っていた。それ以上に同年代を嫌っていることも。校則や法律に一挙手一投足を縛られるのが嫌いな彼らはしかし、当人同士で互いを見張り縛り合うことは厭わなかった。  男は横になっていた思い出が起き出すのを意識しながら歩調を速めた。後ろでどっと笑い声が起こったのを聞いて感傷が爪をかみ始める。自信はもう家出していた。      ○
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狂信者

 母がトラックにはねられたと聞いたとき、身体中から力が抜けた。駆けつけた病院で医師から「このまま意識が戻らない可能性も覚悟していてください」と言われたときようやく実感が湧き、人目を憚らず泣いてしまった。  母は認知症を患っていた。病状はそれほど良くはなく、普段は落ち着いているのだが、ひどいときはわたしを泥棒だと勘違いして泣きわめくこともあった。そんな調子では当然一人で外出もさせられない。いつか赤信号の意味も忘れて道路に飛び出してしまうのではないか――  だが結婚四年目のわたしには介護ヘルパーを頼むような金もなく、夫と住むマンションと母の待つ実家を行き来する生活が続いた。  重たかった。今年でわたしも二十八だ。夫との時間が奪われるのはつらいし、そろそろ子どもだって考えている。  夫に相談すると、 「そうは言ってもお義母さんがあんな調子じゃな」  そう厳しい横顔で言われた。 「それはそうだけど……」 「でも確かに子どもは欲しいね。子どもができたら僕、何でもしてあげちゃうな」  幸せそうな笑顔だった。瞳に諦観が滲んでいるのが見えて苦しくなった。わたしが彼との結婚を決めたのは、笑ったときの瞳の色が好きだったからだ。それが今濁っている―― 「そうね、わたしも。わたしも子どものためなら何でもする」  そして、あなたのためにも。  心の中でそっと呟き、夫の笑顔を免罪符として掲げた。  ほんの少し可能性を上げるだけで良かった。母の調子が悪い日、鍵を開けておく。ただそれだけを半年間繰り返した。  ようやく結果が出たのだ。わたしは泣きはらした瞼を擦りながら、昏い笑いに背を震えさせていた。医師はわた
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私が大好きな小説家に殺されるまで

『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれていくのを見て、目を瞑るのが愛情で、目を開くのが信仰だと思っていた。だから私は、先生から目を背けました。』  洒落た言い回しだと思った。当然だ。この文言は私が生み出したものなのだから。  この小説を読んだとき、顔も知らない誰かに骨の一本一本まで視姦されているような恐怖と心地よさがあった。タイトルが『私が大好きな小説家に殺されるまで』というのも、その感覚を大きくした。  昔、ある大手の小説投稿サイトで開催された、小さなコンテストに応募された作品だ。もちろんフィクションだし、この作内のSという小説家と、私には何の関わりもない。しかし、どこかで歯車がずれていたら、きっと私もSのようになっていただろうと思った。  当時は怖いもの見たさで読んだだけだった。仕事を言い訳にして、周囲から読まない方がいいと釘を刺されていたのにも拘わらず、私は一文目を読んでしまった。そこから取り憑かれた。ネットの小説なんて、いつ消されるのか分からない。作者本人が消す意志を持っていなくても、サイトの運営が、コンテストの審査員である私の小説を模倣した作品を、いつまでも放って置くとは思えない。  そしてこの作者Tはきっと、消す意志を抱えている。  彼(あるいは彼女)がこの小説をあまり良く思ってないことは分かっていた。 『正直に申し上げます。この小説は、選考委員であるS先生を題材にして書きました。あまり褒められた行為でないことは重々承知です。もしご本人様が気分を害されたようでしたら私はこの作品を削除いたします。どのような手段でも構いませんので、その際はご一報ください。』  だからもう、
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雌雄無色

 私が誰を好きでも、誰にも関係がないはずなのに、誰もが私と鈴子の関係を嘲笑った。それを差別と知ったのは中学生のとき。 「なにそれ、気持ち悪い」 「頭おかしいんじゃないの?」 「人と違うの、別にかっこよくないよ」 「差別じゃないよ。これは区別だから。異常者と関わりたくないのは普通でしょ」  女の子が好きだと流布されただけで針のむしろだった。特に、クラスの女子からは侮蔑され、疎まれ、迫害された。私は鈴子が好きなだけなのに、彼女たちにはそのことがどうにも理解できないようで、自分たちが性対象として見られているという妄想をいつも抱えていた。  中には、私を庇ってくれる友人もいた。彼女は保健室まで私の手を引きながら、力強い声で言った。 「たしかに祥子ちゃんは普通じゃないよ。女の子を好きなんだから。でも、悪いことをしてるわけじゃないんだから、恥じる必要もないと思う」  だが、続く言葉はこうだった。 「それに、そういうのって気の迷いみたいなものだし。高校に上がっていい人が見つかったら、祥子ちゃんも普通に、男の子と付き合えるようになるよ」  善意の皮を被った自覚のない悪意に、いっそ笑えてしまった。  私はその手を振り払い、残りの学校生活もいじめられて過ごす覚悟を決めた。どうせ分かってもらえない。他人にレッテルを貼って、区分したがるような人間に、私は屈したりしない。私は鈴子との関係を恥じたりしない。そう胸に掲げた。  つらい学生生活だった。女の子が好きという理由で、どこにいても白い目を向けられ、何をしても指をさされて笑われた。幸いだったのは、鈴子が標的にされなかったことだ。それも当然といえば当然の
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濡れぬ先の雨

 狭く、細く、暗く、幾つもの分岐をもつ道を、人生に喩えてしまうのは、安直すぎるだろうか。  だが、来た道がぬかるんでいることも、行く道に迷っていることも、私が負傷していることも、全て、私の人生そのものと呼んで差し支えないほどできすぎていた。  終わりが見えないことも、すぐ近くに死の予感が転がっていることも。 「本当に、いいんですね」  目の前を歩く元恋人――姫川雅は、もう何度目になるかわからない確認をしてきた。  優柔不断なのは今に始まったことではない。付き合いはじめはそんなところを優しさと感じていた。倦怠期にはそんなところを愚かだと蔑んでいた。 「いいって何回も言ってるでしょ。あなたが私を置いていっても別に恨む気なんてないから」 「でも、やっぱり…」  知らず溜め息が漏れる。優柔不断を押し付けられるこっちの身にもなってほしい。こんな洞窟の地下深くにまで落ちて、今さら二人して脱出なんて許せるはずがない。  結局、自分を殺せるのは自分だけなのかもしれない。私は彼女の背中を後押しするために、言葉を選ぶ。 「あなたのことを振ったのはそういう態度が鼻につくからよ。いつまでもウジウジしててみっともない」 「すみません…」 「悪いと思ってないのにそうやってすぐ謝るところも」  雅は私から目を逸らして、さっきよりも足音を大きくした。 「言葉に詰まると態度に出るところもね」 「それは……!」  雅は言い返す言葉を探し、すぐ悔しそうに伏し目になった。 「……私は、鎌田さんを置いていきたくないです。二人で脱出しましょう」  夢見がちなところは付き合い始めから別れるまでずっと嫌いだった。  私は聞こ
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ノブレス・オブリージュの恋

 物部紗夜が恋人に殴り殺された夏、私は幸福の絶頂にあった。念願の子どもが生まれ、郊外の新築マンションに越し、仕事も順調だった。  産休明けに配属されたのは、一学年に一クラス、一クラスに二十人程度しかいない小さな中学校だった。空気は綺麗で、子ども達は純粋で、同僚や先輩もみな穏やかだった。  毎朝元気のいい挨拶と共に登校してきて、始業前には自主的に席に着き、授業を妨害するような子は一人もいなかった。積極的に手を挙げ、質問をし、みな楽しげに学んでくれた。授業後には部活に精を出し、あるいは自習をし、恋バナをし、暗くなる前には一人残らず家に帰った。私たち職員も遅くとも十九時には家に帰ることができて、家に帰ってからも突然の呼び出しに怯えることなく、ゆっくりと湯船に浸かり、読書をして、夫と息子と三人で眠ることができた。  私が教師を続けることを最後の最後まで不安がり、しぶしぶ育休を取っていた夫も、帰宅してからすぐ部屋着に着替える私を見ると顔を明るくして、すすんで育休の延長申請を出してくれた。 かわいい息子、優しい夫、未来のある生徒たち。何一つ不満のない生活。  本当に、本当に幸せだったのだ。紗夜の訃報を聞くまでは。本当に。     ○ 夢や希望を抱いて教師になったわけではなかった。大学では教師の嫌な面を散々、嫌になるほど語られたし、教育実習で三十も年上の国語教師から、汚い言葉で何時間もなじられたこともあった。教師になったのは、資格を取るための勉強や実習で忙しく、就活に乗り遅れたからに過ぎなかった。  それでも、なったからには真面目にやろうと思っていた。学生のときから真面目にやらなくても、平均
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心さえなかったなら

 歌うのが好きな少女は、喉をからしてしまいました。 彼女にとって歌とは生きる意味でした。  それを失ってしまった彼女は、生きていることに絶望しました。 もう楽にしてほしいと何度も思いました。しかしそれを伝える声がありませんでした。だからただ泣くしかありませんでした。 声の次は涙をからしてしまいました。どれだけ悲しくても、もう泣くこともできません。このまますべてをなくして、消えてしまいたいと何度も思いました。  そんなある日、一人の少年に出会いました。  彼は高そうな服を着ていて、それに整った顔立ちをしていました。見るからに恵まれた人間だと少女は思いました。 しかし違いました。  少年はどうやら耳が聞こえないらしいのです。そして話すこともできないので、常に紙とペンを持ち歩いていました。  少女に初めての友達ができました。  少年はいつもきれいな字で話しかけてくれました。少女は嬉しくて、自分もきれいな字を書こうと、たくさん練習しました。  少年との会話を続けるうち、声が出なくなったことが、どうでもいいことのように思えました。 少年と友達になってから、数ヶ月が経ったある日。会って欲しい人がいると少年に頼まれました。 『どんな人?』  以前よりずっときれいになった文字で聞くと、少年は顔を赤くしました。 『いけば分かるよ』  少年はそれ以上なにも教えてはくれませんでした。  少年に連れてこられたのは大きな病院でした。少年は緊張しながら病院に入り、ある病室の前で立ち止まりました。  少年が扉をノックすると、向こうからかわいらしい女の子の声が聞こえてきました。 「どなた?」  少年は恥ずかし
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二匹の獣

 小学生の頃、飼っていた犬が病気に臥せることがあった。学校に行っている間に死んでしまったのではないかと、家に帰ってから安否を確認するまでのあの数秒が一番不安で緊張した。今抱えているのはそれと同じ感情だ。それともいつ爆発するか分からない危険物を身体に巻き付けられている感覚だろうか。  二階でくだを巻いていた静寂がわたしの立てる衣擦れの音に飛び起きた。わたしは浅い呼吸でポケットの重みを意識しながら部屋に近づいていく。ドアノブに指をかけ一度静止。犬と爆弾とが同時に頭に浮かび、爆弾をくくりつけられた犬になった。案外これが一番近いのかもしれない。  ゆっくりとドアを開ける。カーテンの閉め切られた室内でも静寂がふんぞり返っていた。ベッドの上には一匹の巨大な芋虫。わたしは安堵するのと同時にさっきまでの不安に無性に腹が立って芋虫の皮膚を剥がした。 「お姉ちゃん、ご飯」  続けざまにカーテンを開け、もう一度呼びかける。「もう起きなよ」 「ん」  姉は緩慢な動作で起き上がり、寝乱れた服を整えると無造作に髪をなでつけた。西日に顔を顰めながらわたしをまじまじと見て、 「おはよう……」「うん、もう四時だけど」 「そう……あたしまた起きれなかったんだ。今日は絶対朝ちゃんと起きて外に一歩でも出ようって決めてたんだけどね、でも夜眠れなくてね」  姉は泣き出す直前の表情で、 「本当にごめんなさい。ダメなお姉ちゃんでごめんなさい」  わたしは溜息を殺すのに必死だった。「勝手に落ち込んで一人で気持ちよくなってんじゃねえよ!」そう叫びたい気持ちも何とか心中させた。 「別に気にしてないから。それよりご飯にしよ。一階に来
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輪廻

「ルリ、ちょっとくらい寝ててもいいよ。疲れたでしょ」  夕刻、リビングのソファで父が私の頭を撫でる。そこに邪念がないことにがっかりする。 「ぼくが後で起こしてあげるから」 「お父さん、もういいから」私はそう言って、父の手をやんわりと払う。寂しそうな顔で父は、「もう中学生だから恥ずかしいか」と苦笑いを浮かべた。それが普通の考え方だ。  みんな、年頃の子は中学生にもなれば思春期が訪れて、人目を気にしたり、親とのひとときを煩わしく思うようになる。  俗に、そういうものを成熟と呼ぶのなら、残念ながら私は未熟だろう。大人になったとはとても言えない。家族は好きだし、家族と過ごすのも好きだ。そしてその上、実の父親に自覚的な恋心まで抱いてしまっているのだから。病死した母には、合わせる顔もない。  もしこの気持ちがバレてしまったら、私はどうなるだろう。家族から疎まれるだけでは済みそうにない。普段から慕ってくれている双子の妹もわたしを侮蔑するだろう。学校でも我慢ならない恥辱を味わうことになるに違いない。だから、この父への愛情という名前のゆるされない気持ちは墓まで持って行くと決めている。  地獄の苦しみがそこにあっても、構いやしない。 「もうそろそろハリも、部活から帰ってくるだろうから、ご飯にしようか」  名残惜しさすら見せず父はソファを立った。父は私も妹も平等に愛しているから当然だ。すぐに父はキッチンの方へ消えた。  すっと、瞼が重くなった。好きな人の横にいて緊張しないなんて、無理な話だ。  実の父親が恋愛対象だろうが、そこは一般的な感覚と変わらない。この、緊張や恐れすらも異常になっていれば良かっ
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病に至る恋(仮題:Hello, I'm Victim)

 猥雑な喧噪に埋もれた居酒屋の座敷で中学の同窓会は行われていた。座は緊張感と好奇心とで満たされており、誰もが顔に笑みを貼り付け、忙しなく酒を口に運んでいる。  僕は座卓の端に坐り、当たり障りのない話に花を咲かしているクラスメイトを順に見ていた。みんな変わってしまっていて、中には十年前の面影すら残っておらず、一目見ただけでは誰か分からない顔もあった。  だが、彼女が来ていないことだけは確かだった。もしもここに彼女がいるとすれば、どれだけ変わっていようと、すぐに見分けられる自信があった。 「久しぶりだな、片山」  その声に視線を戻すと、中学時代一番仲の良かった伊神が僕の隣にどかりと腰を下ろし、両手に持ったグラスの片方を差し出した。 「って言ってもお前はあんまり変わらないな」 「伊神こそ」  僕らは互いのグラスを打ち付け、雑談に興じた。話すことは他愛のないことばかりだったが、左手の薬指に指輪が嵌まっているのを見る限り、彼の人生は順調なようだった。 「最近は全然いいこともないな。会社でもめんどうな仕事ばっかり振られるんだ」  そう言ったとき、伊神は鼻を擦っていたから多分嘘なのだろう。彼は嘘をつくとき鼻を擦る癖がある。きっとあまりパッとしない僕に気を遣ってくれたのだ。  僕は伊神の楽しげな仕事の愚痴に相槌を打ちながら、古傷を撫でるような慎重さで十年前の彼女を思い返していた。      ○ 中学二年の夏。折川おりかわ小春こはるから科学準備室に呼び出されたとき、何の期待もなかったと言えば嘘になる。科学準備室は全くといっていいほど人気のない、旧校舎にある一室だった。加えて、彼女には良くない噂が
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サンプルの見分け方 小説の場合

※お知らせではないです。読まなくても問題なし活用方法が思いつかず放置してましたがせっかくあるので何か書いてみようかなと思い立ちました。サービスの信頼性のために自分の詳しい執筆歴を書くつもりでしたが本当に個人で好き勝手書いてきたので提示できるものが何もないと気づきました。すみません。ネットにも上げていなければコンテストなどにも応募していませんが、目的なく磨いてきた文才である程度書けます。詳しくはサンプルを見てください。ところで購入者の皆様は小説のサンプルを見るとき何を重要視していますか?ストーリー、人称、文の雰囲気……人によって様々だと思います。もしかすると値段や納期など、文章と関係ないところが最重要でサンプルはあまり見てないよって方もいるかもしれませんね。ですが、あなたの望む小説を具現化するためには執筆者の選び方が本当に重要です。どんなにレビューがよくても、文章が上手でも、依頼して見るとあなたの思うものは出来上がらなかった…という悲しい事件は起こり得ます。執筆者にも得意不得意があるのですから。ということで今回はサンプルでのサービスの選び方目安について、販売側の視点から書いてみようと思います。①地の文と台詞のバランス念のため、地の文とは台詞以外の文章のことです。個人的にはこのバランスに書いている人の癖が出やすいと思っています。もちろん題材が変わるとある程度バランスが変わってきますが…それも誤差にしかなりません。基本的に地の文を書き込む人はテンポのいい展開が、台詞を多く書く人は陰鬱とした雰囲気が苦手な方が多い印象です。ちなみに私は地の文を書き込むタイプですので気を抜くと永遠に同じ場
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