憂鬱を知った猫
オレの嗅覚はずば抜けている。
ここらの猫界隈でもダントツだろう。
嗅覚とは何も鼻がいいってだけじゃない。
食い物がありそうだという直感、
危険な他の動物が近づいてくる感覚、
嵐が来そうな気配。
その嗅覚を持ち、
危険を回避できる運動能力と
可愛がってくれる相手を見破るずる賢さ。
オレには全てが揃っている。
自由に生きているのがオレだ。
ただ、人間は大きな勘違いをしている。
オレたちが食べているのは食事だ。
それをエサなんて言葉で見下してきやがる。
それは人間からみたら残り物であるかもしれないし、まずいものであるかもしれない。
でもオレたちにとっては立派な食事だ。
特に誰に飼われてるわけでもない、お前たちのいう野良猫って存在のオレたちには。
百歩譲って、ペットとして大事に飼われているような奴らは、食事をエサだといわれてもしょうがない。
なんの苦労もなく腹いっぱいになるのだから。
日向ぼっこをしながら寝ている俺たちをのんきでいいなぁなんてね。
ふざけるんじゃねー。
食べ物を探すってことは、人間にとって仕事と同じだ。
誰かにやらされているお前らとは違う。
生きるために仕事をして、
生きるために寝ているだけだ。
そんなオレはある日、楽園を見つけた。
大通りから一本入った裏通りの築40年は経っているであろう古びた中華屋。
よく通るその道は常にうまそうな匂いを漂わせている。
空腹に飢えていた俺は匂いだけでも満喫しようと、その店の周りをぐるぐる歩き続けた。
ふと小さな穴を見つけた。
物音をさせずに顔突っ込んで様子を見た。
ガシャガシャと大きな音が入り乱れている。
まだ明るいうちはだめだ。
ま
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