#61 「本音と建前」が心をむしばむ――イタリア人精神科医が見つめる日本人の不調
「本音と建前」が心をむしばむ――イタリア人精神科医が見つめる日本人の不調1/3(月) 異色のイタリア人精神科医、パントー・フランチェスコさん(32)。幼少期から日本のアニメやゲームに励まされ、日本で働くことを選んだ。ひきこもり問題を研究し、心の不調を抱える多くの患者を日々診療している。「日本人は自分の悩みを人に相談したりせずに、抱え込んでしまう傾向がある」。フランチェスコさんの目から見た生きづらさの理由、そして解決する方法とは。(取材・文:ノンフィクションライター・西所正道/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)「精神科医の診察を受けて笑えたのは初めてですね。会うといつも『こんにちは!』って感じで元気だし、薬の説明をするときも、これを飲めば感情が安定するとか前向きに説明してくださるんです」そう語るのは、30代の女性会社員Aさん。8年ほど、うつに悩まされ、回復と再発を幾度となく繰り返してきた。これまで6人ぐらいの精神科医や心療内科医の診察を受けたが、都内のクリニックで診察している医師によって症状はずいぶん改善したという。その精神科医とはパントー・フランチェスコさん(32)だ。生まれも育ちもシチリアという生粋のイタリア人である。7年前に来日、日本の医師免許を取得し、現在、慶應義塾大学病院や複数のクリニックで診察にあたっている。フランチェスコさんを大学院で教えている筑波大学・医学医療系の斎藤環教授はこう話す。「日本の医師国家試験は日本語でしか出題しないため、非常に高い日本語能力の習得が必要で、欧米人にとっては相当ハードルが高い。医師免許を取れたとしても、日本では給与がさほどで
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