書きあぐねる作家の髙橋P.モンゴメリーの今日のエッセイを書いてみようとネタさがす。でも、そんなものは暮らしの中でたくさん落ちていた。そんなエッセイ。
今日のエッセイを書いてみようと思った。
そう思ったところまでは、とてもよかった。
問題は、そのあとである。
書くことがない。
本当に、何も浮かばない。
今日という一日を思い返してみても、誰かに胸を張って話せるような出来事はなかった。
大きな感動もない。
劇的な事件もない。
人生がひっくり返るような出会いもない。
玄関を開けたら、見知らぬ紳士が立っていて「あなたにだけ伝えたい秘密があります」と言ってくることもない。
冷蔵庫の奥から、十年前の自分が書いた手紙が出てくることもない。
炊飯器が急に人間の言葉を話し出して、人生相談に乗ってくれることもない。
ただ、朝が来て、昼が過ぎて、夕方になった。
それだけだった。
でも、その「それだけ」を、僕はずいぶん雑に扱っていたのかもしれない。
何もなかった日。
そう言ってしまえば簡単である。
言葉にすれば、たった八文字くらいで片づいてしまう。
けれど、本当に何もなかったのだろうか。
ただ僕が、ちゃんと見ていなかっただけではないのか。
今日の僕は、エッセイのネタを探していた。
どこか遠くにあると思っていた。
特別な場所に行けば見つかると思っていた。
珍しいものを見たり、誰かと印象的な会話をしたり、胸に残る出来事が起きたりしないと、エッセイなんて書けないと思っていた。
けれど、よく考えてみると、暮らしはそんなに大げさではない。
たいていの日は、もっと静かに始まる。
朝、目が覚める。
布団の中で、しばらく動かない。
起きなければいけないことはわかっている。
でも、起きるという行為には、毎回ほんの少しだけ勇気がいる。
大げさに聞こえるかもしれない。
け
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