似たものを、わたしたちは映しあってる
「なんかね、最近、つらい人ばかり引き寄せちゃってる気がするの。優しくされたいのに、なんでだろうって思っちゃう」そう言って、友人のミサキが苦笑いを浮かべた。駅前のカフェ。外は雨。カップの中のカフェラテが、まだ湯気を立てている。私はしばらく黙って、その言葉の余韻と一緒に静けさを味わっていた。「奈央ちゃんは、どう思う?」ミサキの視線が、そっと私に向く。「うん……」私はゆっくり言葉を選ぶ。「もしかしたらだけど、人ってね、“欲しいもの”を引き寄せてるんじゃなくて、“自分と同じもの”を引き寄せてるのかもしれないね」ミサキが、少し驚いたように瞬きをした。「今の自分の“空気”とか、“波”みたいなものが、似た空気のものを呼んでくるんじゃないかなって、思うことがあるの」「……ああ、なるほど……」ミサキはしばらく考えてから、少し笑った。「たしかに最近、私、ずっと自分を責めてたかも。人に優しくされたいと思いながら、どこかで“そんな価値ない”って思ってたのかもしれないなぁ……」私はうなずいた。「そう感じるときは、まず自分を包んであげるのが先かもね。“優しくされたい”って思うその手前に、“私は優しくされてもいい”って、自分に言ってあげる」「……うん。今日、それを言ってあげるよ。“私は、優しくされていい”って」その言葉をつぶやいたとき、ミサキの顔に小さな光が戻った。雨はまだ降っていたけれど、窓の外の景色が少しだけ明るく見えた。
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