今回は「駐車場のデザイン」について。
「外構デザイン」と聞いて何を思い浮かべますか?
駐車場を連想する人は少ないと思います。
・ 門壁やアプローチなどの門まわり
・ テラスやデッキなどのお庭
このあたりがイメージしやすいですよね。
外構の中心なので華やかですし、
実際に世の中の施工例はほとんどこれらです。
それに比べると駐車場ってシンプルなんですよね。
多少の床デザインはあっても
物理的に壁などは作れないし
立体的にはカーポートがあるぐらい。
しかし駐車場のデザインはとっても重要です。
これの良し悪しで外構全体が決まるほどです。
私も普段からすごく気を遣っています。
今回は実際に行っている私の設計手順も話すので、
ご参考にしてみてください。
キーワードは「ゾーニング」
本題に入る前に準備をしましょう。
「ゾーニング」という言葉を使います。
意味は「敷地を分割すること」
使い方を整理して敷地を有効活用しましょう、という言葉です。
「ココはこうやって使おう」
「ココは◯◯をするスペースにしよう」
と計画することですね。
外構デザインは必ずここからスタートします。
限りある敷地を無駄なく活かす…
当然のことです。
ここまでは大丈夫でしょうか?
・ ゾーニング = 敷地を分割して有効活用
・ 外構デザインはゾーニングからスタート
この2点でOKです。
で、本題の駐車場です。
このゾーニングの主役がまさに駐車場なんです。
華やかな門まわりではありません。
世間のイメージでは脇役の駐車場が外構デザイン開始の主役です。
なぜか。
答えはカンタンです。
「いちばん敷地を使うから」
駐車場は敷地食い
詳しく解説します。
外構をつくる要素は大きく2つ。
・ 駐車場
・ アプローチ(門まわり含む)
これらをどうゾーニングするか…
ここが最初のデザインです。
それぞれどれぐらいの敷地を割り当てれば良いのでしょうか?
ごく一般的な条件で考えると…
・ アプローチ → 10平米ほど
・ 駐車場 → 1台あたり15平米ほど
大きな違いではありません。
しかしほとんどのご家庭はお車2台持ち
さらに来客用の駐車場も必要ですから、
実際は…
・ 駐車場 → 15平米 ×3台 = 45平米
となってしまうわけです。
外構が100平米前後のご家庭が多いので、
半分近くを駐車場が占有する計算です。
いかに駐車場が大切かがわかります。
私のデザイン手順を公開
ここからは実際に私が行っている手順を紹介しましょう。
難しい部分もありますが、大まかな知識だけでも十分です。
ご計画お打合せの時に必ず役に立ちます。
このような手順で進めます。
⒈ 車両の分別
⒉ 常用車の配置
⒊ 予備車の配置
順番にご説明します。
⒈ 車両の分別
まずは車両の内訳を整理します。
・ 常用車 → 施主様
・ 予備車 → 来客
ですね。
使い方がまったく異なるのできちんと整理します。
実際のお打合せでは常用車の車種までお聞きします。
⒉ 常用車の配置
ポイントは「いかにストレスなく使えるか」
ほぼ毎日使う場所なので妥協しません。
いろいろな角度から検討します。
・ 車体サイズ → 前項の車種を参考に
・ 入出庫の動線
・ ドアの開閉
・ トランクの開閉
・ 玄関への動線
・ ポスト(郵便物)への動線
・ カーポートの有無(機能性も)
・ 夜間の頻度が高いなら照明も…etc
場合によっては
物置や水栓まで動線を考慮します。
ここまでくればあと一歩です。
⒊ 予備車の配置
いかに敷地を節約しつつ確保するか。
ここが予備車のポイントです。
常時駐車しているわけではないので
使っていない時間帯も考慮します。
私がよく採用する納まりは
「アプローチとの兼用」です。
アプローチも常々使うわけではないので
予備車との相性が良いのです。
敷地を有効活用できるわけですね。
ただ例外もあって、予備車の駐車時間が短い場合に限ります。
時間が長かったり頻度が多かったりするときは
常用車と同じ扱いをすることがあります。
これで駐車場のゾーニングが完成です。
…大変ですか?
はい、大変です(笑)
ここからさらに
・ アプローチのゾーニング
・ 景観面のデザイン
と続きます。
実際ここの工程にはかなり時間をかけます。
ご要望をしっかりヒアリングして
ご納得いただけるまでご提案します。
ここがバシッと決まれば
アプローチも気持ちよく納まります。
いかがでしたか?
デザイナーそれぞれ考え方はありますが、
私なりにこれまでの経験でたどり着いた手法です。
たくさんの施主様にお喜びいただけているので
間違ってはいないのかな、と感じています。
これから外構をご計画する方
今まさにご計画中の方
ぜひご参考になさってください。