高額な掲載費用を投資した結果訪れた「応募ゼロ」の衝撃
「勝島社長、現代の若い求職者は全員スマートフォンで仕事を探しています。大手Web求人メディアに大型の求人広告を出せば、即座に若手が集まりますよ!」
求人代理店の営業担当者からの熱心な提案を受け、私は厳しい資金繰りの中からまとまった掲載費用を捻出する決断をしました。
「これで新しい若い仲間を迎え入れ、現場に活気を取り戻せるはずだ」と信じて疑いませんでした。
プロの手によって作成された魅力的な求人ページ。
「未経験から一流の職人へ」「アットホームで風通しの良い職場環境」
しかし、数ヶ月の掲載期間が終了した時点で突きつけられた結果は「応募数 0件」でした。
PC画面に表示された数字を前に、私はあまりのショックで言葉を失いました。
「大手メディアに載せれば採用できる」という幻想
「結局のところ、高額な掲載費用を支払っても、資本力のある大手企業やゼネコンの求人情報に埋もれてしまい、地方の小さな工務店など誰の目にも留まらないのだ……」
採用市場の厳しい現実に打ちのめされた瞬間でした。
現場では熟練職人の引退時期が刻一刻と近づき、溜まっていく見積書と書類の山。社長である自分が現場と事務に追われ続ける日々の中で、趣味であるキャンプやドライブに出かける心のゆとりなど完全に失われていました。
「従来の縁故採用は期待できない。かといって求人広告に資金を投入してもドブに捨てるようなもの。一体どのような手立てを講じればよいのか……」
先が見えない暗闇の中に一人取り残されたような深い絶望感を味わいました。
技術の継承を諦めないという決意
「自分が動けなくなるまで現場作業を続けるしかないのだろうか」
そう諦めかけた時、作業場に整然と並べられた道具類が目に留まりました。長年磨き込まれたノミや金槌、先代から受け継がれてきた伝統的な工法や木材へのこだわり。
「ベテラン職人たちが培ってきた匠の技術とノミの冴えを、自分の代で途絶えさせるわけにはいかない」
自社が抱える魅力や現場のリアルを、若い世代に正しく届ける方法が必ず存在するはずだ。痛烈な失敗体験を胸に刻みながら、私は次の一手を模索し始めました。