朝6時の資材搬入からスタートする、現場主義社長のリアル
「社長、本日の建て方現場、監督と職人の兼任で進めますか?」
毎朝6時、冷え込む資材置き場でベテラン大工に声をかけられるのが私の日常です。
私は父から事業を引き継ぎ、地域密着型の木造住宅・リフォーム会社で2代目代表を務めている勝島豪(41歳)と申します。
社長という立場ではありますが、現場の実情は「施工・現場管理・営業・見積もり」をすべて一人でこなす超・現場主義。資材高騰と業界全体を覆う深刻な人手不足の中、現場を止めないためには自分自身が作業着を着て現場に飛び込むしか選択肢がありませんでした。
「午前の作業が終わったら一度事務所に戻り、施主様への提案書類を仕上げます。夕方にはまた現場の片付けに戻ります!」
そう答えながら、頭の中では(経営者としての仕事にいつ集中できているのだろうか……)と一抹の不安がよぎります。
深夜の事務所で一人電卓を叩く、終わりのない事務作業
現場で汗を流し、道具を整理して事務所のデスクに向かう頃には、いつも時計の針が21時を回っています。
体はすでに限界を迎えていますが、ここからが経営者としての第二ラウンドです。
本日の現場進捗の確認と翌日の職人配置調整
最新の資材価格を反映した見積書の再計算
施主様や取引先からの問い合わせメールへの返信
静まり返った事務所に電卓を叩く音だけが空しく響きます。「体がもう一つ欲しい」と思わず独り言が漏れる毎日。
以前であれば「若い職人を育てて現場を任せる」という解決策がありました。しかし現在の自社には、技術を継承すべき若い世代の職人が一人も存在しないという厳しい現実に直面していたのです。
ハードワークを支える束の間の一息
そんな満身創痍の日々の中で、唯一の息抜きとなっているのが週に一度の銭湯サウナと、夜な夜な鑑賞する海外の大型建築ドキュメンタリー番組です。
サウナで汗を流し、温かい食事をとる時間だけが重圧から解放される瞬間です。深夜、家族が寝静まった後にグラスを傾けながら重機がダイナミックに構造物を解体していく映像を眺めていると、モノづくりに対する原点の情熱が蘇ってきます。
「どれだけ忙しくても、この仕事と会社を守り抜きたい」
その想いは強いものの、社長一人に依存したワンオペ体制で現場と経営を回し続けることには、あきらかに限界が近づいていました。