英検二次試験・スピーキング対策|本番で「伝わる英語」を話すために

英検二次試験・スピーキング対策|本番で「伝わる英語」を話すために

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学び
英語力だけではない――二次試験で気をつけたい                      「もったいない答え」とその対策
英検一次試験が終わり、いよいよ二次試験。
二次試験を前にすると、
「質問されても、何を答えたらいいかわからない」
「日本語では言えるのに、英語が出てこない」
「沈黙してしまったらどうしよう」
「緊張すると頭が真っ白になりそう」
と不安になる方も多いと思います。
私は長年、高校で英語を指導し、英検の二次試験の面接官も経験があります。
その経験から感じるのは、二次試験では、必ずしも「難しい英語を知らないこと」が問題なのではないということです。
むしろ、
質問を十分に聞き取らないまま答え始めてしまう。
聞かれていることとは少し違うことを答えてしまう。
一般論を聞かれているのに、自分自身のことを答えてしまう。
イラストを説明しているけれど、聞いている側には場面が十分に伝わらない。
緊張して早口になり、せっかくの答えが聞き取りにくくなる。
こうした「もったいない答え」が少なくありません。
スピーキングは、覚えてきた英文を発表する試験ではありません。
相手の質問を正確に理解し、それに対する答えを、相手にわかるように伝えるコミュニケーションです。
今回は、二次試験で特に気をつけてほしいポイントを、実際の問題形式に沿って具体的に考えてみたいと思います。

1.まず「質問を正確に聞く」ことから始める

「答えられない」のではなく、「別の質問に答えている」
二次試験でまず注意してほしいのが、
「英語は話せているのに、質問には答えていない」
というケースです。
例えば、
Do you think more people will use electric cars in the future?
「将来、電気自動車を利用する人はもっと増えると思いますか」
と聞かれたとします。
それに対して、
Yes. Electric cars are good for the environment because they cause less air pollution.
と答える。
英文そのものはおかしくありません。
しかし、質問は、
「電気自動車は環境に良いと思いますか」
ではありません。
聞かれているのは、
「将来、電気自動車を利用する人が増えると思いますか」
ということです。
electric cars など、聞き取れた言葉だけから、
「電気自動車について聞かれた」
と判断し、自分が準備していた環境問題の答えを話してしまう。
このように、実際の質問を、自分が答えやすい別の質問に頭の中で置き換えてしまうことがあります。
どれだけ立派な英語を話しても、聞かれたことに答えていなければ、コミュニケーションとしてはうまく成立しません。
ですから、答える前に、
「結局、何について、何を聞かれているのか」
をしっかりつかむことが大切です。
わからなければ、適当に答え始めない
一度質問を聞いてよくわからなかったとき、
「たぶん、こういうことだろう」
と推測して答え始めてしまうと、最後まで質問とは違うことを話してしまう可能性があります。
そんなときには、慌てて答えるより、
Could you repeat the question, please?
Could you say that again, please?
などと、もう一度質問を繰り返してもらい、何を聞かれているのかを頭の中で整理しましょう。
もちろん、何度も聞き返すことを前提にするのではありません。
普段の練習から、
「どんな単語が聞こえたか」
だけではなく、
「この質問は、結局何を聞いているのか」
を考える習慣をつけておくことが大切です。
「あなた自身」についてか、「一般論」についてか
もう一つ混乱しやすいのが、
「あなた自身について聞かれているのか」
「人々や社会全体について聞かれているのか」
という違いです。
英検では、自分自身の考えや経験について尋ねられる場合もあれば、社会一般について意見を求められる場合もあります。
例えば、
Do you think more people will work from home in the future?
と聞かれているのに、
I want to work from home because it is convenient for me.
と答えたとします。
英語としては通じます。
しかし、質問は、
「あなたは在宅勤務をしたいですか」
ではありません。
「将来、在宅勤務をする人が増えると思いますか」
という一般的な予測です。
逆に、自分自身について聞かれているのであれば、自分の経験や考えを答える必要があります。
質問を聞いたら、
「誰について聞かれているのか」
「何について判断や意見を求められているのか」
を確認する。
これだけでも、質問からずれた答えをかなり防ぐことができます。

2.問題ごとの「もったいない答え」を知っておく

英検の二次試験は、級によって問題形式や求められる内容が異なります。
しかし、それぞれの問題には、受験者がつまずきやすいポイントがあります。
ただ過去問を何題もこなすのではなく、
「この問題では、自分はどんな間違いをしやすいのか」
を知っておくことが大切です。

① パッセージ問題――「このあたりだろう」で答えを決めない
パッセージを読んで、その内容について質問される問題には大きな利点があります。
本文を実際に目で確認できることです。
ですから、
「たしか、このあたりに書いてあった」
と記憶だけで答えるのではなく、質問を聞いたら本文の該当箇所をきちんと確認しましょう。
特に注意したいのが、
it
they
this
these
などの代名詞です。
代名詞が出てきたら、
「これは具体的に何を指しているのか」
を本文で確認します。
そして、答えるときには、本文中の代名詞をそのまま使うのではなく、それが指している具体的な内容に置き換えて答えることを意識します。
パッセージ問題には、ある程度決まったパターンがあります。
だからこそ、
質問を確認する
↓
本文の該当箇所を探す
↓
代名詞が何を指しているか確認する
↓
質問に合う形で答える
という流れを練習しておきましょう。

② イラスト描写――難しい単語より「基本動詞」でつまずく
イラストを説明するとき、意外に難しいのが、難解な単語ではなく、日常的な動作を表す基本動詞です。
例えば、
hold a bag バッグを持っている
carry a box 箱を運んでいる
pick up a bag バッグを拾い上げる・持ち上げる
take a book from the shelf 棚から本を取る
put something into a bag 何かをバッグに入れる
take something out of a box 何かを箱から取り出す
hand a paper to someone 誰かに紙を手渡す
などです。
「持つ」「取る」「運ぶ」「渡す」
日本語では簡単な動作でも、実際の絵を見ながら瞬時に英語で説明しようとすると、適切な動詞がなかなか出てこないことがあります。
また、
enter the room
go into the room
wait for the bus
のように、
目的語をそのまま後ろに置けるのか。
前置詞が必要なのか。
こうした基本的な動詞の使い方も大切です。
過去問を練習したら、
「この動作を言いたかったのに、英語が出てこなかった」
というものを書き留めて、自分専用の「描写で使う動詞リスト」を作ってみてください。
難しい動詞を増やすことより、基本的な動詞を、場面に応じて正確に、すぐ使えるようにする。
イラスト描写では、ここが大切です。

③ 絵の描写――「その英語を聞いて、同じ絵が描けるか」
絵やイラストを説明するとき、私が大切だと考えている視点があります。
それは、
「あなたの英語だけを聞いて、相手が同じような絵を描けるだろうか」
ということです。
例えば、
A woman was standing there.
だけでは、
「女性が立っていた」
ことしか伝わりません。
その女性は何をしていたのか。
どのような状況だったのか。
どのような表情をしていたのか。
何を感じているように見えるのか。
周囲では何が起きていたのか。
そうした情報が加わることで、初めて場面が具体的に見えてきます。
例えば、
A woman was waiting for a bus.
She looked worried because the bus was late.
Several people were waiting behind her.
と説明すれば、先ほどよりずっと具体的な場面が浮かびます。
描写では、ただ文の数を増やせばよいわけではありません。
大切なのは、
人物の動作
その場の状況
人物の表情や気持ち
など、絵の中の重要な情報を十分に伝えることです。
「自分の英語を聞いた人が、同じような場面を頭の中に描けるか」
という視点で、自分の描写を振り返ってみるとよいでしょう。

④ ストーリー描写――「何が変わったのか」を伝える
複数の場面を使ってストーリーを説明する場合には、一枚ずつ独立して説明するだけでは、出来事の流れが十分に伝わりません。
多くの場合、
ある状況がある
↓
人物が何かをする
↓
その結果、何かが起こる
↓
人物の状況や気持ちが変化する
という流れがあります。
ですから、
「誰が何をしているか」
だけではなく、
「その結果、何が起こったのか」
「人物はどう感じているのか」
「次の場面で何が変化したのか」
まで伝えることを意識します。
Then, ~
After that, ~
Later, ~
When ~, ...
Because ~, ...
So ~, ...
など、時間の流れや原因・結果を示す表現も役立ちます。
過去問を見直すときには、
「人物の動作を十分に説明できたか」
「そのときの状況が伝わったか」
「人物の気持ちや変化を表現できたか」
「次の場面とのつながりがわかるか」
という視点で確認してみてください。
一枚の絵についても、一つの動作だけで終わらせず、動作・状況・気持ちなど、複数の情報を拾う。
これを意識すると、描写の量だけでなく質も上がっていきます。

⑤ 意見問題――立派な意見より、まず「質問に答えているか」
意見問題になると、
「理由をたくさん言わなければ」
「難しい表現を使わなければ」
と考えてしまう人がいます。
しかし、その前に最も大切なのは、
「その質問にきちんと答えているか」
ということです。
ここでも、最初に述べた「質問を正確に理解する」ことが重要になります。
質問の意味が十分につかめなかったのであれば、推測で話し始めるのではなく、必要であれば一度質問を繰り返してもらい、何を聞かれているのかを確認します。
そのうえで社会問題などについて自分の意見を述べる場合には、
結論 → 理由 → 具体例・根拠
という流れで話すと、聞き手にもわかりやすくなります。
例えば、
I think more people will use electric cars in the future.
One reason is that people are becoming more interested in environmental problems.
For example, many people are trying to choose environmentally friendly products.
というような流れです。
大切なのは、難しい英語を使うことではありません。
「私はこう考える」
「なぜなら、こうだから」
「例えば、こういうことがある」
という話の筋が相手に伝わることです。

3.スピーキングでは「論理」と「表現の幅」を意識する

質問に合ったことを答えていても、話している内容のつながりがわからなければ、相手には伝わりにくくなります。
そこで意識したいのが、
結論 → 理由 → 具体例・根拠
という基本的な流れです。
話しながら、
「今、自分は何を主張しているのか」
「その理由になっているか」
「具体例は、その理由を支えているか」
を意識してみてください。
一方で、同じ単語や同じ表現を何度も繰り返すと、どうしても話が単調になります。
そこで普段から、一つの単語を一つの形だけで覚えないことも大切です。
例えば、
choose → choice
と品詞を広げれば、
choose a school
make a choice
make a careful choice
have more choices
give people more choices
と、同じ「選ぶ」という内容でも違った形で表現できます。
同じように、
decide → decision
decide what to do
make a decision
make an important decision
develop → development
develop new technology
technological development
protect → protection
protect the environment
environmental protection
などと広げられます。
さらに、
make a decision
provide opportunities
solve a problem
deal with a problem
など、名詞と一緒によく使われる動詞、つまりコロケーションまでセットで覚えておくと、自然に表現の幅が広がります。
これは、難しい英語を使うためではありません。
同じ単語ばかりを繰り返すことなく、自分が知っている英語をいろいろな形で使えるようにするためです。
普段の単語学習でも、
「この動詞の名詞形は何だろう」
「この名詞には、どんな動詞がよく使われるだろう」
と少し意識しておくと、スピーキングで使える表現も増えていきます。

4.「何を話すか」と同じくらい「どう話すか」が大切

スピーキングで意外に見落とされやすいのが、デリバリーです。
内容や文法だけでなく、
「その英語が相手にきちんと届いているか」
ということも大切です。
スピーキングは、書いた英文を提出する試験ではありません。目の前にいる相手とのコミュニケーションです。
緊張したときほど「ゆっくり、はっきり、聞こえる声で」
本番で緊張すると、
「黙ってはいけない」
「早く答えなければ」
と思ってしまいます。
すると、
緊張する
↓
沈黙が怖くなる
↓
早口になる
↓
考える時間がなくなる
↓
さらに言葉が出なくなる
↓
ますます焦る
という状態になりがちです。
だからこそ、緊張しているときほど、
ゆっくり。
はっきり。
相手に十分聞こえる声で。
話してください。
少し考える時間が必要になることもあります。
焦って不明瞭な英語を話すより、
少し考える
↓
一文話す
↓
次の一文を考える
というくらいの気持ちで、一文ずつ相手に届けていきましょう。
間違ってもいいから、もごもご話さない
自信がないと、どうしても声が小さくなります。
しかし、よい内容を話していても、相手に聞こえなければ伝わりません。
文法を間違えることを恐れて小さな声になるより、
「間違ってもいいから、はっきり伝える」
という意識を持つことが大切です。
試験官をしっかり見て話す
質問を聞くときには、試験官をしっかり見る。
答えるときにも試験官の方を見て、できれば相手の目を見ながら話します。
覚えてきた英文を一方的に再生するのではなく、
「目の前の人に、自分の考えを伝えている」
という意識を持つことが大切です。
相手の反応も感じながら話す。
それが、本来のコミュニケーションに近い話し方です。

5.練習では「何問できたか」より「なぜできなかったか」

二次試験が近づくと、
「今日は過去問を5題やった」
「何年分も練習した」
というように、どうしても練習した問題数に目が向きます。
もちろん、過去問に慣れることは大切です。
しかし、それ以上に大切なのが、
「なぜ、うまく答えられなかったのか」
を確認することです。
質問そのものを聞き間違えたのか。
一般論と自分自身についての質問を取り違えたのか。
質問はわかったけれど、答える内容が思いつかなかったのか。
言いたいことはあったけれど、英語が出なかったのか。
イラストの動作を表す基本動詞がわからなかったのか。
絵の説明に必要な情報が不足していたのか。
ストーリーの流れが伝わらなかったのか。
話している内容の理由や具体例がつながっていなかったのか。
緊張して早口になったのか。
原因がわかれば、
「では、次に何を練習すればよいか」
も見えてきます。
自分の答えを録音してみる
スマートフォンなどで、自分の答えを録音するのもおすすめです。
聞き直すときには、最初から細かな文法ミスばかりを探す必要はありません。
まず、
「質問にきちんと答えているか」
「話の筋が通っているか」
「相手に内容が伝わるか」
「イラストなら、その場面が頭に浮かぶか」
「声が小さすぎないか」
「速すぎないか」
を確認してみましょう。
うまく答えられなかったものは、一度2~3文程度で書いて整理してから、もう一度、できるだけ原稿を見ずに話してみるのもよい方法です。
AIを利用して、
「この答えは質問に合っていますか」
「結論と理由はつながっていますか」
「もっとわかりやすく伝えるには、どこを直せばよいですか」
などと確認することもできます。
大切なのは、細かな間違いをすべてなくすことではありません。
できなかった原因を一つ見つけて、修正し、もう一度話してみることです。
まとめ――「何か英語を話す」のではなく、「相手に答えを伝える」
二次試験では、難しい単語や表現をたくさん知っていることだけが大切なのではありません。
質問を最後までしっかり聞く。
何を聞かれているのかを正確につかむ。
わからなければ、適当に推測して答え始めない。
自分自身についてなのか、一般論なのかを区別する。
パッセージなら、本文をきちんと確認する。
イラストなら、基本動詞を使って具体的に描写する。
ストーリーなら、動作だけでなく状況や気持ちの変化まで伝える。
意見問題なら、
結論 → 理由 → 具体例・根拠
と筋道を立てる。
そして、
ゆっくり。
はっきり。
相手に聞こえる声で。
試験官をしっかり見て話す。
こうした一つ一つのことが、スピーキングではとても大切です。
二次試験の練習では、
「今日は何問やったか」
だけではなく、
「今日、自分は何ができなかったのか」
を一つ見つけてみてください。
そして、その原因を考えて、修正して、もう一度話してみる。
聞く → 考える → 話す → 振り返る → もう一度話す
この繰り返しによって、単に「試験で答えるための英語」ではなく、「相手に伝えるための英語」に少しずつ変わっていきます。
英検二次試験も、結局は人と人とのコミュニケーションです。
「間違えないように話す」から、
「相手に伝わるように話す」へ。
本番では、ぜひそのことを意識してみてください。
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