「もっと速く読まなきゃ」と思う前に、読み方を振り返ってみませんか?
「また最後まで行けなかった……」
共通テストの過去問や模試を解いて、そんなふうに焦ったことはありませんか?
急いで読むと内容が頭に入らない。でも、丁寧に読んでいると時間が足りない。「自分は読むのが遅いから」と思ってしまう人も多いかもしれません。
でも、時間が足りない原因は、本当に「読むスピード」だけでしょうか。
2026年度の共通テスト英語リーディングは80分・大問8題。本文だけでなく、図表や選択肢なども含めると、約5,600語もの英語を処理します。
これだけの量を時間内に解くために大切なのは、ただ速く読むことではありません。まず、「自分はどこで時間を失っているんだろう?」と原因を見つけることです。
① 知らない単語が出るたびに止まっていませんか?
語彙力は、もちろん長文読解の土台です。でも、本番で知らない単語が一つ出るたびに「何だったかな?」と考えていたら、なかなか先へ進めません。
そんなときは、「この単語が分からなくても、話の流れは追えるかな?」と考えてみましょう。品詞や前後の文脈、背景知識などから、おおよその意味を推測できることもあります。
もう一つ大切なのが「パラフレーズ」です。英語では同じ言葉を何度も繰り返さず、同じ内容を別の表現に言い換えることがよくあります。「知らない表現が出てきた」と思っても、実は前に出てきた内容を別の言葉で表しているだけかもしれません。
「これは前に出てきた何を言い換えているんだろう?」と考えてみる。そんな読み方も、文章のつながりを見失わないための大切なコツです。
分からない単語は本番では推測して進む。そして復習ではきちんと確認して覚える。 この切り替えをしてみましょう。
② 単語は分かるのに、「結局この文、何を言っているの?」となりませんか?
単語の意味はだいたい分かる。それなのに文が長くなると途中で分からなくなり、また最初から読み直してしまう。
そんな人は、単語ではなく「英文の構造」をつかむところに原因があるかもしれません。
日本語と英語では、情報の並べ方が違います。英語では基本的に、まず「誰が・何が」「どうする・どうである」という文の中心が示され、そこに説明や詳しい情報が加わっていきます。
長い英文に出会ったら、最初からすべてを同じように理解しようとせず、「この文の主役は何?」「中心となる動詞はどれ?」「何がどうしたの?」「誰が何をどう考えているの?」と、まず文の骨格をつかんでみましょう。
そのためには、名詞・動詞・形容詞・副詞といった品詞の知識も大切です。骨格が見えたうえで、関係詞や分詞、動名詞、分詞構文などが、そこにどんな情報を付け加えているのかを見ると、長い英文も整理しやすくなります。
一語ずつ日本語に置き換えるのではなく、まず英文の「骨組み」をつかみ、あとから付け加えられた情報を整理する。
これができるようになると、同じ一文を何度も読み直すことが少しずつ減ってきます。
③ 一文一文は読める。でも、読み終わったら「何の話だった?」となる人へ
一文ずつなら意味は取れる。それなのに長文を最後まで読むと、「結局、何を言いたかったんだろう?」となってしまう。
そんな人にぜひ試してほしいのが、「段落読み」です。
英文の説明文や論説文では、それぞれの段落に中心となる内容や役割があります。一段落読んだら、「結局、この段落で筆者が一番言いたいことは何?」と考えてみてください。
そのとき手がかりになるのが、however、on the other hand、therefore、as a result、for exampleなどの「ディスコースマーカー」です。「ここで話の方向が変わる」「ここから結果だ」「これは具体例だ」と、文章の流れを教えてくれます。
そして一段落読み終わったら、段落の最初や余白に、
「問題提起」「原因」「具体例」「筆者の主張」「解決策」
など、ごく短いメモを残してみるのもおすすめです。「SNSの問題点」「研究結果」のように、内容を数語で書いても構いません。
長い要約を書く必要はありません。あとで見たときに、「この段落には何が書いてあったか」が分かれば十分です。
こうして段落ごとの内容をつないでいくと、「問題提起 → 原因 → 具体例 → 対比 → 結論」という文章全体の地図が見えてきます。
「一文を読む → 段落を読む → 文章全体を読む」
この感覚が身についてくると、英文を少し高いところから眺められるようにな
④ 最初から最後まで、全部同じように読んでいませんか?
「速く読まなくちゃ」と思うと、すべての英文を同じスピードで読もうとしてしまいがちです。
でも、速読とは、最初から最後まで猛スピードで読むことではありません。
文章全体の流れが見えてくると、「ここは筆者の主張だから大事」「ここで話が変わったから、しっかり読もう」と判断できるようになります。そんなところは少しスピードを落として、確実に意味を押さえます。
一方、「ここは先ほどの主張を説明する具体例だ」と分かれば、細部の一語一語に同じ時間をかける必要はありません。「何の例なのか」を押さえて、少し速めに進むことができます。
「ここはじっくり」「ここは大きくつかんで先へ」。
文章の重要度に合わせて読むスピードに緩急をつける。これも、時間内に読み切るための大切な力です。
⑤ 英文は読めるのに、問題を解いているうちに時間がなくなる人へ
実は、英文そのものはかなり読めているのに、問題を解くところで時間を失っている人もいます。
本文を全部読んでから設問を見て、「あれ、どこに書いてあった?」と本文を探し直す。それを何度も繰り返していませんか?
長文を読み始める前に、まず設問をざっと見てみましょう。選択肢まで最初から細かく読む必要はありません。「理由を聞かれるんだな」「二人の意見の違いを探すんだな」「筆者の主張を問われるんだな」と、何を探しながら読めばよいのかを頭に入れておきます。
そして本文を読みながら、「ここがこの設問の答えの根拠になりそう」と思ったところには、下線や印をつけておきましょう。
選択肢を選ぶときも、「なんとなくこれかな?」ではなく、
「本文のここにこう書いてある。だからこの答え。」
と言えるかどうかを確認します。
逆に、「この答えだと思うけれど、本文のどこが根拠なのか分からない」というときは、もう一度その答えを疑ってみる。これはぜひ身につけてほしい習慣です。
段落ごとの短いメモと、答えの根拠につけた印があれば、見直すときにも全文を最初から読み直す必要はありません。「あの内容はこの段落」「この問題の根拠はここ」と、必要な場所にすぐ戻れるようになります。
「もっと速く」ではなく、「どこで時間を失っている?」と考えてみよう
次に共通テストの過去問や模試を解いたら、点数だけを見て終わらせず、少しだけ自分の読み方を振り返ってみてください。
単語で止まった?
文の構造が取れなかった?
段落のつながりを見失った?
全部を同じように読んでいた?
それとも、設問と本文を何度も行ったり来たりしていた?
「時間が足りない」という一つの悩みに見えても、原因は人によって違います。原因が分かれば、「もっと速く読まなくちゃ」という漠然とした焦りが、「自分はここを練習すればいい」という具体的な課題に変わります。
そして、語彙が増え、英文の構造が見え、段落から文章全体を俯瞰して読める余裕が出てくると、英文はだんだん「解かなければならない問題」だけではなくなってきます。
英文を読んだからこそ初めて知ることがあったり、そこから新しいことに興味を持ったりする。ときには、「この話、日本語で読むより英語で読んだ方が面白いな」と感じることさえあります。
「問題を解くために読む」から、「この先に何が書いてあるんだろう」と思って読むへ。
「最後まで終わらない」と悩んでいるなら、まずは無理にスピードを上げる前に、「私はどこで時間を失っているんだろう?」と考えてみてください。
そこに、今のあなたに必要な勉強のヒントがきっとあります。