中古住宅を購入するとき、売買契約書や重要事項説明書と一緒に「付帯設備表」という書類を受け取ることがあります。
キッチン、給湯器、エアコン、照明、浴室設備などについて記載されている書類ですが、初めて見る方は、
「設備があるかどうかを確認するだけの書類?」
「『有』になっていれば、正常に使えるという意味?」
「引渡し後に壊れていたらどうなるの?」
と疑問に感じるかもしれません。
付帯設備表を見るときに大切なのは、単に設備の「有・無」を確認することではありません。
何が物件に残るのか。
現在どのような状態なのか。
故障や不具合についてどのように記載されているのか。
契約書では設備についてどのような取り扱いになっているのか。
こうした点を、売買契約書や物件状況報告書などとあわせて確認する必要があります。
今回は、中古住宅の売買実務で付帯設備表を見るときのポイントを、一般の住宅購入者向けに整理します。
■そもそも付帯設備表とは?
中古住宅には、建物そのものとは別にさまざまな設備があります。
例えば、
・給湯器
・キッチン設備
・換気扇
・エアコン
・照明器具
・浴室設備
・洗面設備
・温水洗浄便座
・インターホン
・床暖房
などです。
こうした設備について、売主から買主へ何を引き渡すのか、その設備が現在どのような状態なのかを確認するために使用されるのが付帯設備表です。
ただし、使用される書式や記載項目は取引によって異なります。
そのため、「付帯設備表という名前の書類があるから大丈夫」と考えるのではなく、実際に何が記載されているのかを見ることが重要です。
■「有」と書いてあれば正常に使えるとは限らない
付帯設備表で最初に目に入りやすいのが、「有」「無」という欄です。
ここで注意したいのは、
「有=正常に使用できる」
とは限らないことです。
例えば給湯器について「有」と記載されていても、備考欄に、
・作動するが古い
・リモコンの一部が反応しにくい
・追い焚き機能に不具合がある
などと書かれている場合があります。
逆に「無」と記載されている設備についても、現地には置いてあるものの、売主が撤去して持っていく予定ということがあります。
そのため、付帯設備表は、
「あるか、ないか」
だけではなく、
「引渡し対象なのか」
「現在どのような状態なのか」
まで一緒に確認することがポイントです。
■設備の故障・不具合欄を確認する
中古住宅では、設備も一定期間使用されています。
築年数が経過していれば、建物だけでなく給湯器、エアコン、換気扇、食洗機なども相応に年数が経過している可能性があります。
付帯設備表に設備の故障や不具合を記載する欄があれば、その内容を確認します。
例えば、
・給湯器の作動状況
・エアコンの冷暖房
・換気扇の作動
・食器洗浄乾燥機の作動
・浴室乾燥機の作動
・温水洗浄便座の作動
・インターホンの作動
などです。
設備は、内見時に見ただけでは作動状況まで分からないことがあります。
特に空室物件では、電気、ガス、水道が止まっており、その場で動作確認できないケースもあります。
その場合は、
「この設備は動作確認されていますか?」
と確認しておくと、状況を整理しやすくなります。
■製造年や交換時期も判断材料になる
付帯設備表に製造年まで書かれているとは限りません。
しかし、設備について気になる場合は、交換時期や使用年数を確認することも一つの方法です。
例えば、中古戸建てを購入する際に、
「給湯器は付いています」
と説明されただけでは、購入後の維持費までは分かりません。
ところが、
「給湯器は約12年前から使用している」
「エアコンは3年前に交換した」
「食洗機は以前故障したため現在使用していない」
と分かれば、購入後の修理や交換を考えるための材料になります。
ここで重要なのは、設備が古いから購入すべきではない、ということではありません。
設備の状態を把握したうえで、購入後にどの程度の維持管理を想定するかを考えるための情報として確認します。
■残置物との違いも確認する
中古住宅では、「設備」と「残置物」の扱いについて確認したいケースがあります。
例えば、
・エアコン
・照明器具
・カーテン
・家具
・物置
などです。
売主がそのまま置いていくものが、すべて同じ条件で引き渡されるとは限りません。
「設備として引き渡すもの」なのか、
「売主が撤去せず残していくもの」なのか、
契約上の扱いを確認します。
例えば、
「エアコンは残すが、残置物扱いとする」
という条件になっているケースもあります。
このような場合は、単純に「エアコン付き物件」と考えるのではなく、契約書や特約事項でどのような扱いになっているのかまで確認した方が分かりやすいでしょう。
■付帯設備表だけを単独で読まない
これは不動産売買の書類全般に言えることですが、一つの資料だけで判断しないことが重要です。
付帯設備表を見るときには、
・売買契約書
・重要事項説明書
・特約事項
・物件状況報告書
・販売図面
などもあわせて確認します。
例えば、
付帯設備表には、
「給湯器あり」
と記載されている。
一方、契約書の特約には、
「付帯設備について売主は修補義務を負わない」
といった条件が記載されていることがあります。
この場合、「設備がある」という情報だけでは契約条件の全体像は分かりません。
実務では、このように複数の書類を照らし合わせながら、
「何を引き渡すのか」
「どのような状態なのか」
「故障した場合の取り扱いはどうなっているのか」
を整理していきます。
■内見時と引渡し時で設備が変わっていないか
内見したときに置いてあったものが、すべて引渡し時まで残るとは限りません。
例えば内見時に、
・リビングのエアコン
・ペンダント照明
・庭の物置
があったとしても、売主の所有物として引渡しまでに撤去されることがあります。
反対に、売主が撤去する予定だったものが残されるケースも考えられます。
そのため、
「内見したときにあったから当然付いてくる」
と考えるのではなく、付帯設備表や契約条件で確認することが大切です。
■よくある勘違い「設備は引渡し直前まで保証される?」
中古住宅の付帯設備については、取引ごとに契約条件が異なります。
設備について売主がどの範囲まで対応するのか、一定期間の取り決めがあるのか、現況での引渡しなのかなどは、契約内容を確認する必要があります。
そのため、
「中古住宅なら普通はこうなっているはず」
と一般論だけで判断しない方が安全です。
確認するべきなのは、
「今回の契約ではどうなっているか」
です。
同じ中古住宅でも、売主が個人の場合、不動産会社の場合、築年数や設備の状態などによって契約内容は異なることがあります。
■不動産会社へ確認するときの質問例
付帯設備表を見て分からない部分があれば、例えば次のように質問すると整理しやすくなります。
・この設備は引渡し時にも残りますか?
・現在故障している設備はありますか?
・動作確認をしていない設備はありますか?
・このエアコンは設備ですか、それとも残置物ですか?
・給湯器はいつ頃交換したものですか?
・引渡し前に設備の状態を確認できますか?
・付帯設備が引渡し前に故障した場合はどうなりますか?
・引渡し後に不具合が分かった場合の取り扱いは契約書のどこに書かれていますか?
・付帯設備表と契約書の特約はどのような関係になっていますか?
ポイントは、「使えますか?」だけで終わらせないことです。
「契約上どのような条件で引き渡されるのか」まで確認すると、より具体的に理解できます。
■まとめ
付帯設備表を見るときは、設備の「有・無」だけを確認して終わらせないことが大切です。
確認したいのは、
・何が引渡し対象になるのか
・現在故障や不具合がないか
・動作確認されているか
・設備と残置物が区別されているか
・契約書や特約ではどのような条件になっているか
・内見時と引渡し時で何が変わるのか
といった点です。
中古住宅では、建物だけでなく設備についても「現状を知ったうえで契約条件を確認する」という視点が重要になります。
付帯設備表は一見すると簡単なチェック表に見えますが、売買契約書や物件状況報告書などと一緒に読むことで、その役割がより分かりやすくなります。
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