♦労災指定病院と指定外病院の違い
労災指定医療機関とは?
仕事中にケガをして病院へ行くとき、「どこの病院へ行っても同じ」と思っていませんか?
実は、労災で治療を受ける場合には「労災保険指定医療機関」という病院や診療所があります。
労災保険指定医療機関とは、労災保険による療養の給付を行う医療機関として、都道府県労働局長の指定を受けた病院や診療所のことです。
指定医療機関かどうかによって、治療費の請求方法が変わります。
♦病院を受診するときは「仕事中のケガ」と伝えよう
仕事中にケガをして病院を受診するときは、受付で
「仕事中にケガをしました」
と伝えましょう。
仕事中や通勤途中のケガは、原則として健康保険ではなく労災保険の対象になります。
会社に迷惑をかけたくないからと、仕事中のケガを隠して健康保険を使うのは避けましょう。
また、会社が「労災ではない」と判断したからといって、それだけで労災保険を請求できなくなるわけではありません。
最終的に労災保険給付の支給・不支給を決定するのは、労働基準監督署長です。
♦労災指定病院で受診した場合
仕事中のケガで労災指定医療機関を受診した場合、原則として治療費を窓口で負担せずに必要な治療を受けることができます。
業務災害の場合は「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を使用します。
通勤災害の場合は「療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)」です。
必要な請求書を、治療を受けている指定医療機関を経由して所轄の労働基準監督署長へ提出します。
事故直後は必要書類がまだ手元にないこともあります。
その場合の窓口での支払いなどについては医療機関によって対応を確認する必要がありますので、受付で「労災の予定です」と伝えて確認しておくと安心です。
♦労災指定外の病院で受診した場合
労災指定医療機関ではない病院でも、労災の治療を受けることはできます。
ただし、指定医療機関とは請求方法が異なります。
指定外の医療機関では、いったん治療費を自分で負担し、その後、労災保険へ「療養の費用」を請求する方法があります。
業務災害の場合は「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)」、通勤災害の場合は「様式第16号の5」を使用します。
請求書は所轄の労働基準監督署長へ提出します。
「指定外の病院に行ってしまったから、もう労災にできない」ということではありません。
♦治療費を先に払ってしまったら?
事故直後は混乱しているため、
「労災だと伝えずに受診してしまった」
「とりあえず治療費を払った」
ということもあります。
すでに治療費を自己負担していても、労災保険の対象となれば、負担した療養費について請求できる場合があります。
そのため、病院から受け取った領収書などは捨てずに保管しておきましょう。
また、健康保険を使って受診してしまった場合には、健康保険から労災保険への切り替えが必要になることがあります。
手続きに時間がかかる場合もあるため、まず医療機関や加入している健康保険、必要に応じて労働基準監督署へ確認しましょう。
♦受診前・受付で確認しておきたいこと
仕事中にケガをすると、本人も会社も慌ててしまいます。
だからこそ病院へ行くときは、まず次のことを意識してみてください。
・受付で「仕事中のケガ」であることを伝える
・労災指定医療機関かどうかを確認する
・治療費を支払った場合は領収書などを保管する
・健康保険を使ってしまった場合は、そのままにせず確認する
事故が起きた直後に、すべての労災手続きを理解している必要はありません。
まずは必要な治療を受けること。
そして「仕事中のケガです」と医療機関へ伝えることが大切です。
病院が労災指定医療機関なのか、指定外なのかを知っておくだけでも、その後の手続きを進めやすくなります。
次回は、労災の申請に使う書類について、初めての方にもわかりやすくお伝えします。
【参考資料】
厚生労働省「労災保険 療養(補償)等給付の請求手続」「業務中や通勤途中のケガに、健康保険は使えません!!」「労災保険に関するQ&A」
※2026年9月3日確認