【第12章】労災保険では、どんな給付を受けられるの?

【第12章】労災保険では、どんな給付を受けられるの?

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治療・休業・障害の3つをわかりやすく解説 

仕事中や通勤途中にケガをして、労災を申請することになったとき、

「労災保険では、何を補償してもらえるの?」

と気になる方も多いのではないでしょうか。

労災保険には、治療費だけではなく、仕事を休んだ場合や、治療後に障害が残った場合など、状況に応じたさまざまな給付があります。

今回はその中から、

① 治療が必要になったとき
② 仕事を休むことになったとき
③ 治療後に障害が残ったとき

この3つについて見ていきます。

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① 治療が必要になったとき ― 療養補償給付


仕事中のケガや病気で治療が必要になった場合、「療養補償給付」という制度があります。

労災保険指定医療機関などで治療を受ける場合は、原則として治療費を自己負担せず、必要な治療を受けることができます。

これを「療養の給付」といいます。

ただし、労災指定医療機関であっても、必要な請求書類を提出するまでの間など、一時的に治療費の支払いを求められる場合があります。

医療機関によって取り扱いが異なるため、受診時に確認しておくと安心です。

一方、労災保険指定医療機関以外で治療を受けた場合は、いったん本人が治療費を支払い、その後、労災保険へ請求して支給を受ける方法があります。

こちらは「療養の費用の支給」といいます。

以前の記事で紹介した「様式第5号」や「様式第7号」も、この療養補償給付を受けるための手続きに使われる書類です。

また、通院のための交通費についても、一定の要件を満たす場合には支給の対象となることがあります。

※通勤災害の場合は「療養給付」と呼ばれ、使用する請求書の様式も異なります。


② 仕事を休むことになったとき ― 休業補償給付


労災によるケガや病気で、治療のため仕事を休まなければならないこともあります。

そんなときに生活を支える制度が「休業補償給付」です。

休業補償給付は

・労災によるケガや病気の療養のため
・仕事をすることができず
・賃金を受けていない

という要件を満たした場合に、休業4日目から支給されます。

では、最初の3日間はどうなるのでしょうか?

休業初日から3日目までは「待期期間」といいます。

業務災害の場合、この3日間については、会社に労働基準法に基づく休業補償が義務づけられています。

法律上、1日につき平均賃金の60%の休業補償が必要です。

会社の就業規則などによっては、これを上回る補償が行われる場合もあります。

そして休業4日目からは、労災保険から、

休業補償給付 給付基礎日額の60%
休業特別支給金 給付基礎日額の20%

合わせて給付基礎日額の80%相当が支給されます。

ここで注意したいのは、「普段受け取っている給与の80%が、そのまま支給される」という意味ではないことです。

計算の基礎となる「給付基礎日額」は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額です。

実務でも、

「最初の3日間はどうなるの?」

という問い合わせは多くありました。

「休業4日目から支給」という言葉と一緒に、最初の3日間には待期期間があることも覚えておきたいポイントです。

※通勤災害の場合は「休業給付」と呼ばれ、待期3日間について、業務災害と同じ会社の休業補償義務はありません。


③ 治療後に障害が残ったとき ― 障害補償給付


治療を続けても、身体に障害が残ることがあります。

労災によるケガや病気が「治ゆ(症状固定)」したあと、法令で定められた障害等級に該当する障害が残った場合に支給されるのが「障害補償給付」です。

ここでいう「治ゆ」とは、

「ケガや病気が完全に元どおりになった」

という意味だけではありません。

症状が安定し、一般的な治療を続けても、それ以上の改善が期待できない状態も、労災保険では「治ゆ(症状固定)」として扱われます。

障害の程度は、法令によって第1級から第14級までに分けられています。

第1級~第7級 → 障害補償年金
第8級~第14級 → 障害補償一時金

というように、障害の程度に応じた給付が行われます。

そのため、治療後に障害が残っていれば自動的に支給されるものではなく、法令で定められた障害等級に該当するかどうかが確認されます。

※通勤災害の場合は「障害給付」と呼ばれます。

労災保険は「治療費」だけではありません


労災保険というと、

「仕事中にケガをしたときの治療費」

というイメージが強いかもしれません。

でも実際には、

治療する → 療養補償給付
仕事を休む → 休業補償給付
障害が残る → 障害補償給付

というように、その後の状況に応じた給付があります。

そして労災保険には、このほかにも、療養が長期間にわたった場合や介護が必要になった場合、亡くなられた場合などに設けられている給付があります。

次回は、その続きを見ていきます。


※この記事では制度の概要をわかりやすく紹介しています。実際の支給要件や判断は個々のケースによって異なるため、詳しくは所轄の労働基準監督署などへご確認ください。

【参考資料】
・厚生労働省「労災保険給付の概要」
・厚生労働省「療養(補償)等給付」
・厚生労働省「休業(補償)等給付」
・厚生労働省「障害(補償)等給付」
・労働基準法 第76条(休業補償)
(2026年9月24日確認)

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