【第10章】第三者行為災害ってどんなもの?

【第10章】第三者行為災害ってどんなもの?

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コラム

 交通事故だけではありません 


通勤途中、信号待ちをしていたら後ろから車に追突された。

仕事中、配送業者が押していた台車がぶつかってケガをした。

駅のエスカレーターで、上から落ちてきたスーツケースがぶつかった。

こうした「自分以外の人」が関係する事故では、通常の労災申請とは少し違う手続きが必要になることがあります。

今回は、私が実務でも数多く携わってきた「第三者行為災害」についてお話しします。

① 第三者行為災害って?


第三者行為災害とは、仕事中や通勤途中に、第三者の行為などによってケガをし、その第三者に損害賠償の義務がある場合の災害です。

ここでいう「第三者」とは、政府・事業主・労災保険の受給権者(被災した本人)以外の人をいいます。

代表的なのが、通勤途中の交通事故です。

たとえば、

・信号待ち中に後ろの車から追突された
・右折時に直進車と衝突した
・バイクで走行中、車と接触して転倒した
・一時停止を無視して進入してきた車と衝突した

などです。

でも、第三者行為災害は交通事故だけではありません。

仕事中に外部の配送業者の台車がぶつかった場合など、第三者が関係する事故が該当することもあります。

事故の状況によって扱いは異なるため、「これって第三者行為災害?」と迷ったときは、所轄の労働基準監督署へ確認しましょう。

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② 交通事故が起きたら、まず何を確認する?


交通事故の場合、ケガへの対応と安全確保を最優先にし、警察へ事故の届出をします。

そのうえで、手続きに必要となる情報を確認していきます。

実務では、次のようなことを確認していました。

・相手の氏名・住所・連絡先
・相手の車両番号など
・加入している保険
・警察へ届けているか
・交通事故証明書の内容
・過失割合がわかっているか
・すでに示談しているか
・治療費などを、どこから補償してもらっているか

事故直後は、本人も混乱しています。

相手の情報や保険について「よくわからない」というケースも珍しくありませんでした。

わからないことは無理に判断せず、確認できるものから一つずつ整理していきます。

③ 「交通事故証明書」も確認します


交通事故の場合は、交通事故証明書が必要になります。

私が携わったケースでは、本人が取得する場合もあれば、
相手方の保険会社が取得した交通事故証明書のコピーを、ご本人から保険会社へ依頼して取り寄せていただくケースもありました。

交通事故証明書の取得には実費がかかります。

そのため、

「どうして被害に遭った自分が用意しなければならないの?」

と納得できない方もいらっしゃいました。

そのお気持ちはよくわかります。

そんなときは必要な理由をご説明し、相手方の保険会社にも相談していただくなど、ご本人が納得できる方法を一緒に確認していました。

④ 第三者行為災害では、通常とは違う書類もあります


交通事故による第三者行為災害では、通常の労災保険給付の請求書とは別に、第三者行為災害に関する書類が必要になります。

主なものには、

・第三者行為災害届
・念書(兼同意書)
・交通事故証明書

などがあります。

交通事故証明書が得られない場合には、「交通事故発生届」を提出します。

事故の状況によって必要書類が異なることもあるため、提出先の労働基準監督署へ確認すると安心です。

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⑤ 治療費は「どこから補償されている?」を確認


交通事故では、労災保険だけでなく、自賠責保険や任意保険などが関係することがあります。

実務では、

「現在の治療費は誰が支払っていますか?」

「相手方の保険会社が対応していますか?」

といったことも確認していました。

最初は労災として申請を進めていたものの、確認していくと治療費などが相手方の保険ですべて対応されることになり、労災保険給付の請求を取り下げたケースもありました。

反対に、相手方の保険による補償が終了したあとも治療が必要で、労災保険給付の請求について労働基準監督署へ確認しながら進めたケースもあります。

事故によって状況は本当にさまざまです。

なお、車やバイクなどの修理費は、労災保険の給付対象ではありません。

「事故にかかった費用なら全部労災で補償される」というわけではないので注意しましょう。

⑥ 「示談」はちょっと待って!


第三者行為災害で、特に気をつけたいのが示談です。

交通事故では、相手方や保険会社から示談の話が出ることがあります。

しかし、示談の内容によっては、その後の労災保険給付に影響する場合があります。

私も実務では、

「示談する前に、まず労働基準監督署へ相談してください」

とお伝えしていました。

「示談したら必ず労災が使えなくなる」という意味ではありません。

大切なのは、内容をよく確認しないまま示談を成立させないことです。

示談する前に、労働基準監督署へ相談しておきましょう。


⑦ 第三者行為災害は、一人で判断しなくて大丈夫


第三者行為災害は、

「労災なの?」
「相手の保険なの?」
「どの書類を出すの?」
「示談しても大丈夫?」

と、わからないことが一度に出てきやすい手続きです。

私自身、実務でたくさんの交通事故案件に携わりましたが、一つとしてまったく同じ事故はありませんでした。

だからこそ、わからないことを無理に自分だけで判断する必要はありません。

事故の状況を整理して、必要に応じて労働基準監督署や関係する保険会社、医療機関などへ確認しながら、一つずつ進めていきましょう。

まとめ


第三者行為災害という言葉を見ると、難しい制度のように感じるかもしれません。

でも、まず覚えておいてほしいのは、

「仕事中や通勤途中の事故で、ほかの人が関係していたら、通常の労災とは少し手続きが違うことがある」

ということです。

そして交通事故の場合は、

警察への届出・相手方の情報・保険・治療費の補償状況・示談の有無

などを確認していきます。

特に示談は、その後の労災保険給付に影響する場合があります。

迷ったときは、一人で判断せず、所轄の労働基準監督署へ確認してくださいね。😊


※本記事は、厚生労働省等の公表資料および筆者の労災申請事務に携わった実務経験をもとに、一般的な手続きの流れをわかりやすく整理したものです。個別の事故について労災保険の対象になるかどうかを判断するものではありません。実際の手続きについては、所轄の労働基準監督署へご確認ください。
【参考資料】(2026年9月17日確認)
・厚生労働省「第三者行為災害について」
・厚生労働省「第三者行為災害届に添付する書類」
・厚生労働省「第三者行為災害関係主要様式」
・都道府県労働局「第三者行為災害について」



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