仕事中にケガをすると、突然のことで「まず何をすればいいの?」と戸惑うことがあります。
大切なのは、慌てて手続きを始めることではありません。
まず必要な治療を受け、会社へ事故を報告し、起きたことを記録しておきましょう。
この3つを押さえておくと、その後の労災申請を進めるときに状況を整理しやすくなります。
♦まず会社に事故が起きたことを伝える
仕事中に事故やケガが起きたら、まず上司や会社の担当者へ報告しましょう。
「いつ」「どこで」「どのような作業をしていて」「どこをケガしたのか」を、できるだけ具体的に伝えることが大切です。
たとえば、
・午前10時ごろ
・工場内の作業場で
・荷物を運んでいる途中に足を滑らせ
・右手を床について手首を痛めた
というように整理すると、状況が伝わりやすくなります。
会社への報告は、その後の労災申請に必要な事実関係を確認するうえでも重要です。
なお、「会社が労災と認めてくれなければ申請できない」というわけではありません。
労災保険給付の支給・不支給を決めるのは会社ではなく、請求を受けた労働基準監督署長です。会社から事業主証明を得られない場合でも請求はできるため、そのようなときは労働基準監督署へ相談しましょう。
♦病院を受診するときに仕事中の事故だと伝える
ケガをして病院へ行くときは、受付で「仕事中にケガをしました」と伝えましょう。
仕事や通勤が原因のケガなどには、原則として健康保険ではなく労災保険の手続きを行います。
労災保険指定医療機関を受診する場合、業務災害であれば「様式第5号」など所定の請求書を医療機関へ提出することで、対象となる治療について原則として窓口で治療費を負担せずに受けられます。
ただし、事故直後は書類の準備が間に合わないこともあります。
まずは医療機関に仕事中のケガであることを伝え、必要な治療を受けましょう。
もし健康保険を使って受診してしまった場合でも、労災保険へ切り替えるための手続きがあります。
「もう健康保険を使ったから労災申請はできない」と自己判断せず、加入している健康保険や医療機関、労働基準監督署などに確認しましょう。
♦事故の状況をできるだけ早く記録する
事故が起きたときの状況は、できるだけ早いうちに記録しておきましょう。
時間がたつと、「何時ごろだった?」「どちらの手をついた?」など、細かな記憶があいまいになることがあります。
難しい書類を作る必要はありません。
まずはメモでもよいので、
・事故が起きた日時と場所
・事故当時にしていた仕事
・事故が起きた状況
・ケガをした場所や症状
・事故を見ていた人
・会社へ報告した日時や相手
・最初に受診した病院
などを残しておくとよいでしょう。
労災保険の請求書にも、「負傷又は発病年月日」や「災害発生の原因及び発生状況」などを記載する欄があります。
事故直後の記録は、後から申請書を書くためだけのものではありません。
「そのとき何が起きたのか」を正確に整理するための大切な記録です。
すべてを一度に完璧にそろえようとせず、まずは治療、会社への報告、事故状況の記録から始めましょう。
出典(2026年9月2日確認): 厚生労働省「労災保険給付関係主要様式」、厚生労働省「労災保険に関するQ&A」、厚生労働省「健康保険証を使って受診してしまいました。どうしたらよいでしょうか」。