「自己資金はいくらあればいいですか」
創業融資のご相談で、最初のほうに必ず出てくる質問です。そして、いちばん誤解が多いところでもあります。
■ 制度の要件と、実務で見られる水準は別の話です
まず前提として。必要な自己資金の要件は制度によって異なりますし、要件そのものが見直されることもあります。最新の内容は公庫の案内でご確認ください。
ここで書くのは、制度上の要件ではなく、実務で実際にどう見られているかの話です。
要件として自己資金が求められていない場合でも、審査では見られます。要件がないことと、見られないことは違います。
■ 実務でよく見る水準
総額の2割から3割、という数字が一つの目安として語られることが多いです。
600万円必要なら、150万円から200万円くらい。この水準があると、話がスムーズに進みやすい印象があります。
ただし、業種によって事情は変わります。設備にお金がかかる業種と、ほとんどかからない業種を、同じ割合で見るのは無理があります。
大事なのは割合そのものより、次の3つです。
■ 金額より見られている3つのこと
◆ 1. どうやって貯めたか
毎月コツコツ積み立てたお金は、それ自体が評価につながります。
理由は単純で、毎月一定額を貯められる人は、毎月一定額を返せると見られるからです。
通帳に、毎月同じ日に同じ金額が入っている履歴があれば、それは返済能力の証明になります。
◆ 2. いつ口座に入ったか
申込の直前に、まとまった金額が一括で入っている。これは必ず確認されます。
どこから来たお金なのかを説明できないと、そこで話が止まります。
親族からの援助であれば、隠す必要はありません。贈与なのか借入なのかをはっきりさせて、そのとおりに伝えるほうが早く進みます。
◆ 3. 本当に使えるお金か
生活費まで含めた口座残高を、そのまま自己資金として計上してしまう方がいます。
開業してから数ヶ月は、生活費も手元から出ていきます。そこまで使い切る前提の数字は、現実的ではないと読まれます。
■ 絶対にやってはいけないこと
借りたお金を、自己資金に見せることです。
カードローンや消費者金融から引いて口座に入れても、入出金の履歴を見れば分かります。
そして分かった時点で、金額の問題ではなく信用の問題になります。ここだけは、どんな事情があっても避けてください。
■ 足りないときの選択肢
自己資金が足りないと分かったとき、取れる道はいくつかあります。
・時期をずらして、貯める期間を作る
・開業の規模を小さくして、必要な総額のほうを下げる
・親族からの援助を、贈与か借入か整理したうえで正しい形にする
・設備を買わずに借りる、中古にするなど、初期費用を組み替える
補助金を自己資金の代わりに考える方がいますが、多くは後払いです。開業前の資金としては当てにしないほうが安全です。
■ 今日できること
通帳を、6ヶ月分さかのぼって見返してください。
見るのは残高ではなく、動きです。毎月の入金があるか。不自然な一括入金がないか。生活費がいくら出ているか。
この3つを自分の言葉で説明できる状態になっていれば、自己資金の話でつまずくことはほとんどありません。
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※ 融資の可否を保証するものではありません。制度の要件は変更されることがあるため、最新の内容は公庫の案内をご確認ください。個別の状況によって答えが変わる部分が多いため、気になる点があればメッセージでお尋ねください。