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日本へ来る前に必ず思い浮かべるもの。それは、焼き鳥だった。炭が赤くいこり、その上で串が焼かれている。煙が立ち上がる。肉の脂が炭に落ちる。ジュッという音がする。その匂いが、煙と一緒にこちらまで流れてくる。目と鼻が刺激される。そして、まだ注文したものが来ていないというのに、ビールが進んでしまう。こういうものは、説明するより食べたほうが早い。
ここの店主はベトナム人だった。日本の新世界で、ベトナム人が焼き鳥を焼いている。それだけでも、三年前の私なら少し不思議に感じただろう。でも、今の私には、それが妙に自然に見えた。日本にベトナム人がいる。ベトナムにも日本人がいる。国境を越えて人が移動する。
そんなことを考えていると、店の人の友達だという「ハーちゃん」がやって来た。二十代のベトナム人女性。留学生ビザで日本へ来て、その後も働きながら日本で暮らしている。もう日本に来て五年ほどになるという。彼女のベトナムの実家は、私もよく知っている場所だった。*本人の名前は変えています*
