日本を脱出した理由🇯🇵 序章

日本を脱出した理由🇯🇵 序章

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コラム
苦悩ばかりだった過去。それは、いつまでも引きずりがちだった。
けれど、すべてを精算する時が来た。

「日本」は、国名だけを意味するものではない。
日本とは、そこで生まれ育った人間の中に染み込んだ「心得」そのもの。

礼を重んじる。
謙虚でいる。
決まりを守る。
時間を正確に刻む。
正直でいる。
報告、連絡、相談をする。
義理と人情を大切にする。
自分たちが暮らす土地に宿るものを尊重する。


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日本には、古くから「八百万の神」という考え方がある。
山にも神がいる。海にも神がいる。森にも、川にも、岩にも、風にも、そして太陽にも...

太陽神・天照大神を祖とする神話や皇室につながる長い歴史もまた、日本人が自分たちの国を理解するうえで、切り離せないものの一つ。
「天皇家がいなければ日本はない」
そんな意見の背後には、単なる政治や制度だけでは説明できない、日本列島で長い時間を生きてきた人々の記憶があるのかもしれない。


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古代より、
日本に住むということは、「海や山とともに生きる」ことだった。
私は、そんな話を聞いたことがある。

自然は美しい。しかし、同時に恐ろしい。
台風が来る。
大雨が降る。
地震が起きる。
津波が襲う。
山が崩れる。
海が荒れる。
だからこそ、自然を敬い、神社に参拝し、
日々の仕事の無事を祈る。

「自然とともに生きる」という言葉は、
決して穏やかなだけの思想ではなかったのだと思う。
自然の前では、人間は小さい。
だから、自分を律する。
他者を尊重する。
目に見えないものにも敬意を払う。

そんな日本人の感覚は、
長い年月をかけて形づくられてきたのではないのだろうか。
ところが私は、そんな日本から離れる決心をした。

日本を離れた理由は、一つでは言い表せない。いろいろなことが積み重なり、いつの間にか「ここではない場所で生きてみたい」と思うようになっていた。


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2023年、私は日本を脱出。翌年、ベトナムへ移住した。

日本を嫌いになった。
そう言ってしまえば簡単なのかもしれない。
けれど、本当はもっと複雑だった。
かつて日本で受けた苦しみや違和感と、日本という国そのものを、同じものとして扱っていいのだろうか。
それが、海外に出てから私の中に残り続けた唯一かつ強い問い。
ベトナムで暮らし始めて、私は日本を忘れたかった。

ところが、忘れようとすればするほど、
日本のことを考えるようになった。

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人間というのは不思議なもの。離れて初めて見えるものがある。

失って初めて、
大切だったと気づくものがある。そして、
嫌いだったものの中にさえ、
自分を形づくった何かがあったことに気づく。

だから私は、もう一度、日本を見ることにした。

「日本に帰る」のではなく、
日本と向き合うために、行く。
それが、この旅の目的。

(つづく)
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