※このページは、私が過去に外部サイトで発表し、多くの反響をいただいたエッセイを「文章サンプル」として掲載しています。
実は、俺は7月から無職だった。
仕事で精神はすでにズタボロだった。
ストレスによる耳鳴り、めまい、体中を襲う謎の湿疹。
体に不調をきたすようになっても、一年以上頑張った。
でも会社では、誰も助けてはくれない。
いや、会社は何もしてくれない。
どれだけ改善を訴えても、見ざる聞かざる言わざるの逆ヴァージョンだ。
追い詰められて、壊れていく自分を守るためには、俺は仕事を辞めるしか選択肢がなかった。
「なぜだ? なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ?」
暗闇の中で、答えのない葛藤と悔しさで胸が張り裂けそうだった。
退職のタイミングも最悪だ。
自慢じゃないが貯金はない。
なぜなら、よりによってこの絶望のタイミングで、車の車検代を払ってしまったからだ。
そんなに貯金少ないんかい!と自分でもツッコミを入れたくなるが、これがリアルだ。
だから貯金はない。
だが、借金だけはたっぷりあるぜ。
仕事を辞めてからというもの、夜になると猛烈な罪悪感と恐怖が襲ってきた。
まさか自分の気持ちがこんな風になるなんて。
会社を辞めたらあんなこと、こんなことをしようと考えていたのに。
ノンストレスで自由に過ごそうって思ってたのに。
「俺は世間からドロップアウトした犯罪者なのか…?」
深夜、急にパニックになり、夜中に突然服を着替えて外へ飛び出したことも、一度や二度ではない。
呼吸が止まりそうなこの気持ち。
逃げ出したいが、どこにも逃げられない。
この体から抜け出したい。
全てから逃げ出したい。
でもどうにもならない。
こんな気持ちは初めてだ。
深夜、車をかっ飛ばし、車内で絶叫する俺。
完全に精神がおかしくなっていた。
だが俺は、なんとか冷静を取り戻し、残金と返済額を元に、冷酷な計算をしてみた。
その緻密なシミュレーションが弾き出した結論は、、
「俺は、このままでは8月で死ぬ予定である」
……なんで?
いや「なんで?」じゃない。
現実が残酷すぎるのだ。
もはや俺の視界から世界の色は完全に消え去り、灰色から漆黒の闇へと呑み込まれようとしていた。
俺は静かに目を閉じた。
このまま静寂の中に消えていくのか。
絶望。
もはや希望はない。
孤独死。
あぁ、もう俺の人生はお終いだ。
どうやっても、どう考えても、明るい未来は描けない。
だって無職やぞ。
働かぬ者食うべからず。
誰も何も言っていないのに、俺は罪悪感に押しつぶされそうだった。
人に会うのが怖い。
外に出るのが怖い。
何?何だって?
今の俺に「大丈夫」なんて言わないでくれ。
もはやポジティブなんて概念は存在しないし、やる気も元気も、気力もないんだ。
死ぬ勇気があるなら何でもできる。
ってそうじゃない。
もはや何もできない。何も考えられないんだ。
もちろん俺は自ら死んだりしない。
だが俺は、毎日ゾンビのように過ごしていた。
死んでいるのか、生きているのかわからない状態。
食欲も無くなり、どんどん痩せていく。
せっかく筋トレして体を鍛えたってのに、筋肉が消えていく。
いや、今はそんなことどうでもいい。
お金が消えていくことが、最も怖い。
このままでは、俺はこの夏を越えられない。
もっとやりたいことがあったのに。
こんなところで俺は死ぬのか?
…いや、待て。
待て待て待て。
ここで死んだら割に合わない。
こんな人生で終わるなんて、納得いかない。
もうちょっとこう、色々楽しみたいやん?
あんなこと、こんなことして、ウハウハしたいやん?
あかん、あかんぞ俺!これではあかんぞ!
なんか知らんが、急に活力が湧いてきた。
かわいさ余って憎さ百倍。
いや違うな、一周回って元気になるというか、もうこれ以上落ちようがないと思ったら、なんだかやる気が湧いてきた。
こうなったら、思いっきりあがいてやろう。
どうせ8月で死ぬのが分かっているのなら。
このまま黙って消えてやるものか。
死ぬ気で、全力で、泥臭くあがいてやろうじゃないか。
幸いにも、今の俺には「時間」だけはアホほどある。
職はない。金もない。
だが、俺には生々しいネタと生き様がある。
これは、8月に死ぬ予定だった俺が、崖っぷちであがき倒すサバイバルの記録(遺言)である。
灰色無職マンの生きた証、とくと見ていけよ!
マンがついてるから、一応ヒーローやぞ!
といっても誰も助けないけどな。
誰か俺を助けてくれ。
あ、ちなみに離職票はまだ届いていない。
なんでやねん。