業務マニュアルが読まれなくなるのは、書き方ではなく「決めていないこと」が原因です

業務マニュアルが読まれなくなるのは、書き方ではなく「決めていないこと」が原因です

記事
ビジネス・マーケティング
作った業務マニュアルが半年後に誰にも開かれていない、という話をよく聞きます。

原因を「書き方が悪い」「見た目が古い」と考えて作り直すと、また同じことが起きます。読まれなくなるマニュアルには、書く前に決めていなかったことが3つあります。

1. 誰が読むのかを決めていない

同じ業務でも、初日の人と3か月目の人では必要な情報がまったく違います。

初日の人は「どのボタンを押すか」を知りたい。3か月目の人は「例外が起きたときどうするか」を知りたい。両方を1つの文書に混ぜると、初日の人には長すぎて、3か月目の人には当たり前すぎる文書になります。

決めておくこと:この文書は誰の何日目に向けたものか。1つに絞れないなら、文書を分けます。

2. 判断が要る箇所を「注意」で済ませている

読まれなくなるマニュアルには「※注意してください」「適宜対応」という言葉が並んでいます。

これは書いた人が判断を言語化できなかった箇所です。読む側からすると、そこで手が止まります。止まった人は結局その場にいる誰かに聞くので、マニュアルは使われなくなります。

決めておくこと:判断が要る箇所は、条件の形に書き直す。

× 金額が大きい場合は注意してください
○ 税込5万円以上のときは、承認をもらってから進めます

条件が書けないなら、それは手順ではなく相談事項です。マニュアルから外して、相談先を書きます。

3. 間違えたときの戻し方を書いていない

ほとんどのマニュアルは「うまくいく道」しか書いていません。

実際に人が困るのは、押し間違えたとき、順番を飛ばしたとき、データが想定と違ったときです。ここが書いていないと、一度失敗した人はもうその文書を信用しません。

決めておくこと:各工程に「間違えたらどこまで戻るか」を1行。

・転記を間違えた → 貼り直すだけでよい
・送信してしまった → 取り消せないので、先に送信先を声に出して読む

この1行があるだけで、文書の性格が変わります。手順書から、安心して触れる道具になります。

AIに任せる部分を決めるときも同じです

最近は「この作業をAIに任せたい」というご相談も増えています。そのときも決めることは同じで、どこまでAIに渡して、どこから人が見るかを先に決めます。

私は自分のAIエージェントを長時間動かしていて、実際に事故も起こしました。分かったのは、事故は難しい工程ではなく「線を引いていない工程」で起きるということです。取り返しがつかない操作(送信・公開・削除・購入)の手前には、必ず人を1人入れます。速度ではなく、取り返しのつかなさで線を引きます。

まとめ

マニュアルが読まれないとき、直すべきは文章ではありません。

1. 誰の何日目に向けた文書か
2. 判断が要る箇所を条件の形にしたか
3. 間違えたときの戻し方が書いてあるか

この3つを決めてから書くと、長さは変わらないのに使われる文書になります。

業務マニュアルの作成をお引き受けしています。ご依頼をいただく前に、まず1業務ぶんの初稿をお出ししますので、文体と粒度をご覧になってからご判断ください。やり取りは文章のみで、お電話やビデオ会議は行っておりません。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す