数字は見えているのに、なぜチームは動かないのか

数字は見えているのに、なぜチームは動かないのか

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ビジネス・マーケティング
毎週、集計表は配られている。達成率も、進捗も、順位も出ている。

それでも、来週の動きは先週と変わらない。

コールセンターで25年、チームを見てきて、これが一番長く悩んだことでした。数字が足りないのではありません。数字はあるのに、行動が変わらない。

原因は途中から分かってきました。配っていたものが、そもそも人を動かす形をしていなかったんです。

数字は「結果」であって「行動」ではない


達成率92%。この数字を見て、明日から何をすればいいか分かる人は、たぶんもともとできている人です。

多くのメンバーにとって、これは通信簿でしかありません。良ければ安心し、悪ければ落ち込む。どちらにしても、次の一手には繋がらない。

数字を配ることと、行動を変えることの間には、思っていたよりずっと深い溝があります。ここを埋めずに「数字は見せているんだから、あとは本人次第」と考えていた時期が、私にはありました。

平均で見ると、誰の話でもなくなる


チーム全体の平均、部署の合計。管理する側にとっては便利な数字です。

でも、聞かされる側にとっては自分の話ではありません。平均を下回っている人は「自分のことを言われている」と感じて身構えるし、上回っている人は「自分は関係ない」と受け取ります。全員に向けて話しているのに、誰にも届いていない。

会議で全体の数字を映しながら、この状態にずっと違和感がありました。

「あと1件」が、どこに効くのか見えない


現場でよく言われる言葉に「あと1件がんばろう」があります。

気持ちは分かりますが、これは指示になっていません。その1件が、自分の達成率をどう変えて、チームの数字をどこまで押し上げるのか。誰も具体的には分かっていないからです。

分からないまま言われた「あと1件」は、精神論として処理されます。そして精神論は、続きません。

以前、若手に「今月はあと3件だね」と伝えたことがあります。本人は素直にうなずいて、そのまま先月と同じ働き方をしていました。責める気にはなれませんでした。3件という数字が、その人の一日のどこに入るのか、伝えた私も説明できていなかったからです。

逆に言えば、この1件でここが動くと目に見えれば、話は変わります。動かす対象が分かっているとき、人は自分で工夫を始めます。

見せ方を変えたら、会話が変わった


そこで、配る数字の形を変えました。

全体の平均ではなく、一人ひとりの数字を。過去の結果だけでなく、「ここが変わると、こう動く」まで一緒に。

やったことはそれだけです。集計の中身は前とほとんど同じでした。

変わったのは会議です。「数字が悪いね」で終わっていたやり取りが、「じゃあ、どこを動かすか」から始まるようになりました。同じ画面を全員が見ているので、説明の時間もほとんどいりません。

面白かったのは、指摘しなくても本人から話し出すようになったことです。自分の数字がどこに効いているか分かると、言われる前に「ここを変えてみます」と出てくる。管理する側が指摘し、される側が受け止める、という構図そのものが薄くなりました。

ツールが計算を速くしたわけではないんです。会話の入口を変えた。効いたのはそこでした。

同じことで困っている方へ


数字は出しているのに現場が動かない、という状態でしたら、足りないのはたぶん集計の精度ではありません。数字と行動の間をつなぐものです。

私は業務ツールを作るとき、何を集計するかより先に「その画面を見た人が、次に何をするか」から設計します。現場で25年、動かなかった側をたくさん見てきたからです。

Excelでの集計が限界に来ている、会議のたびに説明で時間が終わる。そんな状態でしたら、お力になれることがあるかもしれません。

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