〜入居者が知っておくべき「貸主の義務」と「正しい対処法」〜
今日は、実際に私が相談を受けたケースをご紹介します。
舞台は 東京都文京区の賃貸専用マンション(財閥系の大手不動産会社が運営)。
「大手だから安心」「設備トラブルにもすぐ対応してくれるはず」
そう思っていた入居者の方が、まさかの “1か月暖房なし生活” を強いられたという話です。
これは決して珍しい話ではなく、誰にでも起こり得る現実的なトラブルです。
■ 11月下旬、暖房がつかない。凍える寒さの中で起きたトラブル
気温が急に冷え込んだ11月下旬、入居者の方がエアコンで暖房を入れようとしたところ、反応なし。
完全に故障していました。
その日はとても冷え込み、「このままでは凍えてしまう」と感じるほどの寒さ。
すぐにお客様センターへ連絡すると、
「担当部署から折り返します」
とのこと。
しかし折り返しは翌日。そして、担当者が現場を見に来て言ったのは、
「部品交換か新品交換か見積りを取るので、しばらく待ってください」
とのこと。
■ 一時的な暖房器具の貸与を依頼 → まさかの対応
入居者の方は当然こう言いました。
「寒くて耐えられないので、代わりの暖房器具を貸してください」
しかし返ってきた答えは NO。
大手にもかかわらず、代替の暖房器具の貸与すら行われませんでした。
そのため、入居者の方はやむを得ず 自費でセラミックヒーターを購入し、厳しい寒さを凌いだ といいます。
■ 修理完了は “1か月後” の12月下旬
そして驚くべきことに、基板交換の修理が行われたのは 1か月後の12月下旬。
冬の1か月間、自費で購入した小さなセラミックヒーター1台だけで生活をさせられたのです。
これは、賃貸借契約上 明らかに不適切な対応 です。
賃貸借契約では、貸主には 「通常の生活に必要な設備を維持する義務」 があります。
これは民法606条の「賃貸人の修繕義務」や、借地借家法が定める 借主保護の原則 に基づくものです。
冬季の暖房はまさに生活必需設備。
借主は、その設備が適切に機能することを前提に家賃を支払っているわけです。
にもかかわらず、暖房が使えない状態を 1か月も放置したまま、代替措置も十分に講じないというのは、貸主の法的義務に照らしても看過できない対応と言えます。
■ 入居者が持つ“正当な権利”とは?
今回のケースでは、以下の権利が認められます。
✔ 家賃減額(減免)請求
設備不良で生活に支障が出た場合、家賃を減額する権利があります。
これは、民法611条の「賃料減額請求」に基づくものです。
✔ 暖房器具購入費の補償請求
代替暖房器具を自費で購入した場合、その費用は「損害」として請求できます。
民法415条の「債務不履行による損害賠償」の考え方が根拠になります。
✔ 応急対応を求める権利
寒さで健康被害が出る可能性があるため、貸主は応急対応を行う義務があります。
これは、前述の通り民法606条の「修繕義務」および借地借家法が定める 借主保護の原則 に基づくものです。
■ では、貸主は何をすべきだったのか?
正しい対応は以下です。
即日〜翌日の応急対応
一時的な暖房器具の貸与
修理までの期間短縮
家賃減額の検討
暖房器具購入費の補償
誠意ある説明と謝罪
今回の大手不動産会社の対応は、これらの義務をほぼ果たしていません。
入居者が不信感を持つのは当然です。
■ このケースから学べる “教訓”
✔ 大手だから安心とは限らない
むしろ大手ほどマニュアル対応で融通が利かないことがあります。
✔ 設備不良は「家賃減額の対象」になる
多くの人が知らない権利です。
✔ 応急対応を求めるのは当然の権利
遠慮する必要はありません。
✔ 自費で購入したものは補償請求できる
領収書を必ず保管しましょう。
■ もし同じ状況になったらどうすればいい?
以下の順番で対応するのが正解です。
管理会社へ即連絡
応急対応(代替暖房器具)を要求
修理予定日を明確に確認
家賃減額の相談
自費購入したものは領収書を保管
対応が不適切なら、第三者へ相談(消費生活センターなど)
泣き寝入りする必要はありません。
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