「スランプです」と言えるのは、成長している証拠

「スランプです」と言えるのは、成長している証拠

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音声・音楽

「最近、スランプなんです」

レッスンをしていると、生徒さんからそんな言葉を聞くことがあります。
思うように弾けない。以前より下手になった気がする。練習しているのに、自信が持てない。
そんな気持ちになることは、誰にでもあります。
ところが、実際に演奏を聴かせてもらうと、不思議なことに前より悪くなっているわけではなく、むしろ、少しずつ上達していることの方が多いんです。

実は、僕も同じでした

これは、生徒さんだけの話ではありません。
僕自身も、キャリアの序盤で思わず「最近スランプなんです」と口にしたことがあります。その時、ある先輩ベーシストがこんなことを教えてくれました。
「それは、耳が成長したからそう感じるんだよ」
最初は、その意味がよく分かりませんでした。

技術より先に、耳が育つことがある

そして先輩はこう続けました。
「演奏の技術よりも、自分の演奏を聴く耳の方が先に成長する時期があるんだよね」
つまり、以前なら気にならなかったことが、今は気になってしまう。
リズムのわずかな揺れ。音のつながり。表現の違い。
耳が育ったからこそ、自分に対する評価が厳しくなる。だから、「前より下手になった」と感じてしまうことがある。
でも実際には、演奏が悪くなっているわけではありません。自分の基準が上がっただけなんです。

「スランプ」ではなく「成長痛」

その話を聞いたとき、とても腑に落ちました。「スランプ」だと思っていたものは、実は成長の途中で起こる自然な変化だったのです。
子どもが成長する時に「成長痛」があるように、演奏にも「成長痛」のような時期があるのかもしれません。
そう思えるようになってから、「上手く弾けない」と感じる時間も、以前ほど怖くなくなりました。

一人では気づきにくいこと

だからこそ、レッスンでは第三者の視点が大切になります。
自分では「全然ダメだ」と思っていても、前回よりリズムが安定してきた、音がしっかり前に出るようになった。そんな変化は、意外と自分では見えません。
その一方で、客観的に見ている人には、小さな成長がよく見えます。その小さな変化を知ることが、次の一歩につながるわけです。

生徒さんが教えてくれたこと

生徒さんから「最近スランプなんです」と聞くたびに、僕はあの先輩の言葉を思い出します。そして、「本当にスランプなのか、それとも耳が成長したのか」を一緒に考えるようにしています。
レッスンの役割は、技術を教えることだけではありません。
自分では見えなくなってしまった成長を、一緒に見つけること。
「ちゃんと前に進めていますよ」と伝えられる時間でもあるんだと思っています。
そして、その積み重ねが、また自信を持ってギターを弾けるきっかけになると信じています。

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