基礎練習って、退屈ですよね…
コードチェンジを繰り返したり、決められたリズムを何度も弾いたり、指番号を覚えたり……。基礎練習って正直なところ、それほど曲らしくありません。同じ動きを繰り返すことも多く、練習していても「音楽を演奏している」という実感を持ちにくいものです。
僕自身、基礎練習が好きかと聞かれたら、決してそうではありません。好きな曲を弾いている方が楽しいに決まっています。
では、なぜ基礎練習をする必要があるのでしょうか。
昔から決められているメソッドだからでしょうか。
上手な人がみんな取り組んでいるからでしょうか。
僕は、基礎練習の一番の目的は、自分で考えて学び続ける「自走する力」を身につけることだと考えています。
曲を弾くだけの練習では、毎回ゼロから始まってしまう
好きな曲を練習することは、とても大切です。弾きたい曲があるからこそ、ギターを手に取る意欲も生まれます。
ただ、基礎を身につけないままでは、新しい曲に挑戦するたびに、同じところで立ち止まってしまうことがあります。
「あれ、このリズムパターンはどうやって弾くんだろう?」
「Eは覚えたけれど、Emってどう押さえるんだっけ?」
「このコードチェンジは、どの指から動かせばいいんだろう?」
過去に似たことを習っていても、それぞれが一つの知識としてつながっていなければ、また最初から教わらなければなりません。
その結果、曲が変わるたびに「新しい技術を一から覚える」という状態になってしまいます。
基礎力があると、知識を応用できる
基礎練習で身につけるのは、一つの曲だけで使える技術ではありません。
コードの仕組み。リズムの捉え方。指を動かす順序。音をきれいに鳴らすための力加減。
こうした土台ができてくると、初めて見る曲でも、それまでに学んだことを応用できるようになります。
「このコードは、前に覚えた形と似てるな」
「このリズムは、あの曲で弾いたパターンの応用だ」
「ここは、指をこの順番で動かせば弾けそうだ」
そんなふうに、自分の頭で考えながら新しい曲へ挑戦できるようになるわけです。
基礎練習は、ただ指を動かすためのトレーニングではありません。新しい問題に出会ったとき、自分で解決方法を考えるためのヒントを増やしていく時間でもあります。
レッスンの使い方も変わってくる
自分で考えて練習を進められるようになると、レッスンの使い方も変わります。
最初から最後まで弾き方を教えてもらうのではなく、まずは自分で曲を読み解いてみる。そのうえで、
「ここまでは自分でできたけれど、この部分だけが分からない」
「何通りか試したけれど、どの方法が自分に合っているのか判断できない」
といった、本当に必要な部分だけをレッスンで確認できるようになります。これは、決してレッスンの役割がなくなるということではありません。むしろ、生徒さん自身が主体となって学び、講師は必要なときに方向を整える。そんな関係になっていくのだと思います。
その結果、限られたレッスン時間の中で、より深い内容に取り組めるようになるため、学習の効率も大きく上がります。
一日も早く「卒業」してほしいから
レッスンを提供する側が「早く卒業してほしい」と言うのは、矛盾があるように聞こえるかもしれません。ずっと通ってもらった方が、講師にとっては都合が良いと考える人もいるでしょう。
でも僕は、生徒さんには一日も早く、自分の力で音楽を学べる状態になってほしいと思っています。
自分で好きな曲を見つける。
演奏方法を考える。
分からない部分を調べる。
それらを試行錯誤しながら、自分なりの答えを見つけていく。そして、レッスンに通わなくても、新しい曲へ次々と挑戦できるようになる。
それが、僕にとってのレッスンの一つのゴールです。
もちろん、卒業した後も、演奏表現を深めたいときや、新しい壁にぶつかったときに、またレッスンを利用してもらうことはできます。
ただ、教えられなければ何もできない状態にはなってほしくありません。
生徒さんが教えてくれたこと
レッスンを続けていると、ある日、生徒さんが自分の力で新しい曲を弾いてきてくれることがあります。
「このコードは前に習ったものを応用しました」
「ここは自分で指使いを考えてみました」
そんな言葉に僕はとてもやりがいを感じます。
それは、教えた通りに弾けたからではありません。僕が教えていないことまで、自分で考えて進めるようになったからです。
基礎練習は、目の前の曲を上手に弾くためだけに行うものではありません。これから出会うたくさんの音楽を、自分の力で楽しむための準備です。
生徒さんが自分の足で音楽の世界を歩き始める姿を見るたびに、それこそが僕がレッスンをする理由なのだと気づかされます。
一人ひとりに寄り添った、オーダーメイドの練習法を提供します。