ギターに触りたくない日だってありますよって話

ギターに触りたくない日だってありますよって話

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音声・音楽

「プロって毎日何時間も練習するんですよね?」

レッスンをしていると、よくこんなことを聞かれます。
「1日に何時間くらい練習してるんですか?」
「プロって、やっぱり毎日ずっとギターを弾いてるんですよね?」
こんな質問、一番困ります……。
実は僕、結構練習をサボる人なんです。
もちろん、毎日のルーチンとしてやっている基礎練習はあります。でも、それ以外の時間もずっとギターを弾いているのかというと、全然そんなことはありません。
ライブのリハーサルやレコーディングが続いたりすると、
「ああ、今日はもうスタジオ行きたくないなぁ……」
なんて思う日だって普通にあるんです。

「弾きたくない」と「嫌い」は違う

でも、不思議なことに、「もうギターなんて嫌いだ!」と思ったことはありません。多分それは、自分の中でギターを弾くことが「義務」になっていないからだと思います。
今日はあんまり弾きたくないな→じゃあ、今日は休んじゃおう→また弾きたくなったら弾けばいいや。
それくらいの距離感で、ずっとギターと付き合ってきました。
だから僕は、レッスンでも
「毎日30分は必ず練習してくださいね!」とは言いません。
もちろん、毎日少しでも触れた方が上達しやすいのは確かです。でも、「毎日やらなきゃいけない」という気持ちが強くなりすぎると、せっかく好きで始めたギターが、宿題のようになってしまいます。

最初は、指が痛くて当たり前だし

特にギターを始めたばかりの頃って、弾くこと自体が結構大変です。あんな金属でできた弦を指先で押さえるんですから、すぐに指が痛くなります。
コードもきれいに鳴らないし、思ったように指も動かない。
そんな状態で、「今日も30分やらなきゃ……」と思いながらギターケースを開ける。それが毎日続いたら、だんだんギターを見ること自体が嫌になってしまうかもしれません。
それって、ちょっと悲しいですよね。
好きな音楽を弾きたくて始めたはずなのに、いつの間にか「やらなければいけないこと」になってしまう。そんなふうになってほしくありません。

弾きたいときに、気が済むまで弾こう

だから最初のうちは、「今日はなんだか弾きたいな」と思ったときに、ギターを手に取ってみればいいと思っています。
5分で終わってもいい。逆に、楽しくなって1時間弾いてしまってもいい。
大切なのは、「何分やったか」よりも、「またギターを弾きたい」と思える状態を残しておくことです。
そうやってギターを手に取る回数が少しずつ増えていく。気がついたら、それが生活の一部になっている。そして、いつの間にか夢中になっている。
僕にとっては、それが一番理想的な習慣の形です。

レッスンは「練習させる場所」じゃない

レッスンの役割の一つも、そこにあると思っています。
「もっと練習してください」と言い続けることではなく、「これ、ちょっと弾いてみたいな」と思えるきっかけをつくること。
少し弾けるようになって、「できた!」と思える課題を用意すること。そして、その小さな楽しさを積み重ねて、自然とギターを手に取る回数が増えていく。
そんなふうに、生徒さん自身がギターへ向かう気持ちを育てていけたらいいなと思っています。

ギターのことを忘れる時間があってもいいんです

僕自身、以前は仕事に煮詰まると、よく旅に出ていました。そういうときは、なるべく仕事のこともギターのことも考えないようにしていました。
もちろんギターも持ちませんし、音楽のことすら考えない。そうやって、一度、完全に離れてみるんです。
ところが街を歩いていると、どこかのお店から音楽が流れてきます。すると、「あ、このフレーズってどうやって弾いてるんだろう」とか、「このギターソロ、なかなかいい音だな」なんて、いつの間にか考えているんです。
その瞬間、「ああ、まだ自分は大丈夫だな」と思います。

離れてみて、分かることもあるから

無理にギターに向かわなくても、自然とギターのことを考えている。それなら、まだ自分はギターや音楽のことが好きなんだな、と確認できます。
そうすると不思議なもので、旅から帰ったあと、また自然にギターを手に取れるようになります。
もしかすると、ずっと練習を続けることだけが「音楽を続ける」ということではないのかもしれません。ときには少し距離を置いてみる。そして、「まだ弾きたいと思っているかな?」と、自分の気持ちを確かめてみる。
そんな時間があってもいいと思います。

生徒さんが教えてくれたこと

長くレッスンをしていると、毎日きっちり練習する人だけが長くギターを続けるわけではないことに気づきます。
忙しくて弾けない時期があったり。しばらくギターから離れてしまったり。それでも、ある日また弾きたくなって戻ってくる。
そんな生徒さんもたくさんいます。
大切なのは、一日も休まないことではなく、また戻ってきたくなる場所にしておくことなのかもしれません。
今日は弾きたくない。そんな日は、無理に弾かなくてもいいんです。
街で流れている音楽を聴いたときに、「あ、この曲ちょっと弾いてみたいな」と思えたなら、それで十分です。
その小さな気持ちが残っている限り、ギターとの付き合いはまだまだ続いていく。僕は、生徒さんにもそんなふうに、無理なく長く音楽と付き合っていってもらえたらと思っています。

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