去年、うちの会社にある事業が引き継がれてきました。
事業譲渡というやつで、それまで別の会社がやっていたお客さんを、ごそっとうちが引き受けることになったんです。その数、およそ200社。
ありがたい話なんですが、引き継ぐにあたって、ひとつ大仕事がありました。その200社、一社ずつと顔合わせをしないといけない。「今までこの会社が担当していましたが、これからはうちに切り替わります」というご挨拶を、前の会社に紹介してもらいながら、一軒ずつ回っていく。
で、その日程調整を、前の会社が各企業とメールでやり取りしてくれていたんですね。私は、そのメールのCCに入っていました。
……もう、想像つくと思います。
※架空の会社名を記載しております。
200社分の日程調整メールが、CCで全部降ってくる。
「A社、来週水曜の14時で確定しました」
「B社は再調整希望とのことです」
「C社、候補日を3つお送りします」
朝パソコンを開くと、受信トレイがこの手のメールで埋まっている。一通ずつ開いて、どこが確定で、どこが保留で、誰といつ会うのか……を読み解いて、自分のカレンダーに手で打ち込んでいく。
正直に言います。途中で、見るのが嫌になりました。
だって200社ですよ。全部CCで届いても、とても追いきれない。でも見落とせば「あれ、あの会社いつ会うんだっけ」と抜ける。メールを開くのが、日に日に憂鬱になっていきました。
■「もう無理」から、ふと閃いた
ある朝、また山積みの受信トレイを前にして、思ったんです。
メールを全部読むのがしんどいなら、そもそも読まなくていいようにすればいいんじゃないか? 確定した予定が、勝手にカレンダーに入っててくれたら——もうメールと格闘しなくて済む。朝はカレンダーを見るだけでいい。
「……それ、できないかな?」
そう思って、頼ってみたのがClaude Code(クロードコード)という、AIの開発ツールでした。
■やってほしいことを、日本語で伝えただけ
「丸投げ」というより、やってほしいことを言葉で伝えて、その通りの仕組みをAIに組み立ててもらった感じです。
お願いしたのは、こういうことでした。届いた日程調整メールを読んで、本文から会社名・日時・場所・担当者の名前を読み取って、確定したものをGoogleカレンダーに打ち合わせ予定として入れておいて。「○日まで返事ください」と期限があれば、その日にリマインドも置いておいて、と。
(サンプル画像です)
そうしたら、本当にその通りになりました。
今は朝、Googleカレンダーをパッと開くだけ。「今日はA社とB社か、場所はここね」と数十秒で把握して、それで朝のメール確認はおしまい。受信トレイを一通ずつ開いて読み解いていた、あの30分が、まるごと消えました。
■一番変わったのは、時間じゃなかった
ビフォーアフターを並べると、こんな感じです。
【前(全部手作業)】
・メール確認:毎朝30分、1件ずつ
・予定の登録:手で入力、たまに抜ける
・日程調整の管理:頭とメモ帳でなんとか
【今(自動)】
・メール確認:カレンダーを数十秒眺めるだけ
・予定の登録:自動で入る、漏れなし
・日程調整の管理:カレンダーに勝手に反映
時間が浮いたのも嬉しいんですが、正直それ以上に大きかったのは、「どこか見落としてるかも」という朝のモヤモヤが消えたことでした。
確認するために確認する、みたいな無限ループから解放された感覚。200社を相手にしていると、これが本当に効きます。
■「プログラミングできる人の話でしょ?」と思いますよね
ここまで読んで、「どうせIT得意な人だからできるんでしょ」と思った方、いると思います。私も最初はそう思っていました。
でも、さっきも書いた通り、私がやったのはコードを書くことじゃないんです。Claude Codeに、日本語でお願いしただけ。
「届いた日程調整メールを読んで、確定した打ち合わせをGoogleカレンダーに入れておいて」
こんなふうに話しかけると、必要な仕組みをAIのほうで全部組み立ててくれて、あとは毎朝パソコンが勝手に動かしてくれる。作るのもAI、動かすのも自動。私がやることは、もう何も残っていません。
■始めるのに必要だったもの
身構えていたわりに、必要なものはシンプルでした。
・Claude Codeが使えるプラン(月20ドルくらい。コーヒー数杯分です)
・いつも使っているWindowsパソコン
・いつも使っているOutlookとGoogleカレンダー
特別な機材も、ややこしい契約もなし。普段の環境のまま始められました。
■「もう無理」は、仕組みを変えるサインかもしれない
200社分のメールに溺れかけて、「もう無理」と思ったあの朝。今振り返ると、あれはやり方を変えるサインだったんだと思います。
がんばって全部のメールを読もうとするんじゃなくて、「読まなくていい仕組み」を作る。発想を切り替えたら、毎朝の30分が浮いて、抜け漏れも減って、それが毎日続くようになりました。
もし今、何かの作業を前にして「これ、もう無理だな」と感じているなら。それは「もっとがんばれ」じゃなくて、「仕組みを変えていいよ」の合図なのかもしれません。
次は、実際にどんな言葉でAIにお願いしたのか、もう少し具体的に書いてみようと思います。