【FP1級の現場から】
消費税の「益税」とインボイス制度——子や孫の時代に禍根を残さないために
こんにちは、FP1級の星です。
「消費税って、私たちが買い物をした時に払ったお金がそのまま国に納められているんじゃないの?」
多くの方がそう思われているかもしれません。消費税は最終的に消費者が負担する税金ですが、それを国に納めるまでの「途中のプロセス」には、実は知る人ぞ知る仕組みが存在します。
それが、かつて広く存在し、今まさに姿を消しつつある「益税(えきぜい)」という仕組みです。
今回は、事業者やフリーランス、そしてこれからの日本経済を考える上で避けて通れない「益税の正体」と「制度改正がもたらす深刻な懸念」についてお話しします。
第1章:消費税の仕組みと「益税」の本来の役割
消費税の納税は、原則として事業者(企業や個人事業主)が行います。
モノやサービスを売る時に預かった消費税(仮受消費税)から、仕入れや経費で支払った消費税(仮払消費税)を差し引いた残額(未払消費税)を計算し、国へ納めるのが基本のルールです。
しかし、税法上「前々年の課税売上高が1,000万円以下」の小規模事業者(※)には、納税義務が免除される「免税事業者」という制度が設けられていました。
(※前々年の売上高が1,000万円以下であっても、前年上半期の売上や給与支払額が1,000万円を超えた場合など、細かな適用判定基準があります。)
この免税事業者が受け取った消費税は、国に納める必要がないため手元に利益として残ります。これが「益税」と呼ばれるものです。
一見すると「ズルいのでは?」と感じるかもしれません。ですが、この制度には大切な役割がありました。
あまりに規模の小さな事業者にまで複雑な帳簿計算や納税手続きを強いる負担を避ける目的はもちろんのこと、「誰もが手軽に挑戦し、事業に新規参入しやすくする」という起業・チャレンジの参入障壁を下げる効果があったのです。
小規模な農家の方々なども、この益税まで含めてどうにか日々の生活と営農を成り立たせていたという現実がありました。
第2章:免税業者が選べなくなる現実と「益税の消滅」
しかし現在、この益税は「過去のもの(ありました)」になろうとしています。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入に伴い、段階的な経過措置はあるものの、最終的には免税事業者からの仕入れに対する税額控除処理が会計上できなくなっていきます。
取引先(買い手企業)から見れば、「免税事業者と取引すると自分の税負担が増える」ことになるため、値下げを求められたり、最悪の場合は取引から除外されたりするリスクが生じます。
結果として、売上が1,000万円に満たない小規模事業者や農家、フリーランスであっても、生き残るためには「免税業者(益税)を選びたくても選べず、課税事業者にならざるを得ない」という状況に追い込まれています。最近ニュース等でも取り上げられている通り、これは単なる計算方法変更にとどまらない死活問題です。
第3章:「損をして得を取る」長期的視点を失う日本への危機感
私はFP1級として、法律や個別の細かな税務判断そのものを断定的に断罪する立場にはありません。しかし、一人の専門家として、今回の制度変更には「非常に厳しい、悪い改革がなされてしまった」という強い印象と哀しみを禁じ得ません。
目の前の税金をあまりにも厳格に、余すことなく徴収しようとする姿勢は、一見すると国の税収を増やすように思えます。
ですが、その結果として何が起きるでしょうか。
●挑戦の場が奪われる:
新しく事業を立ち上げる若者や副業・起業のハードルが一気に上がる。
●小規模事業者の廃業:
農業や地域の個人商店など、日本の基盤を支えてきた人たちが廃業に追い込まれる。
目先の税収を追うあまり、将来芽吹くはずだった「経済のパイ(成長の種)」を国自らが摘み取ってしまっては元も子もありません。結果として経済が停滞し、将来的にはむしろ税収を減らしてしまうという「悪循環」に陥るのではないでしょうか。
日本という国が、かつて持っていた「損をして得を取る」ような、20年・30年先を見据えた長期的な視点での政策判断ができなくなってきているように思えてなりません。
この変化が、私たちが次の世代へと繋ぐこれからの時代——私自身の子や孫の時代になった時に、取り返しのつかない深刻な悪影響となって跳ね返ってくるのではないかと、深く心配しています。
教訓と結び:
<明日が良い毎日になり、子や孫の時代へ繋がるように>
世の中のルールが厳しく、厳格に変わっていく時代だからこそ、私たち一人ひとりが正しくお金と制度の知識を身につけ、自衛していく必要があります。
私がこうしてブログを書き続けている理由はただ一つです。
皆さんの「明日」が良い毎日になるように、気をつけるべきリスクや賢い選択肢を知ってほしいから。
そして、その小さな良い影響が広がっていき、私の子や孫たちが生きる次の時代が、少しでも明るく、希望の持てるもっと良いものになってほしいという願いを込めて発信を続けています。
時代の波に飲み込まれず、自分と大切なご家族の生活や事業を守るために、できる備えを今日から一つずつ考えていきましょう。
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ここでブログはおしまいです。
「制度が変わる(益税がなくなっていく)中で、自社・個人事業等、自分の事業でやっていけるのか(益税がなくなり資金繰りが数パーセント悪化する為)改めてプランニングしたい」
「インボイスや増税時代を乗り越えるための、無理のない家計・事業シミュレーションをしてほしい」
何かの際は、ぜひ下の入口よりご相談ください。
元金融機関・企業経理の経験を持ち、数々の事業・家計相談に乗ってきたFP1級の私星が、目先の数字にとらわれない長期的な視点で、アドバイスをさせていただきます。
「明日をよりよい毎日へ」
次世代に安心を残すための第一歩として、どうぞお気軽にお声がけくださいね。
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