【FP1級の現場から】 「経営計画」無き起業

【FP1級の現場から】 「経営計画」無き起業

記事
法律・税務・士業全般

【FP1級の現場から】
<経営計画無き起業——「カードローンで飲み屋を開いた45歳息子」と老父の悲痛な叫び>

こんにちは、FP1級の星です。

「親父の仕事を手伝うのもいいけれど、やっぱり自分の力で起業したい」

ある日、45歳の男性(Aさん)から世間話のついでにそんなご相談を受けました。私はFP1級であり、過去に金融機関や企業経理の現場にいた経験もあるため、「もし本気で創業するなら、商工会議所などを通じて『創業資金制度』を活用する方法もありますよ」と、知識として一般的な制度の概要をお話ししました。

それから約2ヶ月後。
私の元へ飛び込んできたのは、息を切らし、焦燥しきった表情をしたAさんのお父様(70代)でした。

「あんた……あいつ(息子)にお金を貸したのか!?」

Gemini_Generated_Image_b0dclyb0dclyb0dc.jpg

今回は、軽い世間話から発覚した、ある親子の悲劇と「経営計画のない起業」がもたらす恐怖のリアルをお話しします。

第1章:発覚した「25年間繰り返されてきた第三者弁済」
お父様の言葉に私は耳を疑いました。もちろんお金など貸していません。制度の話をしただけだと伝えると、お父様は崩れ落ちるように椅子に腰掛け、ポツリポツリと語り始めました。

「あいつがまた『お金の都合がついた』と言って店を出したと聞いて、気が動転したんだ。もう俺も年だし、今の商売もギリギリだ。今回はもう助けてやれない……」
詳しく事情を聞いていくと、衝撃の事実が明らかになりました。

●20歳からの借金癖:
Aさんは20代の頃から借金を重ね、その度に親へ泣きつき、裏でお母様(故人)が穴埋めをし、お父様が返済を肩代わりしてきた。
●自分の力で返したことがない:
Aさん自身はこれまで一度も自分で借金を返済した経験がない。
●実家の酒屋で使う理由:
実家の酒屋はお父様一人で回せる規模だが、他所で仕事が長続きしないAさんを見張り、これ以上借金をさせないために手元に置いていた。

私がお伝えした「創業資金制度」の話を耳にしたAさんは、「お金の工面がつく方法がある」とお父様に語り、そのまま姿を消して勝手に店を開いてしまっていたのです。

第2章:顧客ゼロ
<「看板だけ」で始めた料理の作れない飲み屋>
Aさんが開いたお店は、なんと「飲み屋」でした。
しかし、Aさんは料理が作れません。そのため提供するのは乾き物とお酒のみ。集客方法は「店の看板を出すだけ」。SNSでの発信や近隣へのあいさつ回り、ターゲット層の分析などは一切行っていませんでした。

結果は目に見えていました。
オープン日に義理で来てくれた知り合い数名以降、今日に至るまでお客様は誰一人として来ていないというのです。

公的な創業資金制度を利用するには「経営計画書(事業計画書)」の提出が必須です。しかし、そんな計画を作れるわけもないAさんは審査に通らず、消費者金融やカードローンをかき集めて資金をねん出した可能性が高いとお父様は仰いました。

私「そんな借り方をしたら、金利が高すぎて、商売がうまくいったとしても返せませんよ……」
お父様「あいつは、返すことまでは考えていないからそんなもんだ。」


第3章:「もう助けないでください」
<共倒れを防ぐための宣告>
お話をお聞きしていく中で、Aさんのお母様はすでにお亡くなりになっていることが分かりました。

これまでAさんが借金を重ねても、お母様が裏で肩代わりし、最後はお父様が穴埋めをして事なきを得てきました。しかし、もうお母様はいらっしゃいません。そしてお父様の酒屋もギリギリの状態です。

私は、焦燥しきったお父様の目をしっかりと見つめ、こう伝えました。
「お父さん、もう絶対に息子さんを助けないでください。それが一番大切です」

これまで裏で借金を穴埋めしていたお母様がもういないこと、そしてお父様が突っぱねることは、一見悲しいことのように見えますが、実はお父様が共倒れせずに自分の人生を守るためには必要なことです。

親が代わりに返してくれる「安全網」がある限り、Aさんは永遠に自分の愚かさと向き合うことができません。高金利のカードローンに手を出し、返せるあてのないまま無計画な店舗営業を続ければ、遠からず行き詰まります。

ここで親が身を切る思いで「一切助けない」と突っぱねて初めて、Aさん自身が破産なり事業撤退なり、自分の始末を自分でつけるしかなくなります。お父様がこれ以上巻き込まれ、老後の資金も住まいも奪われてしまうことだけは、絶対に避けなければなりませんでした。

Gemini_Generated_Image_uflu0duflu0duflu.jpg


第4章:FPが伝える「起業」の絶対条件
起業は夢があり、挑戦すること自体は素晴らしいことです。しかし、「準備と計画」のない起業は、ただの無謀なギャンブルに過ぎません。

これから起業を考えている方は、必ず以下の3点を見つめ直してください。

●「返済計画」まで含めた経営計画書を作る
売上だけでなく、「いくら借りて、毎月いくら返し、利益がいくら残るのか」を数字で証明できない事業は始めてはいけません。
●自分の「得意・強み」で勝負する
料理ができないのに飲食業を始めるような、準備不足の参入は即撤退に繋がります。
●「公的融資の審査」を通せるレベルまで計画を練る
カードローンや高利の借入に頼った時点で、その事業計画は破綻しています。審査に通らないということは「プロから見て成功確率が著しく低い」というサインです。


結び:
<身の丈に合った計画と、客観的な視点を>
Aさんのケースは極端に思えるかもしれませんが、「アイデアと思いつきだけで勢い任せに起業し、資金繰りに詰まる」「親が子供の借金を抱え込んで共倒れしそうになる」というご相談は、実は後を絶ちません。

「親から自立したい」「自分の力で稼ぎたい」という気持ちがあるのなら、なおさら「数字と事実に基づいた現実的な計画」が必要です。

-----------------------
ここでブログはおしまいです。

「このような計画で起業を考えているが資金計画は問題ないか?」
「家族が起業しようとしているが、金銭的に無謀に見えて心配だ。家計は無事に回るのか?」

そのような不安をお持ちの方は、ぜひ下の入口よりご相談ください。

元金融機関・企業経理の経験を持ち、数々の家計・事業相談に乗ってきたFP1級の私星が、危険と思われるポイント等についてご指摘および可能であれば整理の助言をさせていただきます。

無理な起業で後悔する前に、基礎的な部分を整理してみませんか。

👇 【FP1級】人生のお金・家計相談はこちら

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す