訪問診療の24時間対応は仕組みで乗り切る

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コラム
訪問診療の24時間対応というと、「夜中も休日も電話が鳴り続けるのでは」と不安に思われる医師も多いと思います。
しかし適切な仕組みを整えることで、医師一人に負担が集中しない体制を作ることが可能です。

実際訪問診療をしていると、休日や夜間にも患者様やご家族から相談の電話を頂くことが多くあります。
内容に関しても、この相談は今でなくても…と思うようなものから、発熱、転倒、容体の急変など緊急性の高いものまで多岐にわたります。
今まで私が受けてきた相談の中には、
・デジタルカメラが動かなくなった
・ストーブの灯油が切れてしまった
・ご家族がスマホアプリで大金を課金してしまった
等、病状と直接関係ないようなものも多くありました。

患者様やご家族との信頼関係がしっかりと構築できているからこそこのようなご相談も頂けるので、これ自体はとても良いことではあります。

ただ医師も人間ですから、全ての相談に対して24時間365日1人で対応しきることは到底できません。
この24時間対応に苦慮してなかなか訪問診療に踏み切れない医師も多いと思います。
私自身、24時間対応を継続するためには「誰が対応するか」ではなく、「どのような仕組みで対応するか」が重要だと考えています。
実際に取り組んでいる内容をいくつかご紹介いたします。

1.電話する判断基準を事前に共有する

「気になることがあったら何でも相談して下さい」とお伝えしてしまうと、本当に何でもご相談されます。
患者様ごとの緊急時対応シートを作成し、「○○の症状が出たら」「SpO2が○○以下になったら」等、具体的な基準を共有することで、本当に医師の判断が必要な状態の時だけ相談されるようになります。
ただシートを渡しただけでは十分なご理解が得られない場合もあるため、患者様ごとに丁寧な説明が必要となります。

2.訪問看護を利用してもらう

いつもより元気がない、呼吸がおかしい気がする等、具体的な症状ではないけれど何か気になる、という場合も多く発生します。
このような場合には、まず訪問看護師に連絡するようにお伝えし、訪問看護師が状況を確認し必要に応じて医師に連絡してもらうようにします。
こうすることで「気になる」という感覚的な状態から看護師による具体的な問題点として相談されるようになります。

3.多職種連携を活用する

訪問看護師やケアマネジャー、施設職員等の、患者様に関わる多職種の方にも、事前に医師への相談基準を共有しておくことが大事です。
訪問診療では、患者様やご家族よりも先に異変に気付くのが訪問看護師や施設職員であることも少なくありません。
そのため、これらの職種とも相談基準を共有しておくことで、適切なタイミングで医師へ情報が届く体制を構築することができます。

4.医師一人で抱え込まない体制を作る

24時間対応を行っていても、学会や移動中など、医師がすぐに電話へ対応できない場面は必ず発生します。
事前に自院のスタッフにも協力を仰ぎ、どうしても医師が対応できない時間帯のフォローをしてもらえる環境を整えることも大事です。
事前に何度か訪問診療にも同行してもらい、患者様やご家族に顔を覚えてもらえると相談時のやり取りもスムーズになります。
ただ医師の代わりに医療的な判断をすることはできないので、あくまでも医師につながるまでのワンクッションの仕組みとしてください。

最後に

訪問診療の24時間対応は、医師一人の頑張りだけで成り立つものではありません。
患者様・ご家族への説明、訪問看護や施設職員との連携、自院スタッフの協力体制などを整えることで、無理なく継続できる仕組みを作ることができます。

「24時間対応が不安で在宅医療に踏み出せない」という先生方の参考になれば幸いです。
「在宅医療を始めたいが何から準備すればよいか分からない」という場合は、お気軽にご相談ください。
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