時給で働く人は、給与明細を見れば、最低賃金を下回っているかすぐに分かります。
月給の人は、そうはいきません。明細に1時間あたりの額が書いていないので、下回っていても、本人も会社も気づきにくいのです。
■確かめ方は、月給÷1か月平均の所定労働時間
厚生労働省の最低賃金のサイトにある計算式は、次のとおりです。
月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
1か月平均の所定労働時間は、1日の所定労働時間×年間の所定労働日数÷12で出します。1日8時間・年255日なら、8×255÷12=170時間です。
■計算に入れない手当があります
月給を割るときは、次のものを除きます。
・通勤手当、家族手当、精皆勤手当
・残業代、休日や深夜の割増の部分
・賞与(ボーナス)、結婚手当のような臨時の手当
総支給のまま割ると、時間あたりの額が高く見えてしまいます。
■例:総支給21万5千円の事務員さん(埼玉県・架空の例)
・基本給 180,000円(入れる)
・職務手当 15,000円(入れる)
・通勤手当 10,000円(入れない)
・家族手当 10,000円(入れない)
総支給 215,000円
比べる月給は、入れる分だけの195,000円です。170時間で割ると、1時間あたり1,147円。埼玉県の最低賃金1,196円(10月1日から)を下回ります。
総支給の215,000円で割ると1,265円になり、大丈夫に見えてしまいます。ここが見落としやすいところです。
足りない額は、1,196円×170時間−195,000円で、月8,320円。1年で99,840円です。
■これから上がる県が、まだ19あります
令和8年度の最低賃金は、10月14日の秋田から12月2日の沖縄まで、まだ19の府県でこれから上がります(厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」)。
・10月:秋田14日、静岡15日、福島16日、茨城18日、宮崎24日、鹿児島25日、青森29日、高知29日、山形30日
・11月:山梨・徳島・愛媛・大分1日、長崎2日、佐賀15日、京都16日
・12月:岩手・熊本1日、沖縄2日
上がる日の前に、月給の人も一度、時間あたりの額に直しておくと安心です。
■確かめるのは1人10分、見落とすと1人年10万円近く
月給の人を1人ずつ確かめる手間は、手当を分けて割り算をするだけなので、1人10分ほどです。見落としたときの不足は、上の例で1人年99,840円。差額は払う必要があり、最低賃金法には50万円以下の罰金の決まりもあります。
■判断は人に残します
表で分かるのは、下回っている人と足りない額までです。次のことは、会社で決めます。
・足りない人の支給額を、基本給で上げるか、手当で上げるか
・所定の時間が、就業規則と合っているか
・発効日が締め日の途中に来る月の払い方
■表にしておけば、一度で済みます
都道府県を選ぶと、改定前後の最低賃金と発効日が入り、1人1行で時給・日給・月給を入れると、下回る人が赤く出るチェック表を出品しています。入れる手当と入れない手当の欄が分かれているので、月給の人の計算を間違えにくい作りです。マクロは使っていません。
個別の判断は、都道府県労働局や労働基準監督署にご確認ください。