『でも、伸ばせば隠れますよ』その一言が今も忘れられない。

『でも、伸ばせば隠れますよ』その一言が今も忘れられない。

記事
コラム
「でも、伸ばせば隠れますよ。」

陽子線治療の説明を受けたあと、
ある看護師さんから言われた一言です。

きっと悪気はありません。

看護師さんは思ったことを伝えただけ。

でも、私はこの瞬間、

「あぁ、この人には分かってもらえない」

そう感じました。

あれから約4年。

息子の髪は伸びて、
ぱっと見は他の子とあまり変わりません。

それでも、あの日の言葉だけは、
今も心の奥に、ずっと残っています。

「永久脱毛」という言葉が怖かった

陽子線治療を受ける前のカンファレンス。

医師から後遺症について説明がありました。

その中にあったのが、

「後頭部は高い線量が当たるため、
永久脱毛になる可能性が高いです。」

永久脱毛・・・

つまり、一生髪が生えてこないということです。

私はそれを聞いて、

「それが原因で、いじめられないだろうか?」

「大きくなった時、自分の見た目を気にして
苦しまないだろうか。」

そんなことを考えていました。

命が助かることが一番。

でも、親としては、その先の人生の、
些細なことでも心配になります。

「でも、伸ばせば隠れますよ」

その不安を、ある看護師さんに話しました。

すると返ってきたのは、

「でも、伸ばせば隠れますよ。」

でした。

その瞬間、

「あぁ、この人には分かってもらえない。」

そう思いました。

きっと励ますつもりだったのかもしれません。

でも、私が欲しかった言葉ではありませんでした。

私が不安だったのは、

髪が隠せるかどうかではありません。

息子が将来、

心ない言葉をかけられるかもしれないこと。

見た目を理由に、自分を嫌いになってしまうかもしれないこと。

その未来が怖かったのです。

共感してほしかっただけ


私は答えが欲しかったわけではありません。

解決策が欲しかったわけでもありません。

「それは心配になりますよね。」

たった一言。

その言葉が欲しかっただけでした。

人は、不安が消えないときほど、

その気持ちを受け止めてもらえることを
求めているのかもしれません。

あの言葉が教えてくれたこと

陽子線治療から約4年。

息子の髪は伸びて、
ぱっと見で「少し薄いかな」と思う程度になりました。

それでも、髪を乾かすときや、首元の汗を拭くとき、
髪が生えていないところが見えると、

「この先、大丈夫かな。」

そう思います。

そして、あの日の看護師さんの言葉を思い出て、
心がすこし「チクッ」とします。

でも、あの出来事があったからこそ、
私は人の気持ちに寄り添うことの大切さを知りました。

「そうだよね。」

その一言があるだけで、「一人じゃない」と思える、
そして、「ちょっとだけ前を向けそう」と思えます。

だから私は、気持ちを受け止める人でありたい
と思っています🍀

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