「マンション価格はまだ上がる」
そんな見方が続いてきた日本の不動産市場に、いま変化の兆しが表れています。
特に首都圏の中古マンション市場では、これまで続いてきた価格上昇にブレーキがかかり始めました。成約価格の下落、売買件数の減少、売れ残り物件の増加など、これまでとは異なる動きが目立っています。
果たして、マンション価格は本格的な崩壊局面に入るのでしょうか。
中古マンション価格が25四半期ぶりに下落
注目したいのが、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した2026年7~9月期の首都圏中古マンション市場のデータです。
中古マンションの成約価格は平均5,172万円となり、前年同期比2.7%下落。1平方メートル当たりの成約単価も82.33万円となり、前年同期比3.3%のマイナスとなりました。
実は、成約単価が前年同期を下回るのは25四半期ぶり。約6年ぶりの変化です。
さらに、成約件数も前年同期比14.4%減の1万275件となっています。
単に価格が少し下がったというだけではありません。購入する人が減り、取引そのものも鈍くなっているのです。
9月単月では、成約価格が前年同月比4.5%減、成約件数は22.7%減。在庫件数は15.1%増加しました。
価格を下げても売れにくくなり、売り物件が市場に積み上がっていく。こうした動きは、これまでの売り手優位の市場が変わりつつあることを示しています。
なぜマンション価格は下がり始めたのか?
大きな理由の一つは、価格の高騰によって購入できる人が限られてきたことです。
首都圏の新築マンションは、2026年度上半期の平均価格が1億1,494万円に到達しました。前年同期比21.1%上昇し、年度上半期として初めて1億円を突破しています。
一方、発売戸数は前年同期比6.0%減少しました。
建築資材の高騰、人件費の上昇、土地取得費の増加などによって、マンションの販売価格は簡単には下げられない状況です。
しかし、購入する側の収入が同じペースで増えているわけではありません。
住宅ローンの返済負担も大きくなり、金利上昇への警戒感もあります。
つまり、売り手は高く売りたい一方で、買い手はこれ以上の価格では購入できないという状況が生まれているのです。
これからマンション価格は一気に暴落する?
ここで注意したいのは、すべてのマンションが同じように値下がりするわけではないということです。
例えば、東京都心の駅近物件や利便性の高い人気エリアでは、依然として一定の需要があります。
一方、駅から遠い物件、築年数が古い物件、管理状態に問題があるマンションなどは、購入希望者から選ばれにくくなる可能性があります。
また、マンション価格を支えている建築コストや土地価格も、すぐに大きく下がるとは限りません。
そのため、今後は市場全体が一律に暴落するというよりも、立地や築年数、管理状況によって価格差が広がる展開も考えられます。
これまでのように「マンションなら買っておけば値上がりする」という考え方は、見直す必要がありそうです。
マンションを所有している人はどうすべき?
すでにマンションを所有している人にとっても、今回の市場変化は無視できません。
特に、将来的に売却を考えている人は、周辺の売り出し価格だけで判断しないことが重要です。
不動産ポータルサイトに掲載されている価格は、あくまで売主の希望価格です。実際にいくらで売れたのかという成約価格とは異なります。
また、売却を検討する際には、周辺物件の在庫状況や成約までにかかる期間、競合物件の価格なども確認しておきたいところです。
相場が上昇しているときは強気の価格設定でも売れることがありますが、買い手が慎重になっている市場では、価格設定の違いが売却結果を大きく左右する可能性があります。
マンションバブルの終わりなのか
ここ数年、日本のマンション市場は大きな価格上昇を経験してきました。
特に東京を中心とする都市部では、一般的な会社員が新築マンションを購入することさえ難しい価格帯になっています。
しかし、価格が上がり続ける市場はありません。
今回のデータは、これまでの上昇相場が転換点を迎えつつある可能性を示しています。
ただし、現時点で日本全国のマンション価格が崩壊していると判断するのは早計です。新築価格は依然として高く、エリアによっては中古マンションの価格も上昇しています。
今後、金利や景気、建築コスト、住宅需要がどのように変化するのかによって、市場の方向性は大きく変わるでしょう。
マンションは人生で最も大きな買い物の一つです。
「今買わないと、さらに高くなる」という焦りだけで購入する時代から、本当にその価格に見合う価値があるのかを見極める時代へ。
マンション価格の崩壊が始まったのか、それとも一時的な調整なのか。2027年に向けて、不動産市場の動向から目が離せません。