「他にも検討者がいます」、そんなときどうする?

「他にも検討者がいます」、そんなときどうする?

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内覧の最後に、営業担当から「他にも検討されている方がいます」と言われた経験がある方は多いのではないでしょうか。

その場で焦って決めてしまった方もいれば、話半分に聞き流した方もいると思います。

実はこのセリフ、新築マンションと中古マンションでは、背景にある仕組みがまったく違います。一級建築士・宅地建物取引士として、両方の視点から整理してみます。

新築と中古、そもそも「競合」の仕組みが違う


新築マンションは、デベロッパーが売主です。販売方式は「抽選」か「先着順」のどちらかで、人気の住戸は抽選になることもあります。

一方、中古マンションは、個人の売主を仲介会社が仲立ちする取引です。買付証明書を先に出した人が優先的に交渉できるという「先着順」の慣行がありますが、これはあくまで業界の慣行であり、法的な拘束力はありません。

同じ「他にも検討者がいます」という言葉でも、新築は売主自身の販売戦略の話であり、中古は仲介会社を介した、法的拘束力のない慣行の話です。ここを同じように受け止めてしまうと、判断を誤りやすくなります。

中古の場合:競合の真偽より、自分がどう動くかを決めておく


中古マンションの買付証明書は、いつでも撤回できる意思表示に過ぎません。過去の判例でも、「先に出した人が必ず買える」とは認められにくいとされています。

本当に他の検討者がいるかを、買う側が逐一確認するのは現実的ではありません。大事なのは、競合の真偽を突き止めようとすることではなく、言われたときに自分がどう動くかを決めておくことです。

まず、焦る必要はありません。不動産は「なまもの」で、流動性が大きいものです。そして、その「他の検討者」も、おそらくあなたと同じような属性・価値観を持っている可能性があります。すでに似たような物件をいくつも見ていて、その上であなたと同じようにこの物件を気に入っている、という状況です。

つまり、これは「この1室を奪い合っている」という話ではなく、同じカテゴリーの中で、似たような条件の物件を探し合っているという話として捉え直すべきだと思います。心理学には「希少性ヒューリスティック」という考え方があり、他人の需要で減ったものほど評価が上がることが知られています。「他にも検討者がいます」という言葉は、まさにこの効果を狙ったものだと捉えると、冷静になりやすいと思います。

新築の場合:「抽選」と「今だけ」はまったく別物


新築マンションは各住戸が個別に売り出されています。希望する部屋が抽選になっているなら、話はシンプルです。倍率がどうだろうが、気に入っているなら申し込めばいいですし、悩むようなら申し込まなければいい。倍率という数字に判断を左右される必要はありません。

ただし、「今だけ」という言葉には注意が必要です。これは裏を返せば「今すぐにでも売りたい」理由があるということです。人気の住戸は売り出された直後に申し込みが入ります。在庫調整や期末の決算対応の時期まで残っているということ自体が、売れていないことの証拠です。まだ売れていないなら、焦る必要は全くありません。

背景には、新築特有の「期分け販売」という戦略があります。第1期で完売実績を作り、次の期の値上げの受け入れにつなげる、という狙いです。「今だけ」の裏には、こうした売主側のスケジュール上の事情が隠れていることが多いのです。

まとめ


もっとも危険なのは、その物件・その部屋にしか目が行かなくなることです。すべてが相対的な評価になり、自分の生活にとって何が重要だったのかを見失ってしまいがちです。

この物件は、自分の生活を考えたときに必要か、適しているか。そこを軸に、他の物件とも公平に比較することが、後悔のない選び方につながります。

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