スーパー「オリンピック」が消える。なぜ、あの店は選ばれなくなったのか

スーパー「オリンピック」が消える。なぜ、あの店は選ばれなくなったのか

記事
コラム
「オリンピック」というスーパーを知っていますか?

関東圏に住んでいる人なら、一度は見かけたことがあるかもしれません。

食品だけではなく、日用品や衣料品、生活用品なども扱う、いわゆる総合スーパーとして長く営業してきた「オリンピック」。

そんなオリンピックに、大きな転機が訪れました。

2026年7月1日、ドン・キホーテなどを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)がOlympicグループを完全子会社化。

今後は、既存のオリンピック店舗をドン・キホーテや食品販売を主体とした新業態「ロビンフッド」などへ転換していく方針が示されています。

つまり、私たちが長年見慣れてきた「オリンピック」という看板が、少しずつ街から消えていく可能性があります。

では、なぜオリンピックは買収されることになったのでしょうか。

「悪いスーパー」だったわけではない

ここが今回の話で一番重要なところです。

オリンピックが突然、商品もサービスも悪くなったわけではありません。

むしろ食品については、品質や品揃えにこだわり、非食品ではディスカウント性を打ち出すなど、独自のポジションを目指していました。

しかし、時代が変わりました。

現在のスーパーは、

「安さならオーケー」

「肉ならロピア」

「便利さならネットスーパー」

「何でも安く買うならドン・キホーテ」

というように、消費者の中で選ぶ理由が非常に明確になっています。

一方、オリンピックは「食品もある」「日用品もある」「ディスカウントもある」という幅広さがある反面、

「オリンピックだから、これを買いに行く」

という強烈な理由を作りにくかった。

実際、近年のOlympicグループは業績が低迷し、2026年2月期まで3年連続で最終赤字となっていました。

「何でもある」は、強みにならなくなった

昔のスーパーにとって、「何でも揃う」は大きな武器でした。

食品を買って、衣料品を見て、日用品も買う。

一つの店ですべてが完結する。

これは非常に便利です。

しかし、今は違います。

ネット通販があり、ドラッグストアがあり、100円ショップがあり、専門店があり、ディスカウントストアもあります。

さらにスーパー同士も、ただ商品を並べるだけではなく、

「圧倒的な安さ」

「生鮮食品の強さ」

「惣菜がうまい」

「PB商品が充実している」

など、それぞれの得意分野を明確にしています。

結果として、

「何でもある店」

よりも、

「○○なら、この店」

のほうが選ばれやすくなったのです。

オリンピックの問題は「商品」ではなく「理由」だったのかもしれない

これは小売業だけの話ではありません。

マーケティングでも同じことが言えます。

「ホームページを作れます」

「SNSを運用できます」

「広告を出せます」

「SEOもできます」

こうやってサービスをたくさん並べると、一見すると強そうに見えます。

でも、お客様からすると、

「結局、この会社は何が得意なの?」

となってしまう。

選択肢が多いことと、選ばれる理由があることは、まったく別です。

オリンピックの歴史を振り返ると、実は新しいことにも積極的でした。

ペット、自転車、ゴルフなどの専門店を展開するなど、専門性を高める取り組みも行っていました。

それでも競争の激しいスーパー市場の中で、強烈な「ここで買いたい理由」を作り切れなかったことが、苦戦につながったと考えられます。

「消滅」は終わりではなく、再スタートかもしれない

今回の買収を「オリンピックがなくなる」とだけ考えると、少し寂しいニュースです。

しかし、別の見方もできます。

PPIHは、ドン・キホーテなどを展開する企業です。

過去にもスーパーなどを買収し、ディスカウントと食品を組み合わせた店舗づくりを進めてきました。

今回のOlympicグループ買収も、首都圏での食品スーパー事業を強化する狙いがあります。

つまり、

「オリンピックが消える」

というより、

「オリンピックというブランドが、別の形に生まれ変わる」

と考えたほうが近いのかもしれません。

実際、すでにPPIHでは食品販売を主体とする新業態「ロビンフッド」の展開も進めています。

看板が変わるだけでは意味がない

ただし、ここからが本当の勝負です。

店名を変えれば、お客様が戻ってくるわけではありません。

重要なのは、

「なぜ、この店に行くのか」

をもう一度作れるかどうか。

価格なのか。

食品なのか。

惣菜なのか。

品揃えなのか。

それとも、ドン・キホーテにはない「毎日の買い物のしやすさ」なのか。

そこが明確になれば、長年地域に根付いてきた店舗には、まだ十分に可能性があります。

逆に、単純に看板だけを変えてしまえば、長年積み上げてきた地域との関係まで失ってしまう可能性があります。

スーパーの「オリンピック」が消えていく今回のニュースは、単なる小売業界の再編ではありません。

これは、

「何でもできる店」から「ここだから選ばれる店」へ。

小売業界そのものが、そんな時代に変わっていることを象徴する出来事なのではないでしょうか。


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す