ドラマ『VIVANT』が話題になったとき、SNSではさまざまな考察が飛び交っていました。
「あの人物は何者なのか」
「あのシーンにはどんな意味があるのか」
「もしかして、こういう展開なのでは?」
放送されるたびに視聴者が考察し、SNSで意見を共有する。
改めて考えると、『VIVANT』は「情報をすべて見せる」ことで視聴者を引きつけた作品ではありません。
むしろ、あえて情報を出し切らなかったことが、視聴者の興味を持続させたのではないでしょうか。
そして、これはマーケティングにも通じる部分があります。
すべて説明すれば、伝わるわけではない
商品やサービスを紹介するとき、私たちはつい「できるだけ詳しく説明しよう」と考えます。
商品の特徴はこれです。
料金はこれです。
こんなメリットがあります。
こんな人におすすめです。
もちろん、必要な情報を伝えることは大切です。
ただ、情報を増やせば増やすほど、興味を持ってもらえるとは限りません。
むしろ、最初から答えをすべて提示してしまうことで、相手が考えたり、続きを知りたいと思ったりする余地がなくなってしまうこともあります。
『VIVANT』がおもしろかった理由の一つは、「何なのか分からない」という状態をうまく作っていたことだと思います。
分からないから気になる。
気になるから次を見る。
そして、自分なりに予想したくなる。
この「知りたい」という感情が、次の視聴につながっていきます。
「余白」があるから、人は参加したくなる
マーケティングで考えると、ここで重要なのが「余白」です。
すべてを企業側から説明するのではなく、あえて受け手が考えられる部分を残しておく。
すると、見る側は単なる受け手ではなくなります。
「これってどういう意味だろう?」
「自分ならこう考える」
「もしかしたら、こういうことかもしれない」
と、自分から情報に参加するようになります。
SNSとの相性が良いのも、この構造です。
自分が気になったことを誰かに話したくなる。
考察を投稿したくなる。
他の人の意見を見たくなる。
結果として、コンテンツそのものが会話のきっかけになっていきます。
これは広告費をかけて一方的に情報を届けるのとは違う、「人が人に伝えたくなる」状態です。
商品ページでも同じことができる
これはドラマだけの話ではありません。
例えば、商品やサービスの紹介ページでも、
「この商品は○○です」
「こんな機能があります」
「料金は○○円です」
と情報を並べるだけでは、なかなか興味を持ってもらえないことがあります。
そこで、
「なぜ、このサービスが必要なのか」
「実際に使うと何が変わるのか」
「自分の場合はどうなるのか」
という部分を想像できるようにする。
もちろん、必要な情報を隠すという意味ではありません。
伝えるべき情報はきちんと伝えた上で、相手が自分ごととして考える余白を残す。
ここが重要です。
「伝える」と「興味を持たせる」は別の仕事
マーケティングでは、「分かりやすく伝えること」が重視されます。
それ自体は間違っていません。
ただし、
分かりやすくすることと、興味を持ってもらうことは別です。
最初から全部説明して納得してもらうことと、
「もう少し知りたい」と思ってもらうこと。
この2つは似ているようで、実は違います。
『VIVANT』を見ていると、情報を小出しにしながら視聴者の「知りたい」を維持することの強さを感じます。
これは、商品・サービスの販売、SNS、Webサイト、広告など、さまざまな場面で応用できる考え方です。
情報が多い今の時代だからこそ、「何を伝えるか」だけではなく、「何をあえて残すか」もマーケティングになる。
『VIVANT』は、そんなことを考えさせてくれる作品だったのではないでしょうか。