「今は売り手市場だから、転職しやすい」
転職活動をしていると、そんな話を耳にすることがあります。
確かに、現在の転職市場を見ると、企業の求人は比較的多く、求職者にとっては追い風が吹いている状況です。
では、本当に「誰でも転職しやすい時代」なのでしょうか。
私は、転職活動をするなら、単純に「売り手市場だから大丈夫」と考えないほうがいいと思っています。
そもそも「売り手市場」とは?
売り手市場とは、簡単に言えば「仕事を探している人よりも、求人を出している企業のほうが多い状態」です。
2026年7月のdoda転職求人倍率は2.71倍。
つまり、求職者1人に対して、単純計算で2件以上の求人がある状態です。
数字だけを見ると、転職希望者にとってかなり有利に見えます。
ただし、ここで注意したいのが、
「求人が多い」=「自分が採用されやすい」ではない
ということです。
職種によって状況はかなり違う
実は、転職市場はすべての職種が同じ状況ではありません。
例えば2026年7月のdodaのデータでは、IT・通信エンジニアの求人倍率は11倍を超えています。
一方で、事務・アシスタント系は1倍を下回っています。
同じ「転職市場」でも、職種によって企業と求職者のバランスは大きく違います。
つまり、
「今は売り手市場だから転職しよう」
ではなく、
「自分が転職しようとしている職種は、今どのような市場なのか?」
を見る必要があります。
企業も「誰でもいい」わけではない
人手不足の企業が増えているからといって、企業側が採用条件をなくしているわけではありません。
企業からすれば、
「人が足りないから誰でも採用しよう」
ではなく、
「自社で活躍してくれる人を採用したい」
というのが基本です。
そのため、求人が増えていても、自分の経験やスキルが企業の求めているものと合わなければ、なかなか選考が進まないこともあります。
逆に言えば、自分の経験を必要としている企業を見つけられれば、転職活動を有利に進められる可能性があります。
「とりあえず応募する」だけではもったいない
転職活動を始めると、
「まずはたくさん応募しよう」
と考える人もいると思います。
もちろん応募数を増やすことも大切です。
ただ、売り手市場だからこそ、
「自分はどこで評価されるのか」
を考えてみることも重要ではないでしょうか。
例えば、営業経験がある人でも、
「営業職」というだけで求人を探すのではなく、
・法人営業の経験がある
・既存顧客との関係構築が得意
・新規開拓の経験がある
・人材業界の経験がある
・特定業界の知識がある
など、自分の経験を細かく分解してみる。
すると、「営業」という大きなくくりでは見えてこなかった求人が見つかることがあります。
今の転職活動で大切なのは「市場を見ること」
転職活動というと、
「自分はどの会社に入れるのか」
と考えがちです。
でも、少し視点を変えて、
「自分の経験を必要としている会社はどこなのか」
と考えてみる。
この違いは意外と大きいと思います。
企業から選ばれることだけを考えていると、どうしても「自分には何が足りないのだろう」と考えてしまいます。
一方で、自分が評価される場所を探すという視点を持てば、これまでの経験を別の角度から見直すことができます。
結局、今は売り手市場なのか?
結論として、現在の転職市場は、全体としては求職者にとって比較的有利な状況と言えます。
ただし、
「売り手市場=誰でも簡単に転職できる」
というわけではありません。
職種によって求人の多さは違いますし、企業が求める経験やスキルとの相性によっても、転職活動の難易度は変わります。
だからこそ、これから転職活動をするなら、
「今は売り手市場だから大丈夫」
と考えるより、
「自分は今、どの市場で評価されるのか」
を考えてみることが大切なのではないでしょうか。
求人が多い今だからこそ、ただ応募先を増やすのではなく、自分の経験を必要としてくれる企業を探す。
転職活動は、「企業に選ばれる活動」だけではなく、自分が評価される場所を探す活動でもあると思います。