はじめに
はじめまして。現役の胚培養士として日々ラボで命をつないでいる、橘 蒼人(たちばな せいと)です。
今日は、よく聞かれる「なぜこの道を選んだのか」という私の原点についてお話しします。
20年の研究職から、不妊治療の「患者」へ
実は、私はかつて不妊治療の患者でした。
当時はマウスの体外受精や顕微授精など、人の不妊治療に応用される技術を使った研究職に20年ほど携わっていました。
結婚後、いわゆる「妊活」を始めましたが、なかなか子供に恵まれませんでした。専門的な仕事をしていたからこそ、「自分たちは不妊症だろう。治療なしでは授からない」という予感がありました。しかし、いざ治療を始めても思うような結果が出ず、悶々とした日々を過ごしていました。
「自分で自分の治療をしたい」一念発起の転職
「このまま治療を続けていていいのだろうか」
そう自問自答する中で、ふと思ったのです。
「対象は違えど、私は技術を持っている。いっそのこと、自分で自分の治療をしよう。全力を尽くしてダメなら、その時は諦めがつくはずだ」
そう一念発起し、胚培養士へと転職しました。
マウスで培った技術はありましたが、人ならではの技術を習得するため、死に物狂いで勉強し、技術を磨く日々が始まりました。
私の人生を変えた、ある患者様の「笑顔」
ある時、「これが私の天職だ」と確信した出来事がありました。
当時私がいたクリニックでは、培養士も患者様の前に出て説明を行っていました。
ある患者様が数年の治療を経て授かられた際、私に「ありがとうございます」と満面の笑顔を向けてくださったのです。
親族でも友人でもない、「赤の他人」のあんなに幸せそうな笑顔を、私はそれまでの人生で見たことがありませんでした。
「人の幸せに、ここまで深く関われる仕事があるんだ」
鼻の奥がツンとするほどの嬉しさとともに、この仕事を一生やり遂げようと心に誓った瞬間でした。
「ラボの中にいるだけでは、救えない人がいる」
しかし、現場で経験を積むほどに、新たな思いが芽生えてきました。
クリニックに来てくださる患者様のお手伝いはできる。けれど、ラボの中にいるだけでは届かない、救えない人が全国には大勢いるのではないか。
「もっと早く知っていれば、こんなに遠回りしなかったのに」という後悔
クリニックの裏側、培養室の真実を知らないゆえの不安
仕事との両立や、夫婦間の温度差による孤独
こうした悩みは、ラボの中にいるだけでは解決できません。
「患者としての失敗談」と「プロとしての経験」の両方を持つ私だからこそ、オンラインを通じて、より多くの方の力になれるはずだと確信したのです。
おわりに:あなたの隣にいるスペシャリストとして
不妊治療は、精神的にも経済的にも、そして夫婦関係においても、本当に多くの不安がつきまといます。
私は、あなたが後悔のない形で治療を進められるよう、「あなたの隣にいるスペシャリスト」であり続けたいと思っています。
一人で抱え込まず、まずはあなたの想いを聞かせてください。
一緒に、未来への戦略を立てていきましょう。