論文や学会投稿をした後に、査読コメントが返ってくると、思った以上に動揺することがあります。
「かなり厳しく書かれている」
「自分の研究が否定されたように感じる」
「どこから直せばよいか分からない」
このように感じる方も少なくありません。
しかし、査読コメントは論文を否定するためのものではなく、論文をより分かりやすく、より説得力のある形に整えるための助言です。
今回は、査読コメントが返ってきた時に、最初に確認したい5つのことを紹介します。
① まずは感情と作業を分ける
査読コメントを読んだ直後は、どうしても気持ちが揺れます。
特に、自分なりに時間をかけて書いた論文であればあるほど、指摘を受けると落ち込んだり、反発したくなったりするものです。
しかし、すぐに反論を書き始めるのはおすすめしません。
まずは一度読み、少し時間を置いてから、作業としてコメントを整理することが大切です。
査読コメントは「人格への評価」ではなく、「原稿への改善提案」です。
このように切り分けるだけでも、冷静に対応しやすくなります。
② コメントを種類ごとに分類する
査読コメントは、すべて同じ重さではありません。
まずは、指摘内容を種類ごとに分けてみましょう。
例えば、以下のように分類できます。
研究目的に関する指摘
方法に関する指摘
結果に関する指摘
考察に関する指摘
図表に関する指摘
文章表現に関する指摘
参考文献に関する指摘
このように整理すると、どの部分を優先して直すべきかが見えやすくなります。
特に、方法・結果・考察に関する指摘は、論文全体の論理性に関わるため、丁寧に対応する必要があります。
一方で、誤字脱字や表記ゆれなどは、比較的すぐに修正できる指摘です。
最初から順番に直そうとするよりも、内容の重い指摘と軽い指摘を分けることが重要です。
③ 「本文修正」と「回答書」をセットで考える
査読対応では、本文を直すだけでは不十分なことがあります。
多くの場合、査読者や編集者に対して、
「どの指摘に対して、どのように対応したか」
を回答書で示す必要があります。
例えば、
査読コメント:
「方法と結果の記載が混在しているため、整理が必要である。」
対応:
「ご指摘ありがとうございます。方法セクションでは研究手順と分析方法を中心に記載し、結果に該当する記述は結果セクションへ移動しました。」
このように、本文を修正したうえで、回答書にも対応内容を書きます。
大切なのは、
「直しました」
だけで終わらせないことです。
どの部分を、どのような理由で、どのように修正したのかを簡潔に示すと、査読者に伝わりやすくなります。
④ 反論する場合も丁寧に書く
査読コメントの中には、必ずしもすべてそのまま受け入れる必要がないものもあります。
研究の目的やデータの性質上、指摘の通りには修正できない場合もあります。
そのような時は、感情的に反論するのではなく、理由を添えて丁寧に説明します。
避けたい書き方は、次のような表現です。
「この指摘は誤りです」
「その解釈は適切ではありません」
「すでに本文に書いてあります」
このような書き方は、相手に強い印象を与えてしまいます。
代わりに、
「ご指摘ありがとうございます。本研究では〇〇を目的としているため、△△については本文中で補足説明を加えました。」
「ご指摘の点について再検討しましたが、本研究の対象および方法を踏まえ、本文では〇〇のように記載いたしました。」
のように書くと、丁寧な印象になります。
査読対応では、正しさだけでなく、伝え方も重要です。
⑤ 修正後に全体の整合性を確認する
査読コメントに対応して部分的に修正すると、論文全体の流れが崩れることがあります。
例えば、方法を修正した結果、結果の表現も変える必要が出ることがあります。
考察を追加したことで、結論の表現も調整した方がよい場合もあります。
そのため、査読対応では、指摘箇所だけを直して終わりにしないことが大切です。
修正後には、以下を確認しましょう。
研究目的と結論が対応しているか
方法と結果に矛盾がないか
結果と考察が混在していないか
図表番号や表記にずれがないか
追加した文章だけ文体が浮いていないか
特に看護研究では、方法・結果・考察の住み分けが重要です。
どのセクションに何を書くべきかを意識して見直すことで、論文全体が読みやすくなります。
査読対応でよくある失敗
査読対応では、次のような失敗が起こりやすいです。
1. コメントの一部だけに対応してしまう
査読コメントが複数ある場合、対応漏れが起こることがあります。
すべてのコメントに番号を付け、一つずつ対応状況を確認することが大切です。
2. 回答書が短すぎる
「修正しました」の一言だけでは、査読者に十分伝わらないことがあります。
何をどう修正したのかを、簡潔に説明しましょう。
3. 本文修正と回答書が一致していない
回答書では「追記しました」と書いているのに、本文に反映されていない場合があります。
修正後は、本文と回答書を照合しましょう。
4. 指摘に対して感情的に反応してしまう
査読コメントが厳しく感じられても、回答書では丁寧な表現を使うことが大切です。
査読者と議論するのではなく、論文を改善する姿勢を示しましょう。
5. 修正によって別の不整合が生じる
一部を直すことで、別の箇所との整合性が崩れることがあります。
最後に全体を通して読み直すことが重要です。
まとめ
査読コメントが返ってきた時は、次の5つを意識してみてください。
感情と作業を分ける
コメントを種類ごとに分類する
本文修正と回答書をセットで考える
反論する場合も丁寧に書く
修正後に全体の整合性を確認する
査読コメントへの対応は、慣れていないと難しく感じます。
しかし、一つひとつの指摘を整理し、本文と回答書を対応させていけば、落ち着いて進めることができます。
査読対応は、論文をより良くするための重要なプロセスです。
査読コメントへの具体的な対応例や、回答書の書き方に悩む方は、別途まとめている実例集もご活用ください。
また、看護研究・学会発表・論文添削・査読コメント対応の個別相談も承っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
査読コメントへの対応は、研究経験が少ないほど難しく感じる部分です。
今回は基本的な考え方を紹介しましたが、実際の査読対応では「どのように回答書を書くか」「どの程度修正するべきか」で悩むことも少なくありません。
査読コメントへの具体的な回答例や対応実例については、コンテンツマーケットにてまとめていますので、必要な方はご活用ください。