退去立会いでもめやすいのがフローリングの傷です。
「こんなに傷だらけだと敷金いくら引かれるんだろう」
「うっかりつけた傷も全部自分の負担なの?」
「退去前に自分で直した方が安く済む?」
不動産業界25年、現場で何百件も退去立会いをしてきた
元賃貸ショップ店長のいなもとが本音で解説します。
【基本の考え方】払うかどうかは「なぜついた傷か」で決まる
国土交通省の原状回復ガイドラインでは、こう定められています。
入居者の負担→ 故意・過失によってつけた傷
大家さんの負担→ 経年劣化や通常の生活でついた傷
つまり「わざとじゃない」は関係ありません。
うっかりつけた傷でも、入居者の行為が原因なら入居者負担です。
【大家さん負担になるケース】
・入居時からあった傷
・日光や雨漏りによる日焼け・色落ち
・家具を置いたことによるへこみ(重さによる自然なへこみ)
【入居者負担になるケース】
・物を落としてできた傷・へこみ
・家具を引きずってできた傷
・キャスター付きの椅子による傷
・ペットのひっかき傷
・引越し時についた傷(ただし引越し業者がつけた場合は業者負担)
フローリングは色ムラが出やすいため、
小さな傷でも全面張り替えになるケースが多いというのが現場の実態です。
これが退去費用が高くなりやすい理由のひとつです。
【知らない人が多い】火災保険が使えるケースがある
「借家人賠償責任の特約」がついた火災保険に加入していれば、
フローリングの傷の修繕費用をカバーできる場合があります。
対象になりやすいケース:
・うっかり物を落とした
・子どもがおもちゃを投げた
・家具を動かしてついた傷
・ふらついて転倒してついた傷
ただしペットによる傷やタバコの焦げは対象外のことがほとんどです。
退去前に一度、加入している火災保険の内容を確認してみてください。
意外と使えるケースがあります。
【よくある勘違い】自分で直すのは原則NGです
「ホームセンターで補修キットを買って直した方が安くなるのでは?」
という相談をよく受けます。
結論から言うと、勝手に修繕するのは原則NGです。
理由は2つあります。
ひとつは、どこをどう直すかは大家さんや管理会社が判断するものだからです。
もうひとつは、素人が補修した箇所は退去立会いのプロにはすぐバレます。
それどころか、下手に手を入れることで状況が悪化して
修繕費が余計にかかるケースも現場で何件も見てきました。
傷をつけてしまったときは、早めに大家さんや管理会社に正直に連絡するのが
結果的に一番損をしない方法です。
時間が経てば傷が広がって費用がかさむこともあります。
【入居中にできる傷対策】これをやっておくだけで退去時の負担が変わる
・フローリング全体にカーペットを敷く
・キャスター付きの椅子の下にチェアマットを敷く
・家具の足にカバーをつける
・重い家具の下に敷板を入れる
・子どもが遊ぶスペースにクッションマットを敷く
特に小さなお子さんやペットがいるご家庭は
入居直後から対策しておくことを強くおすすめします。
【これが一番大事】入居時の写真とチェックシートを必ず残す
退去時の交渉で最大の武器になるのは入居時の記録です。
「この傷は最初からありました」と口で言っても、
証拠がなければ認めてもらえません。
入居したら必ずやること:
・室内全体の写真を撮る(傷・汚れがある箇所は接写で)
・チェックシートに記入して管理会社に提出する
・自分用にコピーを手元に残しておく
国土交通省のガイドラインに「入退去時の物件状況確認リスト」が
掲載されていますので参考にしてください。
【納得いかない場合の相談先】
・各都道府県の不動産相談窓口
・国民生活センター・消費生活センター
・簡易裁判所での民事調停
・賃貸トラブルに強い弁護士
一人で抱え込まず、まず相談してみてください。
フローリングの傷で退去費用を請求されて納得いかない方、
立会い前に相場を確認しておきたい方は
お気軽にご相談ください。
現場経験をもとに、あなたの状況を一緒に整理します