「AIで作って、自分でチェック」の落とし穴
生成AIで文章を書かせている人は多いと思います。でも、出来上がったものを誰がチェックしていますか。
多くの場合、「自分」でしょう。AIが書いた文章を自分で読み返して、おかしいところを直す。一見まともな流れに見えます。でもこれ、けっこうしんどい作業です。
理由は単純で、AIが書いた文章は「それっぽい」からです。文法は正しい。構成も整っている。でも、よく読むと根拠があいまいだったり、同じことを言い回しを変えて繰り返していたりする。表面的に整っているぶん、問題を見つけるのに集中力がいる。自分で書いた文章のチェックより疲れる、という声は少なくありません。
そこで試したのが、「検査もAIにやらせる」という方法です。
「書く」と「検査する」を分ける理由
ポイントは、書くAIと検査するAIを分けることです。
1つのチャットで「書いて、チェックもして」と頼むと何が起きるか。AIは自分が書いた文章を否定しにくい。「ここが問題です」と指摘した直後に「でも全体としてはよく書けています」とフォローしてしまう。人間でも、自分が書いた企画書の粗を自分で見つけるのは難しいのと同じ構造です。
だから、書く工程と検査する工程を物理的に分けます。具体的には、別のチャットやスレッドで検査専用のやり取りをする。書いた側の文脈を引きずらないことが大事です。
検査用プロンプトの組み立て方
検査をAIに任せるとき、「チェックしてください」だけでは機能しません。何を、どの基準で見るかを指定する必要があります。
私が使っている検査の観点は、大きく4つです。
**1. 根拠のない断定がないか**
「〜は必須です」「〜できません」のような断定文を洗い出します。出典や条件が示されていなければNG。プロンプトには「断定している箇所を全て抽出し、根拠の有無を判定してください」と書きます。
**2. 情報密度が薄くないか**
見出しに対して本文が「〜は重要です」「〜を意識しましょう」で終わっていないかを見ます。読者が「で、具体的にどうするの?」と感じるセクションがあればNG。
**3. 同じことの繰り返しがないか**
AIの文章は、表現を変えて同じ主張を3回くらい繰り返すことがあります。「要約すると」「言い換えれば」のあとに新しい情報がなければ、指摘対象です。
**4. 読者の行動につながるか**
最後まで読んだ人が「次に何をすればいいか」が分かるかどうか。抽象的な結論で終わっていたらNG。
この4つをプロンプトに明記して渡すだけで、検査精度がかなり変わります。
検査結果の扱い方
AIの検査結果をそのまま鵜呑みにするのは危険です。ここが人間の出番になります。
AIは「ルール通りに照合する」のは得意ですが、「この文脈ではあえて断定してよい」といった判断はできません。たとえば、自社の実体験に基づく記述を「根拠がない」と指摘してくることがあります。それは検査のルールが正しく機能した結果であって、誤検知ではない。ただ、その指摘を採用するかどうかは人間が決めます。
運用のコツは、検査結果を「修正指示」ではなく「確認リスト」として扱うことです。全部直すのではなく、1つずつ目を通して、対応するかしないかを判断する。この工程を入れることで、AIの検査が過剰にも過小にもならずに済みます。
実際、私はこの方法で記事の品質チェック時間を半分ほどに減らせました。全部目視でやっていた頃に比べると、見落としも減っています。
検査を分けると、全体が見えるようになる
この方法の副次的な効果があります。検査観点を言語化すること自体が、品質基準の棚卸しになるのです。
「根拠のない断定はNG」「情報密度が薄いのはNG」。こうしたルールは、実は普段の業務では暗黙知になりがちです。AIに検査させるために言語化すると、自分自身の品質基準が整理される。結果として、AIなしで書くときにも文章の精度が上がります。
生成AIを「書く道具」としてだけ使うのはもったいない。「検査する道具」として使うと、自分のチェック作業が楽になるだけでなく、品質基準そのものが磨かれていきます。
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