吃音者は人口の約1%と言われています。
みなさんはこの数字、実感として合いますか? 私は社会人になってから「あ、この人吃音があるのかな」と感じた場面を振り返ると、1%から想像するよりもう少し多い気がしています。軽度の吃音は気づかれにくいし、本人が必死に隠していることも多い。実態はもう少し高いのかもしれません。
まぁ、1%だろうが2%だろうが、ここで言いたいのはその数字自体の話ではありません。
文化も言語も違うのに、なぜ割合が変わらないのか
吃音について調べていて、ずっと引っかかっていることがあります。
吃音の有病率は、世界中でほぼ一定とされているのです。先進国でも途上国でも、英語圏でも日本でも、都市部でも農村部でも、おおむね同じくらいの割合で吃音のある人が存在するとされています。
これ、少し立ち止まって考えると面白くないでしょうか。
もし吃音が主に環境や心理的なストレスから来るものなら、生活環境や文化的背景によって割合が変わってきてもおかしくありません。プレッシャーの多い社会とそうでない社会で、差が出てきそうなものです。でも実際にはそうなっていない。
この「どこでも変わらない」という事実が、遺伝的な要素との深い関わりを静かに示しているように思います。
遺伝子レベルの研究も進んでいる
実際、近年の研究では吃音と特定の遺伝子変異との関連が報告されるようになってきています。GNPTAB・GNPTG・NAGPAといった遺伝子で、細胞内の働きに関わるものです。専門的な内容はすべて理解できているわけではありませんが、「遺伝が無関係ではない」という研究の流れは確かにあります。
世界共通の有病率という事実と、遺伝子研究の方向性。この二つは、同じことを指し示しているように見えます。
だから、あれこれ気にしなくていい
吃音を長く抱えていると「自分が内気だから」「子どもの頃の何かが原因では」と思ってしまうことがあります。私にもそういう時期が長くありました。
でも遺伝的な特性として捉えるなら、話は変わってきます。性格のせいでも、過去の体験のせいでもない。生まれ持ったものです。
そう考えると、吃音があることで自分を責めたり、原因探しに時間を使ったりすることが、少しもったいなく感じてきます。35年以上付き合ってきた当事者として、これだけは自信を持って言える気がしています。