前編では、
なぜ「かむっく」なのか。
なぜ「かけて・むすんで・つくる」なのか。
その背景にある、私自身の性分や考え方をお伝えしました。
言うなれば、“性分編”です。
ここから、核心を語りたいと思います。
言うなれば、“シン・真髄・秘伝編”です。
かむっくの真髄
玉石混交之笥紆富(ぎょくせきこんこうのスープ)の秘伝
~後編:シン・真髄・秘伝編~
さて、私の支援領域の“メインマスト”は、
「地域に点在する資源、制度、人をかけて、むすんで、障害がある方たちの就労の場をつくり、機会の拡大を促進すること」
です。
以前、私の投稿『かむっくの極致①共同体設計という“最高到達点“
障害がある方の「働く×生きる」を起点とした、ユニバーサルデザインの共同体設計』にいただいた、
赤津様の
”一定規模以上の企業には障害者雇用の義務があり、社員数の増加に応じて障害者雇用枠も増えていく仕組みがあります”
というコメントのように、
障害がある方たちの就労機会は、法律や制度によって支えられています。
その一つが「障害者雇用促進法」です。
この法律は、一定割合の障害者雇用を企業に求めるとともに、差別の禁止や合理的配慮についても定めています。
また、現在私が勤めている「就労継続支援B型事業所」のように、障害がある方たちへ働く場を提供する制度も存在しています。
でも、その現状はどうでしょうか。
法律や制度によって雇用機会は支えられている。
けれど、
就労継続支援B型事業所の現場には、多くの課題があります。
例えば、利用者一人ひとりの特性や強みに合った多様な仕事を確保することは容易ではなく、結果として限られた作業に偏ってしまうことがあります。
また、就労継続支援B型事業所における1か月の平均工賃は、厚生労働省の令和4年度調査によると17,031円という低い水準にとどまっています。
工賃を上げたいと思っても、安定した仕事の確保や販路の開拓、人材育成など、多くの壁が立ちはだかります。
さらに、利用者を支える職員も限られた体制の中で支援を行っており、十分な配慮や個別対応を継続することが難しい場面もあります。
その結果、働くことへの意欲や可能性を十分に活かしきれないままになってしまうケースも少なくありません。
一方で、企業の視点ではどうでしょうか。
障害がある方を受け入れる体制が十分に整わないまま、法律に基づいて雇用を進めなければならない。仕事を用意し、業務を切り出し、働きやすい環境を整える必要があるという状況があるのではないでしょうか?
もちろん、その取り組み自体は大切なことです。
ただ現実には、「法律で定められているから雇用する」という側面が生まれてしまうこともあるのではないでしょうか。
では、
自然と障害がある方たちと働きたい。
一緒に何かをしたい。
仕事をお願いしたい。
業務を任せたい。
そう思ってもらうためには何が必要なのでしょうか。
私は、“付加価値”だと思っています。
障害があるから雇用する。
制度があるから受け入れる。
そうではなく、
一緒に働くことで価値が生まれる。
関わることで面白いことが起きる。
プチプチがひと振りで解決する掃除モップへと生まれ変わる。
クリーニング店のハンガーが情報発信ツールとして地域を巡る。
電柱番号が地域を守るための道しるべになる
有料ゴミ箱が地域を見るセンサーになる――
そんなふうに、身近なものに新たな意味や役割を見いだして生まれる
付加価値です。
だから、私は地域に点在する資源、制度、人、物語などをかけて、むすんで、新たな価値や機会をつくる
「かけて・むすんで・つくる」
が必要だと思っているのです。
では、なぜ、
玉石混交之笥紆富(ぎょくせきこんこうのスープ)
なのか。
「玉石混交」とは、価値あるものと雑多なものが混在している状態を表す言葉です。
「笥」は、竹で編まれた器。
「紆」は、巡り、絡まり、回り道。
「富」は、蓄積や実り。
そして、「スープ」という読みには、
色々な素材が溶け合い、
新しい味になるようなイメージを重ねています。
バラバラだったものを混ぜ、
編み、
循環させながら、
新しい価値や役割をつくっていく。
それが、
玉石混交之笥紆富(スープ)
という名前に込めた想いです。
そして、この考え方は、
障害がある方たちの就労支援にも通じています。
障害がある方たちと言っても、千差万別です。
一口に「右腕の拘縮・麻痺」といっても、
右手の3指のみの場合もあれば、
右手首まで、
右肘まで、
右肩までと、
その状態や程度は人それぞれ異なります。
私は長年勤めていた入所施設で、そのような多様な状態の方々と接し、見てきました。
また、発達障害や精神障害といっても、
得意なことも、
苦手なことも、
好きなことも、
みんな違います。
それなのに、
一つのベクトル。
一つの色。
一つの味。
だけでは、
どうしても取りこぼしてしまう。
そこに引っかからない人が出てきてしまう。
だからこそ、誰も取りこぼさないために、
いろいろなフックや受け皿、
いろいろな箱を用意しておきたいのです。
その人に合う入口や居場所が、
どこかに必ずある状態をつくりたいと思っています。
だから私は、
玉も石も、
いろいろな具材も、
一度グツグツ煮込んでみたいのです。
その中から、
思いもしなかった組み合わせが生まれるかもしれない。
新しい魅力が見つかるかもしれない。
誰かの居場所になるかもしれない。
玉石混交之笥紆富(スープ)とは、
玉だけを集めるものではありません。
石も含めて、
みんなで一つのスープをつくり、
みんなで楽しむための考え方です。
そして、そのスープを生み出すための方法が、
「かけて・むすんで・つくる」
なのです。
それが、
私の考える
笥紆富(スープ)の秘伝です。
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