自作自演の悲しい喜劇

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コラム
冬以外は毎日ニュースになる

クマ

20代の頃
私は測量をしていた時期がある。

それも東北で。
しかも、ほとんどは山間部だ。

当時はクマが人里へ降りた
ニュースは
今ほど多く無かった。

山に上がる時は
当然クマ対策をする。

が、
クマ鈴などは
はっきり言うが
効果は薄い。

元森林組合のおじいちゃんが
そう言っていた。

付けてはいたが、気休め程度だ。
クマ鈴よりは、
ラジオの方がマシらしい。

ボリュームを上げられるから。
コレも気休め程度でしかないし
電池が切れたら役に立たない。
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一番信頼できるのは

声だ。
人間の叫び声。

「ほーっ ほーっ」
と、腹から叫ぶのだ。

何度も叫ぶため、
喉がやられないように
腹から叫ぶ。

山を10kg以上の測量機器を担いで登り
叫ぶのは、
予想より体力を消耗するものだ。

東北の山間部は急斜面だ。
場所によっては
四つん這いにならなければ
進めないのだ。

「こりゃ四駆だなぁ」
四つん這いの意味だ。

測量の補助員として、日雇いの方を3〜5名連れて行く。
みな、50代〜70代の男女だ。

しかし、身体の使い方と幼い頃から鍛えられた何かのためか
皆さん、お元気だ。

その中でも、元森林組合の方がいる時は楽だ。

その方は、クマ対策のため
常に叫ぶだけでなく
先に登って、クマに我々の居場所を知らせるのだ。

クマは鼻が利く。

木に登って匂いを嗅ぐ。
そのため、木に爪痕が残るのだ。

加齢臭と汗が香る我々の居場所は
クマはすぐ感知する。

風下にクマがいた場合になるが。

我々の進行方向から風が来ている場合は、要警戒だ。

叫ぶ頻度を
増やさなければいけない。

タバコを吸うのも、クマ対策になる。
タバコの煙(臭い)は、周囲の草木に付き、風にのって遠くまで運ばれる。
おそらく自然界にない臭いなので、クマは嫌うハズだ。

念のため言っておくが
山火事を起こさないために
携帯灰皿を使用するし、風のあるときは、吸わない。
鉄則だ。

タバコを吸ってきたルートを戻って降りる時は、警戒レベルを下げることができる。

こういった対策の甲斐あってか
私たちの現場でクマの遭遇は無かった。

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山と人里の間を
中山間と呼ぶ。

高齢化と過疎化により
中山間が放置され
人間の臭いもなく、山間部との境目が無くなっている。

クマは、山にいるつもりが
いつの間にか、人里へ出てしまう。

そこに
柿の木。 

孫も食べないし、干し柿として保存する必要もない。
ましてや高齢の方々だ。
無理はしないだろう。

過疎化で人の気配はない。

クマは当然その柿を食べる。
そして学習する。

山を降りると食べ物があると。
そういったことが、
日本のあちこちで起きた結果、今の状況になっている。

私は
そう思っている。
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中山間は
山の世界と人間の世界を分ける緩衝地帯だった。

人間の都合で作られ、人間の都合で放置された地域。

山の斜面には
ソーラーパネル。

ソーラーパネルの周囲に
焼け焦げた鳥。

生態系のバランス崩壊。

すべて人間の都合から始まった。

クマは命をかけて
警告にやってくる。

人は命を守るために
そのクマを撃つ。

仕方のない事だが。

人間が、
自作自演する
悲しい喜劇だ。

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