【感謝】市川市の「免許返納で1万ポイント」施策、一市民として問い合わせたら想像以上の素晴らしい効果でした!
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✅~交通計画課さんからの丁寧な回答で分かった、
数字と仕組みの優しさ~
前回の記事では、
私の住む千葉県市川市が実施している
「運転免許証を自主返納した方に、
デジタル地域通貨『ICHICO(イチコ)』を
10,000ポイント付与する」
という取り組みについて、
行動経済学や行動分析学の視点を交えながら
その仕組みの面白さについて触れました。
善意や安全への意識(社会規範)と、
ポイントという特典(市場規範)が交わることで、
現場ではどのような変化が起きているのだろう——。
そんな純粋な関心から、一市民として、
また行動の仕組みを学ぶ者として、
市川市役所の交通計画課さんへ
直接お便りをお送りしてみました。
すると、大変お忙しい中にもかかわらず、
非常に丁寧で詳細な回答を
いただくことができました。
お答えを読んで何より驚いたのは、
この施策が、自分が想像していた以上に
しっかりと効果を上げ、多くの高齢者の方々の
支えになっているという温かい事実でした。
真摯に対応してくださった
交通計画課の皆様に心からの感謝を込めて、
いただいたデータを共有しつつ、
この施策がなぜこれほど優しく機能しているのかを、
3つの視点からシンプルに紐解いてみたいと思います。
✅市川市役所(交通計画課)から届いた公式回答の要点
※いただいたメールのご回答内容は、
全体の趣旨や事実関係を変えずに
ブログ用に分かりやすく
箇条書きで要約しております。
ちなみに、今回私は以下のような項目を伺いました。
①本施策を導入されるに至った経緯や、
期待されている具体的な効果について
②返納後の高齢者の皆様の
「移動の不安」を解消するために、
併せて案内されているツールや施策
(バス停マップや店舗一覧など)の有無について
③本施策に対する現時点での
市民の皆様からの反響や、
どのような広報活動を行われているかについて
そして以下が市役所の担当課からの返答です。
① 特典付与の意図:
加齢に伴い運転に不安を感じる方などの
痛ましい交通事故防止のため、
返納を考えるきっかけとなるよう特典を付与。
早期返納の動機付けとなるよう、
特典はICHICO 10,000ポイントに設定している。
② 交通不安への代替施策:
市としては他部署の事業になるが、
ゴールドシニア(75歳以上)を対象に
バス・タクシーチケットを支給する
「チケット75」をご案内している。
また、警察窓口でも「支援措置一覧」を
配布しており、京成バスグループでは
「運転経歴証明書」により
70歳以上を対象に2年間運賃を半額とする
「ノーカーアシスト優待証」の発行や、
支援店舗一覧を掲載している。
③ アンケート結果と広報:
令和7年度に約800名の方に行った
アンケートの結果、約70%の方から
「返納のきっかけとなった」と
回答をいただいている。
広報は、警察、市内庁舎窓口、公民館、
自治会掲示板でのチラシ掲示や、
SNS等で行っている。
✅「70%がきっかけになった」という数字の持つ温かさ
いただいた回答の中で、
最も胸を打たれたのがこちらのデータです。
市役所が約800名を対象に
実施したアンケートで、
実に「約70%の方から
『返納のきっかけとなった』と
回答があった」という点です。
正直に申し上げて、
私はこれほど高い数字が出ているとは
想像していませんでした。
「たった1万円分で、生活の足である車を
手放すきっかけになるだろうか?」
と少し慎重に見ていた部分があったからです。
しかし、現実は違いました。
本心では
「安全のためにそろそろ返したほうがいい。
でも、踏ん切りがつかない……」と一人で、
あるいは家族で悩んでいた
多くの高齢者の方々にとって、
この10,000ポイントは単なる
お金の損得勘定ではなく、
「今ならポイントももらえるし、
良いタイミングかもしれないね」と、
一歩を踏み出すための優しい理由(ナッジ)
になっていたのだと思います。
葛藤していた心のブレーキを
そっと外してくれるような、
本当に意義のある数字だと感じます。
✅「返したその後」の不安に寄り添う、
2年間の継続的なサポート網
行動を観察する視点から
もう一つ素晴らしいと感じたのは、
ポイントを配って終わりではなく、
「車を手放した後の生活」に対する不安を
和らげる仕組みが、
あらかじめ丁寧に張り巡らされている点です。
免許を返納した直後は、
どうしても「移動が不便になる」という
心理的な負担(嫌悪刺激)が生じがちです。
ここに対して市川市では、
75歳以上を対象とした
「チケット75(バス・タクシー券支給)」や、
民間バス会社と連携した
「2年間の運賃半額優待」といった
代替手段をしっかりと用意していました。
1万ポイントを使い切った後も、
2年間という長い期間にわたって
「お出かけが楽しく、お得になる環境(正の強化)」が
続くことで、高齢者の方々が
無理なく新しい移動習慣(公共交通機関の利用)に
馴染んでいけるようになっています。
部署の垣根を越えて、シニアライフの
新しい一歩を息長く支えようとする
優しさが伝わってきます。
✅ デジタルとアナログを繋ぐ
「自治会掲示板」という地域のコミュニティ力
最後に、この施策がこれほど広く
届いている背景には、
広報の丁寧な泥臭さ(環境のデザイン)が
あることに気づかされました。
ICHICOという「デジタル地域通貨」の
プロモーションでありながら、
市川市ではSNSだけでなく、
「自治会掲示板」や「公民館」といった
超ローカルなアナログ環境に
チラシを徹底して掲示しています。
高齢者の方々にとって、
日常の散歩道や集まりの場で
「身近な情報」として視界に入ることは、
とても大きな意味を持ちます。
「あそこの掲示板で見たんだけど……」
「お隣の佐藤さんも返納したらしいわよ」
といった地域コミュニティ内の温かい噂話や、
お互いの安心感(社会的証明)を生む
導線になっているのではないでしょうか。
本来ならハードルが高いはずの
「デジタル通貨の導入」を、
1万ポイントという分かりやすいきっかけと
地域のつながりでクリアさせ、
結果としてシニア層の新しい学びや
地域での買い物(楽しい行動の強化)に
繋げている点も、本当に見事です。
<最後に>
今回、市川市役所交通計画課からいただいた
お返事を経て、この取り組みが想像以上に深く、
温かく街に根づいていることを知ることができました。
人の心にある不安にそっと寄り添い、
地域みんなで新しい安心な暮らしのスタイルを
作っていこうとする、
とてもクリエイティブで優しい環境のデザインです。
現在は各種割引やマップなどの案内が
それぞれの窓口で個別に配られているとのことですが、
もしこれらが
「ICHICOで歩く!街歩きお出かけマップ」
のように1つにまとまった冊子になれば、
さらに調べる手間が減って
喜ばれるかもしれないな、
とこれからの変化にもワクワクしています。
一市民としてのちょっとした関心から始まった
問い合わせでしたが、
この街が取り組む施策の温かさに
直接触れることができ、
これまで以上に市川市という街が
どのように発展していくのか大変興味がわいてきました。
改めて、貴重なデータと
丁寧なお話を共有してくださった
交通計画課の皆様に、
心からの感謝を申し上げます。
これからも、この優しく素敵な挑戦を
ずっと応援しています!