わからないと言える設計者が、いちばん強い

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機械設計の仕事をしていると、
「わからない」と言いにくい瞬間があります。
打合せ中。
客先がこちらを見ている。
営業も、製造も、答えを待っている。
そのとき、本当は不安でも、
ついこう言ってしまうことがあります。
「大丈夫です」
「できると思います」
「問題ありません」
設計者として、弱く見られたくない。
プロとして、頼りなく思われたくない。
その気持ちは、よくわかります。
しかし、私は長年この仕事をしてきて、
はっきり断言できることがあります。
わかったふりをすることが、いちばん危険です。
設計の問題は、後から必ず表面化する
機械設計の怖いところは、
間違いがその場では見えないことです。
図面を書いた瞬間は、完成しています。
CADの中では、すべてが問題なく動きます。
しかし、
・組立のときに工具が入らない
・干渉して動かない
・強度が足りない
・メンテナンスができない
問題は、必ず現場で発覚します。
しかもそのときには、
製造が始まり、部品が発注され、
多くの人が動いた後です。
「実は、よくわかっていませんでした」
その一言が、もっと早く言えていれば、
防げた問題は数えきれません。
本当に信頼される設計者は、正直な人
若い頃の私は、
何でも答えられる設計者が優秀だと思っていました。
質問されてすぐ答えられる人。
迷いなく判断できる人。
そういう人が、強いと思っていました。
しかし、部長になり、
多くの設計者を見る立場になってわかったことがあります。
本当に信頼できる人は、
こう言える人です。
「勉強不足ですいません。これどういう意味ですか?」
「この仕様、私は、イメージできないので
もう一度、説明お願いできませんか」
一見、弱く見える言葉です。
しかしこれは、
責任から逃げているのではありません。
責任を正しく引き受けようとしている言葉です。
わからないと言える人ほど、事故を防ぐ
設計は、一人で完結する仕事ではありません。
営業
製造
組立
調達
客先
多くの人が関わります。
だからこそ、
早い段階で「わからない」と共有することが重要です。
・詳しい人に相談できる
・過去事例を探せる
・仕様を再確認できる
・方向修正ができる
問題は、小さいうちなら、
簡単に修正できます。
しかし、隠した問題は、
必ず大きくなって戻ってきます。
設計者に必要なのは、見栄ではない
設計者の仕事は、
「正しく線を引くこと」ではありません。
現実を、正しく理解することです。
わからないことを認める。
悩んでいることを共有する。
不確実なことを、不確実と言う。
それは弱さではなく、
プロとしての強さです。
部長になってわかったこと
私は、設計部長になってから、
チーム全体の図面を見るようになりました。
その中で、
大きなトラブルにつながる図面には、共通点があります。
それは、
「誰も疑問を口にしなかった図面」です。
逆に、
何度も質問され、何度も修正された図面は、
現場で問題が起きません。
設計の品質は、
CADスキルだけで決まりません。
正直に向き合えるかどうかで決まります。
これは、機械設計あるあるです。
わからないのに、
わかったふりをするのが一番危険。
設計者に必要なのは、
知識よりも、正直さ。
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