多くの人が勘違いしています。
設計の仕事=図面を書くこと
と思われています。
でも実際の現場では、
図面が完成しても
プロジェクトは終わりません。
むしろ、そこからが本番です。
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「調整」とは何か?
調整とは、
それぞれの正義を、成立させながら前に進めること。
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① 営業との調整
営業は言います。
・納期は短く
・価格は安く
・仕様は柔軟に
でも設計から見ると、
・仕様が曖昧
・前提が決まっていない
・リスクが読めない
ここで戦う設計は未熟です。
本当の調整は、
「できません」ではなく
「これならできます」に変換すること。
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② 製造との調整
製造は言います。
・組みにくい
・加工できない
・工具が入らない
設計は完璧でも、
現場で組めなければ失敗です。
図面を守るのではなく、
“目的”を守る。
これが調整。
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③ 購買との調整
・コストが合わない
・部品が入らない
・納期が読めない
ここで設計が硬直すると
会社は赤字になります。
調整とは、
性能 × コスト × 納期
のバランスを取ること。
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④ 外注との調整
外注はエスパーではありません。
「言わなくても分かるだろう」は事故の元。
図面+意図まで伝える。
ここを怠ると不具合は必ず出る。
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⑤ 客先との調整
ここが一番難しい。
客先は“理想”を語ります。
設計は“現実”を知っています。
夢を壊さず、現実に落とす。
これが本当の設計力。
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なぜ調整が一番難しいのか?
答えはシンプルです。
正解がないから。
強度計算には答えがあります。
寸法公差にも基準があります。
でも、
「どこまで譲るか」
「どこで止めるか」
「どのリスクを取るか」
これは経験値の世界。
だから若手は苦しむ。
CADは教わる。
でも調整は教わらない。
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部長になって分かること
部長の仕事は
“正しい図面を作ること”ではなく
“事故を起こさないこと”。
事故とは
・納期遅れ
・赤字
・客先クレーム
・社内対立
つまり、設計部のトップは
技術者であり、交通整理係であり、心理カウンセラーでもある。