ロボットはドラえもんではない
記事
学び
機械設計が最初にやる仕事
機械設計をしていると、よくある会話があります。
顧客からこんな要望が出ます。
「ロボット使えば何でもできますよね?」
そして続きます。
• これもやりたい
• あれもやりたい
• ワーク100種類対応したい
• ついでにこの作業も自動化したい
ロボットという言葉が出ると、
急に夢が広がる瞬間があります。
さらに追い打ちをかけるのが、この一言です。
「ロボットメーカーは出来るって言ってました」
この言葉を聞いた瞬間、
機械設計者はだいたい心の中でこう思います。
「また始まったな…」
⸻
ロボットは魔法の道具ではない
ここで私は、最初にはっきり言うようにしています。
「ロボットはドラえもんではありません」
ロボットは非常に便利な機械ですが、
当然ながら機械の制約があります。
例えば
• 可動範囲
• 位置精度
• 把持方法
• ワークのばらつき
• 段取り時間
• センサー精度
こういった条件の中でしか
動くことはできません。
つまり
ロボットを入れれば
何でもできるわけではないのです。
⸻
夢の仕様は、だいたい制約を無視している
自動化の相談でよくあるのが
• ワーク100種類対応
• 人と同じ柔軟な作業
• 段取りなし
• 小スペース
• 低コスト
というような
全部盛りの仕様です。
もちろん、技術的に近づけることは可能です。
ただしその場合
• 設備費は高くなる
• 開発期間は長くなる
• トラブルも増える
つまり
夢に近づくほど現実は重くなる。
⸻
機械設計の最初の仕事
機械設計の仕事というと
• 図面を描く
• 機構を考える
• 強度計算をする
こういうイメージを持たれることが多いです。
もちろんそれも重要ですが、
実はもっと最初にやる仕事があります。
それは
夢と現実の距離を説明すること。
できること
できないこと
難しいこと
これをはっきり伝えることです。
⸻
機械設計は夢を描く仕事ではない
機械設計は
夢を描く仕事ではありません。
夢を聞きながら
• 技術
• コスト
• 納期
この3つの制約の中で
成立する現実を作る仕事です。
言い方を変えると
機械設計の最初の仕事は
社会の現実を教えること。
これをやらないと
プロジェクトは必ず後で破綻します。
⸻
だから設計は嫌われる
ちなみに、この役割をやると
だいたいこう言われます。
「設計はすぐ出来ないって言う」
でも実際には
出来ないと言っているのではありません。
「条件が必要です」と言っているだけです。
⸻
最後に
ロボットは非常に優れた機械です。
しかし
ドラえもんではありません。
だからこそ
夢を現実にするためには
• 制約を理解し
• 条件を整理し
• 実現できる形に落とす
この作業が必要になります。
そしてその役割を担うのが
機械設計です。