既製品のシステムをやめて、AIで自作する前に考えてほしいこと

既製品のシステムをやめて、AIで自作する前に考えてほしいこと

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ビジネス・マーケティング
最近、こういう相談が増えました。

「AIで自分たちのシステムが作れるなら、いま払っている月額サービスは解約したほうがいいですか?」

先に結論を書きます。ほとんどの場合、既製品のままで大丈夫です。 既製品のほうが、品質は高いからです。

じゃあ、なぜ私は勤怠アプリを自作したのか。どこで線を引いているのかを、売り込みではなく判断材料として書きます。

まず自分の話:月2万円のプランを、月3,000円に下げた

システムの話の前に、私自身の失敗から書きます。

私は仕事で使うAIツールに、いちばん上の料金プランで契約していました。月2万円ほどです。「上のプランにしておけば、成果も上がるだろう」と思っていました。

ところが実際の使用量を見ると、毎月、全然使い切っていませんでした。

いまは月3,000円のプランに下げています。もし足りなくなったら、同じ3,000円のプランをもう1つ契約すればいい。これで困ったことは一度もありません。

足りない機能も、上位プランで補うのではなく、得意な別のツールを組み合わせて補っています。1つのツールに全部を求めないほうが、結果的に安くて使いやすいんです。

上のプランを選んだ理由を振り返ると、「足りなくなったら困る」という不安でした。でも、足りなくなってから足せば済む話です。先に一番大きいものを買う必要はありませんでした。

ここで学んだのは、高いもの・多機能なもの=自分に合っているではないということでした。業務システムを選ぶときも、まったく同じことが起きています。

自作した例:紙の勤怠をやめたら、社長の月末が軽くなった

最近、ある会社の勤怠アプリを作りました。

その会社はもともと、勤怠を紙で管理していました。集計するのは社長です。月末になると、紙を見ながら数字を拾う作業がまとめてやってきます。

既製品の勤怠サービスは、正直、機能としては十分なものがたくさんあります。それでも自作にしたのは、理由が2つありました。

1つ目は、覚えるコスト。 既製品は万人向けに作られているので、画面も設定も多い。スタッフ全員が使い方を覚えるまでに時間がかかります。紙からいきなり切り替えるには、ここが一番のハードルでした。

2つ目は、「これが欲しい」がはっきりしていたこと。 その会社で本当に困っていたのは、勤怠そのものより、その周辺の作業でした。

たとえば、レジ締め。毎日、締めた金額を記録しなければいけません。いまはレシートを写真で撮るだけで、AIが金額を読み取って、表に自動で書き込むようにしています。

給与明細も、ボタン1つで各スタッフのメールアドレスに届くようにしました。

結果、紙での管理はなくなり、社長が月末にやっていた締め作業がかなり軽くなりました。 既製品を探しても、この会社の「レジ締め」と「明細配布」がちょうどよくつながったものは見つかりませんでした。

ここで大事なのは、「既製品がダメだったから自作した」わけではない、ということです。既製品の勤怠サービスを入れていても、たぶん勤怠そのものは回ったと思います。ただ、レジ締めと明細配布は紙と手作業のまま残り、社長の月末はそれほど変わらなかったはずです。

つまり自作が効いたのは、既製品がカバーしていないすき間の作業でした。反対に、すき間がなければ自作する理由もありません。

既製品のままにしたほうがいいもの

逆に、私が「ここは作らない」と決めているものがあります。

お金が動く仕組み(決済など)と、個人情報をたくさん預かる仕組みです。

こういうものは、セキュリティをかなり厳しく作る必要があります。専門の会社が何年もかけて守ってきた部分を、自作で同じ水準にするのは現実的ではありません。ここは迷わず既製品に任せたほうが安全です。

それ以外でも、既製品で足りているなら、無理に作る必要はありません。 「AIで作れるから作る」は、手段が目的になっています。

私の考えでは、AIで作ったツールは「サブ」くらいの位置づけがちょうどいい。主役は既製品に任せて、既製品では届かない「あと一歩」をAIで埋める。この組み合わせがいちばん失敗しにくいです。

もう1つの失敗:使い方を教えても、定着しなかった

以前、個人事業主の方に、AIを使いこなすためのアドバイスをしていたことがあります。

結果は、正直あまり出せませんでした。使いこなせるかどうかは、どうしてもその人の慣れやセンスに左右されます。「使い方は分かったけど、結局使わなくなった」ということが起きるんです。

これは既製品の「覚えるコスト」と同じ構造です。道具が良くても、覚える負担が大きいと現場には残りません。 自作するなら、使う人が何も覚えなくていいところまで作り込むのが前提になります。

判断するときの3つの質問

既製品を契約する前、または解約を考えたときは、この3つを確認してみてください。

1.いまの既製品で、困っていることはあるか? 
   → なければ、そのままで大丈夫です
2.「もっとこうだったらいいのに」が1つ、はっきり言えるか?
   → 言えるなら、そこだけAIで作れる可能性があります
3.それはお金や個人情報に触れる部分か? 
   → 触れるなら、既製品に任せたほうが安全です

たとえば「予約システムは満足しているけど、予約が入るたびに手で台帳に書き写している」という院なら、予約システムはそのままでいい。自作する候補は「書き写し」の部分だけです。システムを丸ごと入れ替える必要はありません。

2つ目がはっきりしていれば、あとは「それがAIで作れるかどうか」を判断するだけです。そこまで決まっていれば、話はとても早く進みます。

そして、自分で作れそうなら、ぜひ自分で作ってみてください。いまはそれができる時代です。

まずは、いま使っているツールに対する「もっとこうだったら」を、1つだけ書き出してみてください。

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