問診票を電子化したら、カルテ入力が5分→1分に。でも現場が慣れるまで1ヶ月かかった話

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ビジネス・マーケティング
治療院やサロンで「紙をやめたい」と考えている方に向けて、実際に自分の現場でやってみた話を書きます。うまくいった部分と、想定していなかったつまずきの両方です。うちの院では、紙の問診票をやめて、お客様にスマホやタブレットで回答してもらう形に切り替えました。回答は自動でシートに保存され、そこから顧客カルテが自動で作られます。新規のお客様は月に約70人。いまはその全員がこの仕組みを通っています。

【1】効果は1週間で見えた
導入して1週間ほどで、はっきり変わったことが2つありました。1つ目は、来店前にお客様の情報を把握できるようになったこと。これまでは、来院されてから問診票を書いてもらい、それを読んでから施術に入っていました。いまは来店前に回答が届くので、事前に目を通した状態でお迎えできます。結果として、お客様が院内で「待っている時間」が減り、そのぶん施術そのものに使える時間が増えました。2つ目は、カルテ入力の時間が5分以上から1分程度になったこと。手書きをやめて音声入力に切り替えたことが大きかったです。1人あたり4分の短縮でも、1日に何人も診れば無視できない差になります。数字だけ見れば成功に見えると思います。ただ、この裏で現場はけっこう苦労していました。

【2】想定していなかったのは「両手がふさがる」問題
いちばん誤算だったのは、紙に慣れたスタッフが電子に慣れるまで、1ヶ月近くかかったことです。しかも、つまずいたポイントが予想と違いました。「機械の操作が分からない」ではなかったんです。これまでスタッフは、紙のカルテを見ながら問診を取っていました。電子化すると、iPadを見ながら問診を取ることになります。ここまでは想定内でした。問題はこの先です。問診中のメモを取るのに、結局は紙が必要だったんです。お客様の話を聞きながら、細かいことを書き留める。この動作が紙でしかできなかった。結果どうなったかというと、iPadと紙を両方持った状態で問診するという、かなり不格好な状態になりました。これがスタッフにとって想像以上のストレスでした。片手がふさがる。目線が3箇所(お客様・iPad・紙)に散る。効率化するために入れた仕組みなのに、現場の動作としてはむしろ煩雑になっていたわけです。お客様側には大きな負担は出ませんでした。困っていたのは、完全にスタッフ側でした。

【3】対処:先に「何が嫌か」を聞いた
まずやったのは、機能を足すことではなく、何に抵抗があるのかをスタッフにヒアリングすることでした。出てきた答えが、先ほどの「電子機器と紙を両方持つのが煩わしい」です。ここがはっきりしたので、やるべきことも決まりました。紙に書いていたメモを、iPad上で電子ペンで書けるようにする。そのためのWebアプリを作り、メモも含めて1台のiPadで完結するようにしました。紙を持つ必要がなくなり、片手が空きました。ここまでで約2週間です。いま振り返ると、最初から「メモをどこに書くか」を設計に入れておくべきでした。問診票とカルテだけを見ていて、その間にある「問診中の手の動き」を見落としていたわけです。

【4】これから電子化する院長先生へ
同じことをやろうとしている方に、1つだけお伝えするなら、作る前にスタッフへのヒアリングをしてくださいということです。理由は、効率化の成否が「仕組みの出来」ではなく「現場が受け入れられるか」で決まるからです。うちの場合も、仕組み自体は初日から正しく動いていました。それでも1ヶ月かかったのは、動作が現場に馴染まなかったからです。もう1つ、お伝えしたいことがあります。私は以前、複数の店舗を展開する治療院グループで、スタッフ向けの業務改善ヒアリングをしたことがあります。そのとき最も多かった声が、「施術以外の仕事が多すぎる」でした。そして実際、それが理由で辞めていくスタッフが少なくありませんでした。施術をしたくてこの仕事を選んだ人が、カルテの清書や集計に時間を取られて疲弊していく。この構造は、多くの院で起きていると思います。だからこそ、施術以外の時間を削ることは、単なる効率化ではありません。スタッフが本来やりたい仕事に集中できる時間を作ることであり、結果的に人が辞めない院を作ることにつながります。紙をデジタルにすること自体が目的ではないんです。目的は、スタッフが施術に集中できる時間を増やすこと。その手段としてのデジタル化です。

【5】まずは「何に時間がかかっているか」から
もしいま、院内の作業を減らしたいと考えているなら、最初の一歩はツール選びではありません。スタッフに「施術以外で、いちばん時間を取られている作業は何か」を聞いてみてください。そこで出てきた答えが、自動化すべき本命です。うちの場合はそれが問診票とカルテでした。院によっては、日報かもしれないし、売上の集計かもしれない。予約の確認電話かもしれません。現役の鍼灸師として現場に立ちながら、こうした仕組みを自分で作ってきました。どの作業が自動化できて、どこは人がやったほうがいいのか。その線引きも含めて、お気軽にご相談いただければと思います。「うちの場合はどうだろう」という段階で構いません。何に時間がかかっているかを伺ったうえで、AIで効率化できそうな部分をご提案します。そのうえで、必要だと感じられたら進めていただければ十分です。
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