はじめまして。
私は理学療法士として13年以上医療現場で臨床に携わりながら、アスレティックトレーナーとしても多くの競技者をサポートしてきました。
野球・サッカー・バスケットボール・陸上競技など、これまで担当してきた競技はさまざまです。
その中には、私自身がこれまで関わったことのない競技の選手も数多く含まれます。
それでも、競技力向上や自己ベスト更新といった成果につながってきた背景には、競技を問わず共通して大切にしている「考え方の軸」があります。
トレーニングというと、
筋力向上、柔軟性(可動域)向上、体幹トレーニング、コーディネーション向上などを思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、これらは重要です。
ただし、筋力が向上したからといって、必ずしも競技力が向上するとは限りません。
実際の現場では、
「筋力は上がったのに成績が伸びない」
「トレーニング量を増やしたら逆に調子を落とした」
というケースも珍しくありません。
そのため私は、「何を鍛えるか」を考える前に、まず競技そのものを徹底的に整理します。
ここで言う整理とは、フォームを見るだけではありません。
その競技の歴史、ルール、会場特性、用具の特性、記録や戦術の変遷なども含めて把握します。
もちろん運動構造の理解も欠かせません。
どの関節が、
どのタイミングで、
どの方向に、
どのような役割を担うのか。
力学的にどのような力が求められているのか。
その力を発揮するために、どのモーメントアームを活用するのか。
道具を扱う競技であれば、道具に対してどの方向へ力を伝える必要があるのか。
こうした要素を一つひとつ整理していきます。
さらに、過去にどのようなルール変更があったのか、なぜその変更が行われたのかといった背景も重要です。
この背景を知ることで、
「なぜ今のフォームが主流なのか」
「なぜ昔のやり方では通用しにくいのか」
が見えてきます。
競技は常に進化しています。
トレーナー側の価値観だけで「これが正しいはず」と押し付けてしまうと、選手とのズレが生じ、結果としてパフォーマンス低下につながることがあります。
次に行うのが、世界トップレベル選手の動作分析です。
世界で結果を出している選手の動きには、必ず共通項があります。
同じ競技であれば、力学的に有利な条件は大きく外れません。
(階級制競技の場合は、同じ階級内でのトップ選手を基準にします。)
ここまで整理したうえで、初めて目の前の選手を評価します。
調子が良いときの動作。
調子が悪いときの動作。
成績が伸びている時期と停滞している時期の違い。
パフォーマンスの波は偶然ではなく、理由のある現象として捉えます。
ここまで分析していくことで、初めて「その選手に本当に必要な要素」が見えてきます。
例えば股関節であれば、
どの方向に、どの程度の可動性が必要か。
どの角度で、どの程度の筋出力が必要か。
こうした具体的な目標を設定したうえで、トレーニング内容を設計します。
その後も細かなフィードバックを繰り返しながら、方向修正を行っていきます。
この流れを軸として持っているため、どのような競技の選手をサポートすることになっても迷いにくくなります。
そして、選手自身を迷わせることなく、同じ方向を向いて進むことができます。